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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
ブルーメンヘッド編
68/121

慈悲深き帝国。

  右手に握ってる筆は、震え汗が滲んだ。

 彼女は、白魔王様の事を慈悲があると言っていた。一体これのどこがあるのだろう。ロンディ首相は、1枚の書類を握り締め、黙読した。

 帝国とこれからも友好な関係を築く事。

 もし他国との戦争になった時は、共闘しそちらが滅びようともこちらは、支援しないし勝手に滅んだのは、そちらだから....。

 もしブルーメンヘッドに戦争やテロを仕掛けられてもこちらが利益を感じない限り援軍や支援は、しない。利益が生じたらそちらの建造物や民間住宅に見境なく

 戦争を支援しよう。

  ロンディ首相は、それらを読み終えた瞬間に書類を強く握り締め、歯ぎしりを

 起こした。ブルーメンヘッドは、まるで...まるで帝国の奴隷だ。

 こんなの帝国にしかメリットがない。

 自国の事しか考えない奴らと同盟を続けるか...そらとも同盟を剥奪して帝国と

 対立することを選ぶか?それは、あまりにも愚行だ。

 あの白魔王に勝ってるはずない。

  「あら...そんな重く考えなくてよろしいのですよ...ロンディ首相。ここにサインをすればブルーメンヘッドは、安泰ですよ」

  アイラは、彼の耳元で優しく囁いた。

「考えさせてくれ...アイラ研究員」

 ロンディ首相は、俯いたままで筆をテーブルに置いた。

「ブルーメンヘッドの立場でそれを言うか?いつまでも待ってくれるとは、限らない。白魔王様は、相手をゆっくりと追い詰めるのが好きだ。だがいつ首を締められるか分からないぞ」

  博士は立ち上がり、ロンディ首相を見下ろした。アイラは、首相の首にナイフを擦り付け、地を這うような低い声でこう呟いた。

「言っておきますが国民の声なんて雑音だと思ってください...貴方は、白魔王様の操り人形です。それは、先祖代々変わらないのです。わかっておりますよね。」

  「分かってるさ...だからあたしにナイフを向けるのは、やめてくれないか?」

  アイラの手を握って振り払おうとするが強く簡単には、退けられない。

「貴方には、拒否権は、無いのですよ。」

  突如としてドアを叩く音がしてフェルトが入ってきた。

「ロンディ首相に何をしているのかな。君達は...」

 フェルトは、咳払いをしてアイラ達を睨んだ。

「ただの戯れですよ。フェルト官房長官...」

  アイラは、微笑んでナイフを急いで閉まった。

「それが君達の戯れか?わしの魔法で少し遊ばないか?」

 フェルトは、使い古した杖を振りかざして見せた。

「もう冗談がお上手なんですから!話が終わりましたので帰らさせて貰いますね。あの件に関しては、前向きに考えてくださいね。」

 アイラは、不敵に笑い博士を連れて、首相官邸を去っていった。

  「フェルト...君は、魔法が使えないのになぜ杖を持っているのだ?」

「ただの脅しだ。ロンディ首相...ブルーメンヘッドの現状をちゃんと見て頂きたい。帝国との同盟を続けるのは、危険すぎる。」

  フェルトは、ロンディ首相と向かい合う形で見つめ合ったがすぐに逸らされた。

「それは、分かっているが帝国と対立すれば戦争になる。勝ってるはずがない。」

  ロンディ首相は、俯いて顔が沈んでいた。

「何を言うかと思えばそんな事か?」

「そんな事は、何だ!大事な事だろ」

 ロンディ首相は、声を荒げられ激しく激高した。

  「これは、友人として言うがやってみる前から結果を決めるな!どうなるかなんて分からない。だが手は、尽くせ!君は、国民を最優先に考える首相だったはずだ。今は、その面影すらないぞ」

  フェルトは、息が荒く感情が激しく(たかぶ)った。

「俺は、もうどっちの声を聞けばいいか分からない。白魔王様には、国民の声など雑音と思えと...でもそうとは、思えない。」

  ロンディ首相は、顔を腕で覆った。

「そうか...ある青年がワシにこう言った。何もしてないんだよ!する前から怯えるなよ!帝国に奪われるのが嫌なら、どんな事をしてでも守り抜くんだよ。わしに

関係ないと言われても、俺達でブルーメンヘッドを守る。黙って見てろ!と言われた。」

 彼は、部屋をゆっくりと歩き語った。

「フェルト、お前は、一体何をするつもりなんだ?何をしているんだよ!」

  ロンディ首相は、フェルトの肩を揺らすが全く動じない。

「お前が行動しないから自国のことを思い行動してるだけだ。何もしないのなら

黙って見てろ!ブルーメンヘッドは、ここまでは、帝国に支配される。お前は、何も分かっていない。国民が国の現状に苦しんでいるのにどっちの声を聞けばいいか分からない?そんなの決まってる。国民の声に決まってる。帝国の事など雑音だと

思え...」

 フェルトは、顔に血管がほとばしる位に怒り狂っていた。

「お前こそ分かっていない!帝国の事を無視すればこの国が血の海になって燃やされる。どんだけ手を尽くしたって白魔王様の前では、無力だ。」

  彼の頬を叩く音が聞こえ、痛いと共に心が酷く傷んだ。

「ロンディ首相...お前には、失望した。わしは、ある青年達の所に行くからしばらくは、帰ってこない」

  ロンディ首相は、フェルトに初めて冷たくて優しさなど感じ無い言葉を掛けられた。彼の悲しくてさびしい気持ちを置き去りにしてフェルトは、去っていった。


 次回に続く


慈悲が深き帝国ってどこがやねんと思い作者は、描きました。

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