第十一話「騒がしい夜」
院長からの大事な治療説明の時に、いきなりすってーんと転んで、みんなからの注目を浴びた看護師のキツツ木さん。
「す、すみません。ステロイドの説明の紙を取りに行こうとして、つまずいちゃって。」
(キツツ木さん、たまには転んじゃったりするんだな。なんか好感持てる。)
「あ、私取ってきます!説明の続きをどうぞ。」
「うぉっふぉん。ステロイドね。使い方を間違えなければ、心配ありませんよ。最近はどうも変な噂が広がっていて、嫌がる人が多いですがね。」
「そうなんですか。」
「潰瘍性大腸炎では炎症がひどい場合にバンっと使って、長期的には使わずに少しずつ減らしていってやめるという使い方ですから、心配いりません。」
「依存性があるって聞いたんですが・・・」
「たまにステロイドを減らすと悪化して、増やしたら良くなって、また減らすと悪化して、なかなか切れない人がいます。」
「あー先生、旦那のタバコと一緒ですね。減らそうとするのに結局やめれないんですよ。」
「関係ない話するなよ!」と不機嫌になる笹郎。
「うぉっふぉん。とにかく、ステロイドの場合は、たまに減らす段階で悪化することもありますが、そのときは昔と違って他の治療薬も出ていますので、今から心配することはありません。」
「あ、はい。わかりました。」と笹郎。
「新薬が出てるんですよね。」と笑顔のササ。
そこへキツツ木さんが足をさすりながら、紙を持ってきたが、今、院長先生が話した内容と同じだった。
「え?遅かったですか?」とキツツ木さん。
「あとで整形の白クマ先生に診てもらうか?」
「大したことないですよ。先生。」キツツ木さんの顔が赤くなった。
「うぉっふぉん。外野の話ばかりになってしまったが、笹夫さんはどう思ってるかな?」
「早く仕事に行きたいので、なんとかお願いします。それと・・・」
「なんだね?」
「洗先生がちょっと気になります。」
「あー明日本人が説明すると言ってたから、私からは言えないな。」
「そうですか・・・。」
(そんなこと言われると、余計気になる)
「便培養で陰性だったし、今日はもう遅いから、明日から大部屋に移りましょう。」
病室に戻り外を見ると真っ暗だった。
(いやーいろいろあったな。)
(頭の中真っ白になりそうだった。)
(笹香と同じ難病なのか。)
(ほ、ほんとうに難病なのか?)
(うっ、やっぱりお腹痛い。)
(ステロイドか。なんかよくわからないけど、効きそう。)
(そういえば院長ってうぉっふぉんって咳払いばっかりだったな笑)
「はーい。消灯ですよ。」とキツツ木さん。
こうして騒がしい土曜日が幕を閉じた。
3人目はいったい誰なのか?
つづく




