交わした約束と叶わない夢
マオという少年は母の話す事がとても好きだった。
そばに寄り添い目を輝かせ耳を傾けていた。
「僕はいつか母様みたいな人になりたい国民のみんなから好かれる人。僕みたいな人が首相になったら軍の人は納得しないよね」
「なんでマオはそう思うの?」マオの母は彼の頭を撫でた。
「僕は力で抑えられる事を嫌いなんだ。今、軍の人がしてることは国民をいじめてるみたいでとっても嫌なんだ」マオの震える手を力強く握った。
「あたしも耐えられない。国民が豊かに自由に生活できるようなテゼルトに
しましょう。マオの為に頑張るから...約束ね」
マオの母はマオと指切りをして約束を交わしたが果たされる事はなかった。
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「坊っちゃま!どうされたのですか?ボッーとされて...」
セバスチャンに吠えられぼんやりした意識は覚めた。
「何でもない。僕も話聞いていいのかなぁ」
「別にダメとは言われてないのでいいと思いますよ」
マオとセバスチャンが居たのはホークアイのアジトがある地下室だった。
「セバスチャン意外と屁理屈なのね」
パトラがセバスチャンを撫でようと手を伸ばした。
「おいその犬はマオじゃないと撫でさしてくれねぇぞ」
クロウはセバスチャンを指ざした。
「あたしは魔獣です。犬ではありません」
セバスチャンはパトラに撫でられていたが満足気に尻尾を振っていた。
「なんでパトラはOKで俺はダメなんだよ!」
クロウはセバスチャンに駆け寄り激しく足を鳴らした。
「あの時はあなたの事を敵だと思ってましたから...」
セバスチャンはクロウから手を触れられ引っ掻いた。「痛ってぇ!!」
「おい話を始めるぞ。」
ペッパー首相が椅子に座っていた。隣にはロンディ首相が既に座っている。
「それどころじゃないだってこの魔獣に」
「クロウあたしが治すわ。修復」
パトラはクロウの手に撫でるように触れて傷は塞がり跡形も無くなっていた。
「ありがとうよパトラ」
「この位何でもないわ。お偉いさん達話し始めて大丈夫よ」
パトラは足を組んで座っていた。
「クロウ、君が所属するホークアイは何を目的をしている。難民キャンプを運営してるだけじゃないだろ?」ペッパー首相はクロウを睨んだ。
「まぁそうだな。このテゼルトでは反逆行為でさぇ許されない。ここの人達は
故郷を奪われた。故郷を取り戻す為に俺達は戦ってる。」
「そうか。分かってると思っているが軍事国に反逆する事は死に近い。自国の
国民の為に手段なんて選んでくれないぞ」
ペッパー首相は吸っていた煙草を灰皿に擦り付けた。
「そんなの承知のうちだ」
クロウの真っ直ぐとした瞳を見てロンディ首相は豪快に笑った。
「その青年は覚悟を出来てるようだ。その位にしてくれないかペッパー首相。
テゼルト国内はいつ内戦が始まってもおかしくない。どっちが仕掛けるかだ」
「遅かれ早かれ戦う事に変わりはない。俺は策に興じるのは苦手なんだ。
参謀役の仲間はある事を調べて出張中だ」
ペッパー首相は大きなため息をついた。
「それじゃ仕方ない。マオくん真実を知るのはまだ程遠いな」
「なんでそう思うの?」マオは不服そうに頬をムクっとさせていた。
「噂を知らないのか?君の母さんは反政府組織に資金提供をしていた。
何が言いたいのかマオくんなら 分かるじゃないか」
ペッパー首相はマオの肩を叩いた。
「そこまで非道なのか?さすがに首相の妻だ。そんな簡単に殺せるものなのか...」ケンは勢いよくドアを開けてこちらに入ってきた。
「僕の母さんと父さんは政略結婚なんだ。そこに愛なんてあるかどうかなんて
分からない」
マオは俯き加減で視線が泳いでいた。
「こんな大勢で何を話をしているの?」
ヒルアはケンの背中から顔を覗かせていた。
「あぁっ!!ヒルア·ダルクじゃないかいい事を思い付いた。君は世界中から
指名手配中だよな」
ペッパー首相に肩を揺すられヒルアは唖然としていた。「そうだけど...」
「白魔王の因縁の相手だ。これはいい餌になるかもしれない」
「ちょっとヒルアに何するつもりなのよ!まさか白魔王に差し出すんじゃない
でしょうね」
パトラはペッパー首相からヒルアを引き剥がした。
「そんな事はしない策に使うだけだ。戦は先手必勝だ。まぁ反論は後で聞くから話を聞け...」
ペッパー首相はテーブルを鳴らして世界地図上に駒を豪快に置いた。
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「ホントあなたはまともに自分の子供をしつけられないの?」
白魔王は豪華絢爛な椅子に佇んでいた。
「ただの家出です。すぐに帰ってきますよ」
「ほんとかしらねブルーメンヘッドもマシーンアイランドも落とせなかったわ。あたしによく顔向け出来るわ」白魔王は跪くジョン首相を見下ろしていた。
「白魔王様はせっかちですねこれからですよ。お二人はテゼルト国内にいるん
です。どんな目にあっても仕方ない事です。」
「そうね。やるなら上手くやるのよ下手にやったらテゼルトは内戦所じゃなく
なる。あなたの国なんてうちの兵器の前じゃ木っ端微塵よ」
白魔王はジョン首相の襟首を掴んで引き寄せて耳元で囁いた。
「1度の失敗も許されない。歪みも違和感もやるなら完璧にやりなさい」
ジョン首相の手には汗が滲んでいた。
「そんなの分かってますよ。テゼルトは常にあたしの手中にあります。思い通りに行かない駒など無い」
ジョン首相は豪快に高笑いをしていた。
次回につづく




