操り人形は、踊り狂う
大幅改稿致しました!とりあえず褒めてください。
こいつ何言ってるんだと思いますがこの作者は、褒めれば伸びます。つまり褒めてください。
彼女の脳裏にこびりついているのは、昨日の記憶だった。
それが胸を締め付ける。敵のボスが落とされた時、ボキボキと折れる音がした。
骨が粉々に砕け散りって周辺が血の海となっていた。
思い出す度に地獄で吐き気がする。彼女は、こう思っていた。
自分が捕まったらああなるんだろうかと考えば考える程、怖くて眠れもしない。
「 ヒルア。どうしたんだい?もう遅い時間なんだから寝なさい」
叔母は、ヒルアの部屋の明かりを見るなり、部屋に上がりこんだ。
「そうだね。もう寝なきゃね」
「 今日の事を気にしているのかい?ニュースで見たけど、酷い有様ね。まるで
国民は、政府の操り人形よ」
「叔母ちゃん。悪者は、どっちなんだろうね?あんな殺し方あるのかな」
ヒルアは、顔を枕にうずくまり、辛そうにしていた。
「まさに公開処刑だろう、でも政府側は、悪くない。世論は、テロを起こした犯人が悪い。そりゃそうだけどねぇ。原因は、そっちのせいなのにね」
テーブルには、叔母が作った暖かいミルクが置かれた。
ヒルアは、それを息を吹きかけながら飲んだ。
「──あたしは、ヒルアが逃げない事にしたのには、反対は、しないさ。でも本当の敵くらいは、見分けな。どこにいるか分かんないだから」
「叔母ちゃん、それってどういう意味?」
ヒルアは、振り向いて、叔母にそう尋ねるがはぐらかされた。
「さぁね、それ飲んだら寝な」叔母は、ヒルアに優しく笑いかけ、自分の寝室に
入っていた。彼女は、明日もギルドに行かなきゃだめなのだ。
「早く寝よう。」と呟き、寝床に入った。目を瞑った瞬間に夢の中に連れ込まれた。暗くて、真っ黒で闇、そのものだった
「子供にやられたなんて、示しがつかないでしょ。あたしのエライの。分かる?
世界を支配しているのだから。強くないといけない。逆らう者なんて誰もいないわ。だからヒルア、貴方は、死んで欲しい。あたしを脅かす存在なんていらない。今すぐ消えなさい。地獄に落ちたらいいわ」
彼女にその黒づくめの奴は、罵声と冷たい目を向ける。首筋にナイフを突きつけられ、彼女は、目が覚めた。夢から抜け出した世界は、綺麗で陽が射していた。
『理不尽』という言葉がきっと似合うだろう。でも夢の中の黒づくめの奴は
笑っていた。
彼女が狂気的に恐怖を覚える程に...。
彼女にとって、あれは、なんだんだったろうと考えても、不気味で気持ちが優れない。答えなんて見つからず、彼女は、早々に家を出た。
ワールドプロジェクトに着いたのは、いいが誰もおらず、ホールの椅子に
座り込んだ。
誰もいないなんてめずらしい来るのが早すぎたのかベルがなり、2人の男女が
いた。
「ラブリー、疲れちゃった!せっかく仕事から帰ってきたのにみんな居ないよ
ジスタ」巨大な扉が開くと、彼らが入ってきた。
「 俺に言われても困りますよ、いないのは、仕方ないでしょまだ朝の早い時間ですし···」眼鏡をかけた青年は、ため息交じりにそう呟いていた。
「 つまんないの」と呟いた、オレンジ髪の女性と目が合い、何故か睨まれる。
「あたし、新しくこのギルドに入った」
「ヒルア·ダルクさんですね、マスターから聞いていますよ。俺は、ジスタで横に
いるのは、ラブリー」
「よろしくね、ヒルアちゃん、あたし達、2人とも魔法使いだから肩身が狭いんだよね」彼女は不満そうにツインテールの髪を揺らしていた。
「魔法使い?」ヒルアは、驚きとあまり聞き返してしまう。千武族にとって敵同士では、ないのかとヒルアは、そう思っていた。
「マスターは、千武族と魔法民の共存の平和を目指しているのです。だからどちらもいるんですよ」
「すみません。なんか失礼な聞き方をして」
メガネを掛けた青年は、にこり笑い、首を振った。
「 でも貴方にとったら魔法民なんて全員、敵みたいなもんですから···。」
青年の後ろにいたオレンジ髪の彼女がひょっこりと覗かせる。
「 そんな事は、ないでしょ、ジスタ!ヒルアちゃん。これから、昨日みたいな
理不尽な事に慣れないとこの先、しんどいよ」
「 昨日の事、知っているの?あれは、日常なの?」
ラブリにヒルアは、そう尋ねたが険しい顔で返された。
「 日常茶飯事だよ、テロ首謀者が悪いでも、あんなことまでしなくいいんじゃ
ない。そんな考え方は、甘いよ。この国は、逆らう者には、容赦は、しない」
「 それが魔法ギルド局のやり方ですよ。今日は、ヒルアさんには、俺達と行動を
共にしてもらいます。さて街観光と行きましょうか···。」
─────ジスタとラブリーに連れられてきたのは、城下町であるホワイト
キング都市だった。ヒルアだけ黒づくめのローブだと可笑しいからと3人とも同じ格好だ。
「 気をつけて下さいね、必ず、王が来たらひざまついて下さいよ。逆らったと
見なされますから」
「 うん分かった。ここには、よく来るの?」
ラブリーがヒルアの横を歩き、ジスタがその後ろを歩いていた。
「王宮の近くだからね。ここをまっすぐ居たらあるよ。ちょうど、魔法ギルド局の隣だよ」
ラブリーは、穏やかな声でヒルアに説明をしていた。
「そのギルド局ってどんなところなの?」
ラブリーは、何故か切ない顔をしていた。ヒルアは、彼女になんがあったのだろうと不思議そうに思っていた。
「 世界中の優秀な魔法使いが集まり、事件やテロを未然に防ぎ、まぁ要は
警察みたいな所だね」
ラブリーの切り替えは、早く、先程の表情とは、大違いでにこやかにしていた。
「 今日は、城下町の観光ですし、ここを見たら大体、世界の情勢は、分かります。勉強になりますよ。悪い意味ですが···。」
ジスタは、どこかを見ていたが視線を追うと、音がした。
「 ん?それは、どういう事?」
バシャと水の音がして、振り向くと小さい男の子が女性に水を誤ってかけた
みたいだ。
「 これは、まずいかもしれませんね」
ジスタは、溜息を漏らし、男の子の方に少しずつ近づいていった。
「 不味い所の話がじゃないよ。助けなきゃ、もう、呑気なんだから」
ラブリーは、ジスタの肩を揺らすがものともしない。
「助けるって、水をかけられた位でそんなに大事にならないでしょ」
ヒルアがそう言うと女性から耳を疑う音が聞こえた。
『チッ』どこからか舌打ちがして、発信源は、水をかけられた優しそうな顔をした女性だった。
「ねぇ、坊や、何をしたか分かってる?この白魔王様に水をかけたのよ。どうしてくれるのかしら?」
後ろにいた親が慌てて、出てきた。無理矢理にでも子供に頭を下げさせる。
「 すいません。服も弁償致しますから許してください」
「 ねぇ、平民に弁償出来ない位に高い服なのにそんな事、出来るのかしら?
どうやって、教えてくださる」と言われ、親は目が泳いで言葉に詰まってしまう。
「 ちょっと傲慢すぎじゃないかな、白魔王様。お久しぶりです」
ラブリーは、にこやかだが、目がわらっていない。ヒルアは、2人から距離を
置き静観していたが互いに火花が散り、穏やかじゃない。
「 反逆者じゃない?久しぶりね。あたしにまた盾をつかおうとしているの?
馬鹿じゃないの」
女性は、嘲笑い、まるでラブリー達を下に見ているみたいだ。なんか気味が
悪い。
ジスタは、彼女に身を隠せと耳打ちしていた。ヒルアは、言われた通りに壁に
隠れたがこの先、どうするつもりなのだろうと彼女は、そう思いながら見守って
いた。
「 馬鹿ではないですよ誰かさんみたいに方向音痴でもないですし...。」
「 あたしの事を言っているの?」
女性にギロりと睨まれるがジスタは、全く動じない。
「誰もそうとは、言ってませんよ」
ジスタは、にこやかに笑い、完全に女性の事を煽っている。
「 ムカつくやつね。邪魔しないでくれる?恐怖政治を子供に教え込んでいるの」
「自覚しているんですね、それは、余計なお世話ですよ」
ジスタにそう言われると白魔王は、妖艶な笑みを浮かべた。
「そうよ、あたしがすることは、なんでも正しくなるの。だって世界がそういう風にしてくれるから」
「あなたがそうさせてるだけでしょ」
ラブリーは、声にならない程度にこう呟いた。
「子供と一緒に逃げて」とヒルアに合図を出した。
「一緒に逃げよ、怖くないよ」
男の子の手を掴み、見失う程度に逃げた。追ってもこないし、大丈夫だと思い
ヒルアは、立ち止まった。
「お姉ちゃん、ありがとう!助かったよ」男の子は、笑い、親は、申し訳そうに
していた。
「 ありがとうございます。なんかお礼をしなくては」
「 大丈夫ですよ。じゃあ、あたしは、行きますよ。もう、家に帰ってくださいね。その方が安全かもしれないんで」
2人とも頷き、ヒルアに向けて笑顔で手を振ってくれた。
彼女にとって、王が国民を脅かすなんて聞いたことがない。ラブリーが言って
いた。理不尽は、日常茶飯事に起きる。
いつもの事って済まされているのかもしれない。
それほどにこの世界は、可笑しい。彼らは、何とか足払ったのか、安堵した様子でこちらに駆け寄ってきた。
「ヒルア!無事だったみたいだね、部下に連れられて、帰ったよ」
ラブリーは、疲れた様子で溜息を漏らしていた。
「中々、苦労しましたけどね。さぁ行きましょうか。次は、市場に向かいますよ」
ジスタの問いにヒルアは、頷いた。彼等達は、気を取り直して足を踏み
出した。
次回に続く。