第十話「明らかになる笹夫の病名」
土曜日。いよいよ笹夫の生検の結果が出る日になった。
朝からいつにも増して看護師さんがバタバタしていた。
「土曜日は看護師少ないのに、先生検査だから、大変だわ。」という声が聞こえてきた。
ササと笹香がもう笹夫の病室に来ていた。
子どもの頃の話やテレビの話で盛り上がっていたが、夕方になる。
「お兄ちゃんも潰瘍性大腸炎なのかな?」
「うーん・・・。」と考え込む笹夫。
「まだ結果聞かなきゃわからないじゃない。」とササが言った。
急に静まり返り不安になるパン田家。
「そういえば、お父さんは?」と笹夫。
「お父さん、仕事入っちゃって、もうすぐ来れると思うんだけど」とササ。
夜の7時になっても笹郎は来ない。結果説明に来るはずの先生も現れなかった。
「遅くない?」と笹香が言った瞬間、キツツ木さんがやってきた。
「すみません。遅くなりましたが、今から説明がありますので、診察室へどうぞ。あ、まだお父さん来られてないんですか?」
「主人は仕事で遅くなっているみたいで。もうすぐ来ると思いますが。」
診察室の前で待たされた。
(こういう時って実際より長く感じてしまってるだけなんだろうな。)
額に汗をかきながら、小走りで笹郎がやってきた。
「遅くなって、ごめんな。」
その時、診察室の扉がすーっと開いた。
「どうぞ」と言ったのはいつもの洗先生ではなかった。
座っていたのは白いひげのおじいさん先生だった。
「結果説明の前になぜ先生が違うのか?疑問だと思うので、その話からさせてもらいます。私の息子の洗は、夕方に大腸内視鏡検査を受け、心配はいりませんが、鎮静剤の影響で今日は休みを取らせてもらっています。申し訳ないですが、代わりに私から説明します。」
(やっぱり先生、大腸カメラ受けたのか。)
「笹夫さんの大腸カメラの画像を見ましたが、潰瘍性大腸炎ですね。生検の結果もこのように潰瘍性大腸炎と矛盾ないと出ています。妹さんが同じ病気だから、知っているとは思うけど、症状が出たり、良くなったりを繰り返す病気と言われています。でも、自分に合った治療を見つけて普通に生活を送っている人がほとんどですので、過剰に心配することもありません。これから治療をはじめていきましょう。」
「妹と同じ病気なんですか?でも、僕全然違います。」
「はい。この病気は個人差が大きい病気なので、入院が必要なこともあれば、ずっと通院で大丈夫な人もいます。それだけ1人1人違うんですね。」
「そうなんですか。」
「笹夫さんは熱も出ていますし、大腸カメラと生検の結果でも重症の状態であると言えます。ステロイドの点滴を入れましょう。」
「え?ステロイド?やめれなくなるって聞いたんですけど、危ないんじゃないですか?」と笹郎が心配そうに言った。
そのとき、キツツ木さんがすってーんと転んでしまった。
次回、ステロイドって何?
そしてキツツ木さんのゆくえはいかに?
つづく




