表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
テゼルト編
97/121

綺麗事だっていいじゃないか

  ジョン首相はハクに刺されて崩れ落ちた。

「どういうつもりだ。ハク」

  ジョン首相は声は掠れ掠れだが言葉はハッキリとしていた。


「貴方が役立たずだからですよ」

  ハクは蔑んだ目で見下していた。


「俺が役立たずだっておこがましいだよ!ハク、貴様なんて白魔王の金魚のフン

 だろう」

  ジョン首相は怒鳴り散らすと血を吐き出した。


「貴方にはそう見えていましたか...」

  ハクはため息を小さく吐いた。


「騎士さんよ。白魔王に命令されてこのおっさんをやりきたのか?」

  ケンはハクを獣のような目で睨んだ。


「いいえ、あたしの独断ですよ。貴方達の野望は果たされたでしょう。」

 

「ホークアイの野望はジョン首相を殺す事じゃないわ。テゼルトに貧困をなくして平和に導く事なの。あたし達は今までそれを目指して活動してきたの」

  スワンがそう言うとハクは呆れたような顔をしていた。


「あたしは綺麗事は嫌いなんですよ。貴方達は虐殺を止める事は出来ても

 テゼルトを平和に導けない。そこまでの力がないからです」

  ハクのその言葉を聞いたマオは向けていた銃を落とした。


「僕達が無力だって言いたいの?」

  マオはハクを見つめた。


「さっきからそう言ってるんですよ。貴方は自惚れてるようだから言いますが

 子供が何ができるんですか?なにか出来ましたか?いつまで悲劇の主人公を

 演じているんですか」

  ハクはマオを睨んで一時も目を離さなかった。


「マオ君がテゼルトに革命を起こすわ。あたし達がそれを手伝うの。

 悲劇の主人公なんて言わせないマオくんはこの国の勇者よ」

  スワンはマオが落とした銃を拾い上げハクに向けた。


「貴方にあたしは殺せませんよ、弱すぎて相手にならないです。」

  ハクはゆっくりと歩み寄ってスワンが持っていた銃を振り落とした。


「殺すつもりが無いのなら俺を救ってくれ...マオ、治癒魔法を俺にかけてくれ」

  今まで黙っていたジョン首相が突如として口を開いた。


「僕はずっと父さんの事をきらいだった。今もそれは変わらない。

 でも死んで欲しいなんて思うことなんて無かったけど憎くてたまらなかった。

 お母さんを殺した父さんが嫌いで目に入れるのも嫌だった。僕に命乞いする

 なんて愚かだね。父さんは...」

  マオはジョン首相に歩み寄って頭を掴んだ。


「母さんを殺したのはホークアイの資金源を消す為だ。こいつらを信じるな!

 ただの偽善者でお前を資金源にして食い尽くして要らなくなったら捨てるぞ」

 ジョン首相の言葉にスワンは悲しそうな顔をしていた。


「ホークアイの人達はそんな事しないよ。見ず知らずの子供を保護してくれて

 暖かい食事と寝所を与えてくれた。この人達は凄く優しいんだ。

 僕は信じてるよ。救ってくれたんだホークアイの人達は何も無かった僕を...」

 マオは覚悟を決めたかのように見つめた。


「何をするつもりだ!マオ」

  ジョン首相はみぞおち辺りが痛みが走りうずくまっていた。


「父さん、僕は具現化魔法を使えるんだ。」

  マオは手の中からマリアの幻影が現れてジョン首相の首を掴んで持ち上げた。


「父さん知ってる?お母さんは最後までお父さんを説得するつもりだったんだよ

 僕は悲しいよ。父さんは生きていたらテゼルトは良くなれない。

 けどなんか違うって分かってる。僕は父さんを救わない。」

  ジョン首相はマリアの幻影に首を締められ振り落とされた。


「マオ....」

  ジョン首相は倒れ込んで息絶えた。


「死にましたか...」

  ジョン首相を刺した剣を引き抜いた。


「ハクさん、ごめんね。僕は何かを演じる事は出来ないんだ。だから悲劇の主人公なんかじゃないよただの子供なんだ。貴方の思ってる人じゃなくてごめんね」

  マオは儚げな顔をしてハクを見つめた。


「なんでそんなに謝るんですか?」


「これからみせる幻覚はあなたにとって苦痛だから、僕は知ってるよ。

 真実の歴史を...ハクさんはずっと苦しんでいるんだね 」

  マオはハクに背を向けて歩き出した。


  「悪いけど今の隙に逃げるわよ」

  スワン達はマオを追いかけるように走り去った。


 ****************


 ハクの目の前に黒魔王が現れて触れると感触がなくて幻だとすぐに気づいた。


  「ハク、お前はホント鍛錬が好きだな。たまには休めよ」

 幻影のハクが現れ、黒魔王は肩に触れて揺らしていた。


  「俺は強くなりたいんですよ。あたしは白魔王を...」


「あいつはどうにか出来ないお前だって知っているだろう。

 神を惑わすような女性だ。足元をすくわれないように気をつけるしかない」


  黒魔王の言葉にハクは「そうですか」とため息を吐いていた。


  ハクは目の前の浮かびだした映像に戸惑っていた。


「でも希望は無いわけじゃない。俺はハクもコクも仲間も信じてる。この世界を

 絶対に悪いようにさせない」


  「あたしは綺麗事は嫌いですよ」

  ハクの言葉に黒魔王は笑みが零れていた。


「綺麗事でいいじゃないか、ハク。人間も神の使いも希望と信念がないと生きて

 いけないんだ。お前にだって信念があるだろう。お前には希望をもっと持って

 欲しい。その曇りのある()では白魔王を倒せないぞ」

  映像の中のハクは涙を流して黒魔王から顔を背いた。


  「ほんと綺麗事で呆れますね」

  その言葉で映像が途絶えた。


「貴方の言う通りですね。でも貴方のいない世界は生きてる心地などしない。

あたしの曇った目はもう晴れ渡る事は無い」

  そう吐き捨てハクはただ立ち尽くしていた。


  あの少年はある女が書いた真実の歴史を読んで私にこの映像を見せた。

 言葉も映像も鮮明だった。憎たらしい程に...。


 次回に続く。


 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ