蜘蛛に捕まえられた蝶は...。
鞭で叩かれる音と罵倒が響き渡った。
「顔を見るだけでも憎たらしいわ!」
ヒルアはテゼルト軍の軍施設の一室で縛り付けられていた。
「白魔王様、痛めつけるのはいいですが間違って切断しないで下さいね。処刑前ですし見物する者が可哀想です」ハクは白魔王の背後に佇んでいた。
「分かってるわよ...ホント生意気な顔ね」
ヒルアは痛がりもせず、ずっと白魔王の顔を睨みつけていた。
「慈愛深いとは随分と程遠いね。あたしは千武族を虐殺なんかしてない」
縛り付けられてる手を白魔王に触れられた。
「そんなの知ってるわよ。だって千武族を虐殺したのはこのあたしよ。貴方に
擦り付けただけ...」
白魔王はヒルアの耳元でそう囁いた。
「なんであたしに濡れ衣を...」
「あなた、あたしに何したか覚えてないの?」
「覚えてないって言ったらどうするの」
白魔王は再び鞭を持って痛め付けた。
「あたしに何したか思い出すまで叩き続けてあげる。貴方が苦しむ顔が見たい
から...」白魔王はヒルアの顔をなぞる様に撫でた。
***************
ヒルアがハクに攫われた後、マオはすぐさまアジトに駆け込んだ。
「どうしたんだよそんなに慌てて...」
マオが地下室の階段を降りるとそこにはユージンが居た。
「ぼ、僕のせいでヒルアさんが攫われた」
マオは崩れ落ちて床に座り込んだ。
「どういう事だ?」
ユージンはマオの目線に屈んだ。
「テゼルトの森にハクが居たんだ。僕に剣を向けて来てそこにヒルアさんが来て...僕を庇って攫われたんだ。」
「そうか...じゃあ助けに行こう。起こったことは仕方ない」
ユージンはマオを連れて地下室を出た。
「どこに行くの?」
「ジスタと皆で作戦会議しなきゃいけない。ヒルアがいるのは国機関の施設、
それがどこかだ」
「そっか。ごめんなさい僕が出ていったから...」
俯くマオにユージンは頭を撫でた。
「マオは悪くない。ヒルアが攫われたのは必然だ。いつ攫われてもおかしくなかった。敵にとってはチャンスだからな」
「なんでそれなのにヒルアさんがここに来たの?」
「皆と一緒にテゼルトを変えたいからだ。ヒルアは故郷を燃やされて両親も殺されて冤罪をかけられた。テゼルト村の事を自分の事のように重ねてた」
マオは固唾を飲んだ。
「僕も助けに行くよヒルアさんの事...」
ユージンの繋いだ手をマオは握り締めた。
「あぁ...一緒に行ってハクの野郎をボコボコにしてやろうぜ」
マオは涙を流しながら頷いた。
「ここで何をしてるんですか?ユージンとマオ君」
2人の背後にはジスタが居た。
「ジスタ!大変なんだよ。ヒルアがハクに攫われたんだ。場所を特定してくれ」
「分かりました。事情は後で聞きますが特定ならすぐ出来ますよ」
「どこにいるのか分かるのか?」
「仲間にはGPS機能をつけた携帯端末をつけていますから来てください」
「あぁ...分かった。」
地下室に戻るとそこにはパトラとスワンとクロウが立っていた。さらにソファにはペッパー首相とロンディ首相が座っていた。
マオが皆に事情を話すと立ち上がり場所の特定に地図を広げた。
「ヒルアはテゼルト軍の軍施設にいます。それも重大な罪を侵した者だけが入れる牢屋に」ジスタはテゼルトの地図にある場所をマークした。
「そこは厳重な警備が敷かれてる。どう切抜けるかだ。」
ペッパー首相はタバコを吹かせていた。
「どれだけ軍のやつを殺せるかよね。この人数で...ホークアイはどれくらい居るの?全員揃ってるのよね」
パトラは煙たそうに鼻を掠めた。
「あぁ...他にスズメとツバメとタカさんが居る。3人ともどこに行っては
帰ってくるの繰り返しだ」
クロウは気難しいそうに腕を組んでいた。
「あの3人は動向がはっきりしませんからね。後はジロンとルビアが居ますね。そろそろ帰ってくると思いますが...」
「ルビア?どこかで聞いた事が」
ペッパー首相は首を傾げた。
「どうかしましたか?」
ジスタが尋ねるとペッパー首相は首を振った。
「嫌、何でもない」
「みんな揃って作戦会議か?珍しいな」
豪快な足音を鳴らして大柄な男が頭を掻きむしっていた。
「帰ってきたぞクロウ...」大柄な男の背後にはスズメという女性とツバメがいた。
「タカさん!スズメもツバメさんも帰ってきたのね」とスワンは駆け寄り
スズメと抱きし合っていた。
「苦しいよ...スワン」
スズメはスワンに頬ずりされ照れくさそうだ。
「タカさん、ヒルア·ダルクが攫われたんだ。一緒に助けにいってくれないか?
敵のアジトを潰すチャンスかもしれない」クロウはタカをじっと見つめた。
「あぁ...分かった今すぐに決行だ。処刑されるのも時間の問題だ。事は急ぐぞ」
皆は頷き武器の準備をしていた。
「君がマオくんね。皆と一緒にいくの?」
スズメはマオの目線に跪いてナイフを差し出した。
「そうだけどそれは何?」
「毒刃だよ。敵に刺せば肉体に毒が注入され死に至る。ヒルアさんに教えて貰いながら作ったの」マオは差し出されたナイフを震えながら触れた。
「触れるだけなら大丈夫だよ。きっとこのナイフは貴方を助けてくれるよ」
スズメはマオにナイフを渡した。
「うん。ヒルアさんは僕が助けるよ」
マオはナイフをリュックに入れた。
「さぁみんな行くぞ」タカの問いかけに皆は頷いた。ホークアイの皆やジスタ、
ラブリー、ユージン、パトラとケンがテゼルト軍の施設に向かった。
次回に続く...。




