白き女王はこの世界を鮮血に染める
白い髪が風に揺れて香水のような臭いが漂い鼻を掠めるとそれは一層強まった。ガジン少佐は白魔王に跪いていた。
「運良くアリエッタに助けて貰って良かったわね」
「はい...あたしは昨日死ぬ思いでした。だから白魔王様の部下に非常に
恩義を感じています」
首相官邸の一室でこんな広い中ガジン少佐と白魔王だけが存在した。
この男の中で息苦しさだけが立ち込める。
「そう...アリエッタが人を助けるなんて珍しいことなのあなたなんか知ってる?」
「はい...ジロンという者がホークアイと関係を持ってます」
ジン少佐のその言葉に白魔王は不機嫌そうな顔をしていた。
「それはアリエッタからもう聞いたわ。あたしはホークアイとヒルア·ダルクの
関係性を知りたいの」
「それはあたしも分かりません」ガジン少佐の目が泳ぎ出して目の前の白魔王は
呆れた顔をしていた。
「もういいわ...貴方にはデモを止めてもらいたいのできるわよね?」
ガジン少佐は白魔王の威圧を覚える態度に咄嗟に「 は、はい」とどよめいて
しまった。「嫌なの?虐殺は喜んでやる癖に...これから政府への不満な声は大きくなっていくわ。それが暴徒化する前に止めて欲しい。得意でしょ?」
ガジン少佐は前のめりに頷いた。
「白魔王様に命令を頂くだけでもありがたい事です。何でも喜んで引き受けます!必ずやデモを沈静化致します。」白魔王は曖昧な返事をするだけだった。
「そう。期待しているわ」
ガジン少佐が振り向くとそこにはハクという男がいた。
「白魔王様、ご報告に来ました。ただいまデモが行われています。それも大規模で...」
「そう...ガジン少佐出番のようね。部下を連れていきなさい」
「はい!承知致しました」とガジン少佐はすぐに立ち上がり颯爽と去って
いった。
「利用しやすそうですね彼は...」
「そうね。アリエッタはほんといい子だわ」
「白魔王様、なんか企んでいませんか?」ハクの問いかけに白魔王は笑みが
零れた。
「そう見える?ジョン首相はただのあやつり人形よそれ以上でもそれ以下でも
ない。テゼルトはもう少しであたしの思い通りになる」
「そうですか」ハクは一瞬冷めた目もしていたが清々しく笑顔を浮かべていた。
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この手を何度汚せば気が済むだろう。武器を握れば辺りは鮮血に包まれ感情を
真っ黒に染めた。
家族を守る為かそれとも自分を守る為かも分からなくなった。テゼルトの軍人は思い悩んだがガジン少佐に声をかけられた。
「おい!デモを止めに行くぞ」と怒鳴られ後ろについて行った。
テゼルトの軍人の目は足を進めば進む程虚ろになり気づけばデモ会場に着いていた。軍人が見る限りでは武器は持っておらず旗を掲げ首相官邸へと行進していた。
「これを止めるのですか?ガジン少佐」
「そうだ。お前はただ杖を振るえばいいそれ以外は何も考えるな」
テゼルトの軍人は無気力に頷いた。杖をに握りしめ呪文を唱えたが覆いかぶさるようになにか聞こえた。
「氷華」氷が華のように咲き乱れ辺りを包み込んでいた。武器は凍りつき砕けた。
「無防備な国民相手に随分と手荒ね」紫の色の髪を靡かせ女は軍人を睨んだ。
「お前は誰だ?」
「パトラよ。あなたの目冷たいわね...生きていて苦しそう」
軍人はパトラの言葉にイラつきを覚えた。
「初めてあった相手に何が分かるんだ」
軍人は予備に持っていたナイフをパトラの頬に擦り付けた。
「図星みたいね。強がちゃって可愛いくもないわ」
パトラは軍人の腕を強く掴んだ。
「毒蜘蛛幻」毒を持った蜘蛛が軍人の腕にまとわりついて気持ち悪さを覚えた。
「お前居たよな...何度、人を殺した?」蹲る軍人に冷酷な目をしている男が
居た。
「クロウ...気持ちは分かるけどあくまで軍人の暴走を止める事よ」
「分かってる。殺しはしない」
豪快な笑い声が聞こえクロウは顔を歪めた。
「お前の故郷を滅ぼしたのはこいつとこのガジン少佐様だ!憎たらしいだろう
殺してみろよ」
軍人の頭を掴んでクロウに魔法銃を向けた。
「クロウ!もうすぐみたいよ。こいつらには...」
「パトラ、やつに貰ったとびきりの麻酔をかけてやってくれ」
クロウにそう言われパトラはため息を吐いた。
「仕方ないわね。麻酔乱発」1つの銃口から何発もの弾が放たれ胸を射抜いた。
周りいた軍人とガジン少佐は眠って倒れ込んでいた。
「終わったみたいよ。クロウ」
パトラ達の背後から爆発音が聞こえた。どうやら音の主は首相官邸みたいだ。
クロウは笑みを浮かべた
「そうだな」
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辺りは煙が立ち込め火事のような匂いがした。ドアを開けようとするが固く完全に閉じ込められたみたいだ。
「大変なことになりましたね。ジョン首相」
「そうだな」部下と見られる男が背後に居たが煙のせいか顔が見えなかった。
「どうしますか?窓から飛び降りますか」
「さすがに死ぬだろうこの高さからじゃ...」
「そうですね。ジョン首相、退屈でしょうから話しましょうよ」
「そんな場合じゃないだろう。出られる方法を...」
ジョン首相は部下である男に腕を掴まれた。
「どうせ出られませんよ。ジョン首相が自分の妻であるマリィ様を殺めるなんて
想像していませんでした。中々出来ないですよ」
「そうだろうな。あいつは俺には殺せないと油断していたんだ」
ジョン首相はいい気になっていたのか顔が緩みまくっていた。
「父さん...ほんと見損なったよ」
ドアが開いたと思いジョン首相は安堵の表情をしていたがそこにはマオがいた。
「その顔は何なの?もう僕は父さんが知ってるマオじゃないよ」
ジョン首相が知ってる息子はそこにいなかった。ただ冷酷に父親に毒が染み付いたナイフを向けていた。「なんでお前がそれを持っているんだ」
次回に続く




