最低な父親
「呑気なもんですね」ハクはゆっくりと立ち上がり落ちていた剣を拾い上げた。
「このまま逃がしてくれるわけないよな」
ユージンはヒルアを腕を掴んで自らの背後に引きずり込んだ。
「貴方の振る舞いによっては有り得るかもしれないですね。その少女をこちらに渡せば...」ハクは剣をユージンに差し向けた。
「それはありえないな。」
ユージンはハクに拳を向けた。よく見ると人差し指に魔法の指輪をはめていた。
「貴方、魔法使えないでしょ。それはどういうおつもりですか?」
ハクは眉間に皺を寄せて険しい顔をしていた。
「使えないじゃない制御が出来ないんだ。爺ちゃんが言ってた。
”魔法が使えないのは白魔王に授けられた呪いだ”」
「それは嘘でしょ。神の使いであって白魔王様にそこまで権限ないですよ」
ハクはクスリと笑い口を押さえていた。
「あんたが従ってる白魔王様が神を惑わせてるとしたら...」
ユージンの魔法の指輪が光出していた。
「貴方は何を知ってるんですか?貴方の祖先は黒魔王を倒す事に成功したのです。何かの代償かなんかでしょ」
ハクは剣をユージンの顔に擦り付け血が滴っていた。
「あんた、秘密にしてる事あるだろ。実は黒魔王と師弟関係だった。それなのに黒魔王を裏切った。炎の精霊よ!イフリート、業火を放て」
ユージンの魔法の指輪から炎が放たれ熱さが立ち込めていた。
その隙にユージンとヒルアはハクの前から消えた。
「ほんと嫌になりますね。どいつもこいつも...」
ハクはユージン達が向かった逆方向にどこかへと歩き出した。
***************
ホークアイのスワンとケンとパトラはマオを連れてテゼルトの軍施設に
忍び込んでいた。パトラが持っていた携帯端末がブルブルと揺れ動いた。
「ユージンがヒルアを助け出したみたいよ。後は2人と皆と合流するだけよ」
パトラは壁に隠れて敵を銃を撃ち込んでいた。
「ヒルアさん、無事かな」
マオは心配そうに俯いていた。
「ユージンがついてるから大丈夫よ。それにヒルアは強いから...」
ケンはパトラの肩を叩いた。
「おい、あれジョン首相じゃないか?」
ケンが指さした方向にはジョン首相は兵士を引き連れて歩いていた。
「ここに侵入してきた奴は皆殺しにしろ。」
ジョン首相は激昂して兵士に怒鳴り散らしていた。
「それはわかりましたがマオ様も奴らと一緒にこちらに来ています。保護され
ますか?」
「殺してホークアイがした事にしろ。俺は息子を殺された悲劇の父親を演じる事が出来る」
それを聞いた兵士は目を丸くして驚いたが頷いていた。
「最低ね。マオくんはどうしたい?」
スワンはマオに耳元でそう囁いた。
「僕、父さんと話がしたいよ」
マオの言葉にパトラ達は頷いて、ジョン首相の目の前に現れた。
「父さんは僕の事を殺すつもりだったんだね。話せば分かり合えると思ってた」
マオはパトラに貰った銃をジョン首相に向けた。
「思ってた?過去形だな。お前が悪いんだマリアを誑かすから...」
「誑かしてなんか居ないよ。僕はただ民が幸せになれる未来を望んでいるだけ
だよ。」マオは銃を握ってる手が震えていた。
「あの頃、今も貧富の差が激しくて、治安が悪く政府に対しての反発が激しくてテロやデモが頻発していた。なのに父さんは反発する声を消そうと村や街に...」
背後からスワンは銃を握ってるマオの手を握った。
「村や街の住人を虐殺した。都市開発の為に土地が必要で白魔王に献上するつもりだったけどそれをホークアイが邪魔をした。貴方はあたし達が目障りで仕方が
ない」
「よく分かってるじゃないか。マオもホークアイの奴らもマリアを誑かしたから俺が殺す羽目になったんだ。全部お前らが悪い」
ジョン首相はスワン達を見下し唾を吐き散らかした。
「うるさいわね!」
パトラは毒を塗りたくられたナイフをジョン首相の足元に投げ込んでみるとジョン首相の足の指の間に刺さり驚きのあまり崩れ落ちた。
「ロンディ首相が言ってたわ。あたしとケンが出会わなかったらジョン首相に
みたいになってたって...貴方もロンディ首相みたいに救えると思ってた。
救いようのないクズ人間って目の前にいたのね」
「あの臆病者がそう言ってたのか...ロンディ首相は白魔王を裏切った。タダでは済まされないホークアイを潰した後はブルーメンヘッドは火の海になるだろう」
ジョン首相は立ち上がり、毒刃を拾い上げ投げ捨てた。
「あたし達がそうはさせない。ホークアイも潰させない、ブルーメンヘッドを
火の海なんかにさせたりしない。あなた達の思い通りにはならないよ」
パトラは腰に忍ばせていた針を何本も掴んだ。
「何するつもりだ」
「この針はヒルアのお手製なの。毒性の薬草を染み込ませて刺さっただけで何時間も全身が痙攣にみまわれ、嘔吐、不快感に襲われる。一種の拷問器具ね」
「ジョン首相、一瞬の苦しみで死ねると思うなよ」
ケンに睨まれジョン首相は汗が滲み始め後ずさりしていた。
「お前!こいつらを殺せ!殺さなければお前の家族が...」
カツンとカツンとゆっくりとした足取りで何者かがこちらに来ていた。
「死ぬのはあなたの方ですよ。役立たずな駒なんて要らないんですよ 」
ハクはジョン首相の背後から剣を貫いて返り血がマオ達に降り注いだ。
次回に続く。
また期間空いてしまってすいまさん。
プロットもいい感じに進みましたので連載再開致します。お待たせさせてしまってすいません(--;)
またご愛読の方をよろしくお願いします。




