表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傘華 -黒き糸-  作者: 時谷 創
20/26

第19話 襲来

「来る!」


向きをとらえた方向に向きを変えて、傘で薙ぎ払う。


手応えは微かにあったが、声も音もないため、何をとらえたのか判別できない。


「琴音、懐中電灯を貸してくれ」


懐中電灯を琴音から受け取り、光で照らす。


すると床には小さな闇蜘蛛がひっくり返っており、

徐々に砂のようなものを残し消えていった。


キッチンから出てきたのと同じ闇蜘蛛の子供か。


「この感じだとまだまだいそうな感じだな。琴音、気をつけろよ!」


「うん」


琴音に懐中電灯を手渡して、部屋中を照らしてもらうが、

他に闇蜘蛛の姿は見当たらない。


「今のところは大丈夫そうだから、次の部屋に行こう」


懐中電灯で照らしてもらいながら扉へと歩いていく。


「……上!」


初めて聞いた琴音の大声で、すぐ様後ろに飛んで扉から離れる。


懐中電灯で照らしてもらうと、小さな闇蜘蛛3匹が地を這いずり、

こちらに近づいてくるのが分かった。


「3匹か、とりあえず3匹の中で動きが鈍い右側から祓う!」


コンクリートの床を蹴って右側の闇蜘蛛に近づき、思いきり傘を降り下ろす。


「ギィィィ!」


今までの闇蜘蛛とは違い、大きな悲鳴をあげながら、

砂のようなものを残して消え去る。


不快極まりない悲鳴で、一瞬混乱状態に陥ったため、

頭を大きく振ってると「危ない!」と言う声が、部屋に響きわたる。


声が聞こえると同時に、左手首に痺れるような痛みが走る。


「ぐっ……」


すぐに声の主は琴音と分かったが、痛みの原因を確かめるために、

痛みが走った左手首を確認する。


「……これは闇蜘蛛の出した糸か?」


闇に覆われた黒色の糸が、俺の左手首に巻き付いていた。


すぐに右手で糸を振りほどくが、振りほどくために使って手にも

ピリピリとした痛みを感じる。


「琴音! 闇蜘蛛の糸は危険だ、下がっていろ!」


すると琴音は無言で頷き、後ろに下がる。


闇蜘蛛と戦うのは初めてだが、あの糸には気を付けなければ。


闇蜘蛛と距離をとりながら、闇蜘蛛の動きに集中する。


今度は左側の闇蜘蛛が動きを見せたため、闇蜘蛛を牽制しながら距離を詰める。


「来るか!」


闇蜘蛛の始動の変化を感じ、横に飛ぶと元いた場所に糸が付着する。


「避けてばかりではダメだ、先読みして攻撃する!」


地下室の柱に隠れてつつ、闇蜘蛛の動きに目を凝らす。


「行くぞ!」


2匹の闇蜘蛛が同時に始動するのを確認して、すぐに右方へと走り込み、

回転をつけて傘を降り下ろす。


「ギィィィィ!」


今倒した闇蜘蛛も不気味な悲鳴をあげるが、それを耳を塞ぐ事で回避する。


砂と化した闇蜘蛛から視線を戻すと、動きを止めていた3匹目に走り込み、

傘を薙いで壁に叩きつける。


「ギィィィィ!」


耳を塞ぎながら闇蜘蛛の断末魔を見届けると、大きく1つ息をついた。


「誠の動き、凄い!」


目を輝かせながら近づいてくる琴音に、

俺はかっこよく「これくらいの雑魚は倒せないとな!」と言い放った。


内心は子供でも厄介だと思ったのは内緒だが。


「琴音、この部屋にまだ闇蜘蛛がいるか確認したいから、

 懐中電灯で照らしてくれ」


琴音がこくんと頷くと、二人で部屋の中央に移動する。


懐中電灯で照らしてもらう間、俺は傘を構えて最大限に警戒する。


「大丈夫……そうだな」


入り込める隙間や箱の中に隠れてないか、念のため確認してみるが、

闇蜘蛛が出てくる気配はなかった。


「OK。それじゃ次からが本番だ。

 扉の向こうに闇蜘蛛の本体がいるはずだから、注意しよう」


琴音を背後でかばいながら、奥の部屋の扉に近づく。


「物音は特に聞こえてこないな。

 ここの扉は一気に開けるから、琴音も注意しててくれよ」


右手で傘を構えながら、左手で静かにドアノブを握ると、

素早く回して扉を開け放つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ