血に塗られた欲望
巨大な魔物によって雷を纏った網は、破かれ散っていった。あんなにきつく締め付けてやったのに壊されるだなんて彼女は、思わなかった。
「雷網が効かないなんて本当に化け物みたいね」
ヒルアは、後ずさんで手汗が滲んだ。
その化け物は、周辺にあった木々を薙ぎ倒していき持ち上げ、振り回したり打ち付けたりしていた。
「攻撃は、単純みたいだな。避けたらなんとなるがキリがねぇ」
木を化け物に振り落とされ、ケンは、斧で何方向にも切り刻んでいった。
パトラは、その隙に「毒鎖」を仕掛け化け物を縛っていく...。
「ヒルア!この化け物に毒は、有効なのかしら?」
パトラは、後ろにいたヒルアにそう尋ねたが首を横に振られた。
「分からないけど雪山で出会った化け物は、火に弱かったわ...」
「そう...毒が聞いたらいいんだけど」
化け物にまとわりついた鎖を強く締め付けた途端に鎖を握り締め雄叫びを上げていた。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
化け物は、力任せに鎖を切ろうとしているが毒に蝕まわれ蹲っていた。
「一応は、効くみたいだな」
ユージンは、ゆっくりとして化け物に近づき、剣を振り落としたが腹辺りに
頭突きをされ、吹き飛ばされる。
「大丈夫?ユージン!!」
ヒルアは、すぐさま駆け寄りユージンは、「無事だ」と頷いた。
「毒は、効かなかったみたいだね...体が変色していないもの」
彼女に言われてみれば化け物の身体は、変色しておらず健康的な色をしていた。
「頑丈な体をしているわね。厄介だわ」
毒鎖は、締め付けてるだけであって毒の効果は、あまりにもなかった。
でも蹲っていたのは、なんだったのだろうとパトラは、首を傾げた。
「この化け物は、よく分からないけど試して見る価値は、あるかもしれない」
ヒルアは、銃を投げ飛ばして、弓へと変化させた。「炎矢」と唱え猛火をまとった矢を放つ...。
「そういう事か...」ケンは、ニヤリと笑い、斧を鎌に変化を遂げさした。「三日月炎」鎌を振るう度に3日月型の斬撃に炎がまとわりつかせ化け物の体を
切り刻んだ。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
化け物は、痛みの悲鳴を上げ肉体は、燃え散って行き倒れ込んだ。
「し、死んだのか?」
ユージンが駆け寄り、生命線を探るが1本も存在しなかった。
「そいつの息は、あるの?ユージン」
パトラは、彼の肩を揺らした。
「無いみたいだ。化け物は、倒したみたいだし聖水を探しに行こうぜ」
ユージンは、立ち上がり、歩きだそうとした。
「ちょっと待って、ユージン」
ヒルアは、ナイフで化け物の腕を切り取って布を巻き付け、鞄に入れた。
「ヒルア...お前気持ち悪い事をするな」
ケンの顔は、険しくヒルアの事を気味悪がっていた。
「そんな事は、分かっているけどこうでもしないと奴らの正体が分からないでしょ。腕は、持って帰って調べるの」
「そうかよ。」ケンは、興味無さそうに適当に返事をした。
彼らは、森林の奥に進み、湖へと足を踏み入れた。
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血が腐敗した匂いがして、目の前の景色に驚愕した。
「死んでいるわ」自分達が開発した化け物が地面に横たわっていた。
「アイラ...誰の仕業だと思う?」
博士は、彼女にそう尋ねるたが当の本人は、怒りを露わにする。
「奴らに決まってるじゃない!研究所を壊したヤツらよ!絶対にそうよ」
奴らの顔は、見たことはなかったが千武族とだけ知っていった。
それは、ハクに教えて貰ったからだ。
「突き止めに行くか?死体は、残っているし殺されて間も無いはずだ。」
「良いわ...あたしは、ロンディ首相に用があってブルーメンヘッドに来たの。ここは、ついでよ」
「そうだな」博士は、アイラの後ろについて行き、森林を去っていった。
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彼らが見ている景色は、美しく綺麗で湖は、透き通っていた。
ここの水は、綺麗すぎる事から聖水の湖と人々から呼ばれていた。
「これで抗薬剤が出来る」ヒルアは、屈んで瓶に聖水を汲んだ。
「それにしてもあの化け物、2匹は、居たよな」
ユージンは、ヒルアの横に座った。
「その2匹は、倒したんでしょ。他にもブルーメンヘッド国内に居るかもね」
「まぁ可能性は、あるよな...」
ケンとパトラは、完全にくつろいでいた。
湖の周辺は、芝生に囲まれ地べたに座っても心地良かった。
「この件は、帝国の脅しらしいわよ。ブルーメンヘッドの首相が動かなきゃどうもならないわ」
パトラは、冷たい声でそう呟いた。
「それは、国を思うなら動くべきだよ。あの化け物を野放しにしておくと国民に
危害が及ぶよ」
ヒルアは、空を見上げ穏やかな声でそう言った。
「その言葉、どっかの首相さんに直接聞かせてやりたいわね」
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密室の空間に沈黙が生まれ、彼は、固唾を飲んだ。
「なんの用でここに来られたかな?」
テーブルに頬杖をつき、アイラ達に尋ねた。
「ロンディ首相...白魔王様は、慈悲がある人です。帝国に距離を置くなんて愚かな事を辞めて、配下になればいいのです。」
アイラは、ゆっくりと言葉を並べ文字がびっしりと記された契約書を差し出した。「ここに署名すればブルーメンヘッドの未来は、安泰ですよ」
アイラは、微笑んでロンディ首相の手を握った。




