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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
ブルーメンヘッド編
77/121

ずっと貴方の手を握っていたかった。

長い間お待たせ致しました。更新頻度を上げるためにストックを積み上げていたらこんなにも時間が経ってました。時が経つのは早いですね!なんてね!

本当に遅れてすいませんでした!

  パトラは目を瞑って「護衛幕」と唱えるがハクが剣を振るう度に生じる衝撃波で幕は破かれた。

  「テェンタァクル(触手)!!」ロンディ首相は手のひらから魔方陣を発生させ

 触手が芽生えた。それはハクの剣にまとわりつく...。

「ロンディ首相あたしに歯向かうことは帝国を敵に回しますよ。わかっているんですか?」

  「わかっててやっているんだ。じゃなきゃこんな無謀な事はやらない。」

「全くどいつもこいつも役立たずですね。貴方は帝国の手駒として都合よく動いていれば良かったんです。」ハクは華麗な剣さばきで触手を切り裂いた。

「民を蔑ろにしてまでこの国を好き放題させたくなかったんだ。このまま帝国と

 同盟を続けたとしてもブルーメンヘッドが無茶苦茶になるだけだ。」

「なったらいいじゃないですか?テゼルトは奴隷としてよくやってくれてますよ。見習ったらどうですか?」

  ロンディ首相は怒りで拳が震えたがこの男に力では敵わないと分かっていた。

「俺の事を忘れるなよ!騎士様ァ!!」

  ケンは類まれな跳躍力でハクに斬りかかったが猛烈な蹴りを入れられ吹き飛ばされた。

「影が薄いですよ。何をやろうとしてるですか?」

 ハクは今まで静かだった博士達に視線を向けた。

  アイラは床で四つ這いになりブツブツとなにか唱えていた。横にいた博士は

 震えた手で銃を向けた。

「何しに来たんだ!!この国のことは任すんじゃ無かったのか?」

「そんな事言いましたっけ?白魔王様がブルーメンヘッドの資源や土地が欲しいって言ったんで私はあなた方に命令しただけですよ。まぁ上手くは行かなかったみたいですけど死んでくれません?」

  パトラ達はこの男が言ってる事が訳が分からず異様な視線を向けた。

「何で死ななきゃいけないんだよ!!」

「生きていたら都合が悪いからですよ。この事件の当事者は貴方達です。マスコミは貴方達を問い詰めて帝国を悪者扱いする。要は面倒臭いですよね」

  ハクは狂った笑みを浮かべた。

「こんなところで引き下がらないわ!ファイアブレイク!!」

 アイラが唱えた魔法のせいで床が砕かれ炎が燃え盛る。

「アイラ、博士...名残惜しいですがさよならしましょうか。痛いのなんて一瞬ですよ。毒矢(ポイズンアーチェリー)」ハクは魔方陣を描いた。その中から無数に矢が現れアイラ達は射貫かれた。平伏し床が血に染まっていく...。

「さて次は貴方達ですよ。この炎の餌食になってもらいましょう?」

  燃え盛る炎の中で熱いのにこの男は悠然と立っていた。

「ねぇ貴方は10年前の事知っているわよね?」

「なんの事でしょうか?見覚えがないですね。」

  パトラがそう尋ねるが惚けるだけだった。

「あの時、貴方の主人である白魔王様はどうやって燃え盛る炎の中で逃げおうせたのかしら...」

  パトラは不気味な笑みを浮かべ「濃霧」と唱えた。辺りは濃い霧に包まれ

 ハクは気配を探るが何も感じられなかった。

「逃げられましたか...往生際が悪いですよ博士」

  博士はハクの足を掴んだ。

「こ、こんなところで...」

「死にたくないんですか?もっと苦しんで死にたいんですね。それは白魔王様に

 お任せしましょう」

  ハクの背中に漆黒の翼が生えていた。2人を背負い帝国へと空を飛んだ。


 ✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

  パトラの息遣いが荒く立ち止まってしまう。

「ここまで逃げれば大丈夫よ」

  パトラ達がたどり着いたのはブルーメンヘッド森林だった。あの凶暴な魔物が

 居ないだけなのにとても静かに感じた。

「君達にはお礼を言わなければいけない。ありがとう。これからブルーメンヘッドは苦難に見舞われるだろう。でも国民とフェルトと一緒に帝国の支配から抜け出してみせる。」ロンディ首相は2人に歩み寄った。

「期待しているわ...もうあたし達の役目は終わった。」

 パトラは安心したかように微笑んだ。

「君達にはわかりあって欲しい。長い間一緒にいたせいで気づけない事だってあるから俺もフェルトと話さなければいけない。君達の幸福を祈るよ」

  ロンディ首相は優しく笑いかけ去っていた。

「余計なお世話だ。」ケンはそう冷たく言い捨てパトラを置いていく...。

  この場にいるのはケンとパトラだけだ。2人とも沈黙が続いたせいか

 空気が重く感じた。

「待って!あたしはあの時ケンが助けてくれてなかったら無茶苦茶にされてた。

 私を連れて一緒に逃げてくれたよね...握れなかった。ケンの手を握っていたかったのに感じてしまったらこれが現実と思うのが怖かった」

 パトラは思いが溢れ出しそれは涙となって現れた。

「マスターの言葉で目を覚ましたんだろう。そんなお前に俺はなんも言えなかった。どう言葉をかければいいか分からなかった。」

  ケンは振り向かずただ俯いていた。

「誰かに何も言われなくてもマスターのあの言葉がなかったとしても私はあの時、剣を握っていたよ。亡くした村の人達や両親は戻ってこない。でも意志は繋ぐ事は出来る。あの時の私はそれに賭けたの...」

  パトラは背後からケンの手を握った。

「だから自分が不甲斐ないなんて思わないでよ!ケンがあたしの命を救ってくれたんだよ。誇りに思ってよ。ケンはあたしにとってのヒーローだよ」

  握った手は握り返された。

「守ることしか出来ない奴がか....」

「私をあの時ボロボロになりながらも守ってくれたから今のあたしがあるの。本当はずっと貴方の手を握っていたかった...」

  ケンは振り向いてパトラの手を強く掴んだ。

「帰るぞ...」パトラは静かに頷きブルーメンヘッドを後にした。


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