魔法が使えなくても誇れる物は、ある。
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この世界では、本当の真実ですら、あの女王様が否定すれば溶けて泡となり、
揉み消された。
皆は、知らない。なんで英雄一族がなぜ魔法が使えない。偶然なんかじゃない。
そう思うのは、使えない理由も使えなくなった経緯まで知ってるからだ。
この世は、腐ってる。
魔法が使えない少年は、劣等感を負い、差別を受けた。その少年とは、ユージンだ。魔法学院に国民は、強制的に入学させられ、魔法学や勉学に励んでいた。
その頃から周りに違和感を感じていた。ユージンが知っている歴史の真実とは、明らかに違い、白魔王は、正義の味方で心優しき聖人でありこの世界の女王様。
どこがだ?そう思う度、ユージンは、憤りを覚えた。そして、魔法が使えなく、何度も挑戦しても爆発してしまう。こんなことでは、魔法学校を卒業出来なくなってしまう。ユージンは、こんな所に長く居たくなかった。早く卒業したいその一心だった。
そんなある日、学校の噂で偉いさんが来ると噂になっていた。ユージンは、
そんな事に興味は、なく、訓練場で魔法の練習をしていた。
「熱心ね。でも使えないのと出来ないのとは、違うわ」
嫌悪感を覚える声がして、振り向くと白魔王が居た。
「なんであんたがここにいるんだ?」
「相変わらず生意気ね。今日は、貴方に話があって来たの」
「話?」と聞き返すと白魔王は、腕を組み始めた。
「貴方、このままじゃ成績悪すぎて卒業できないでしょ...あたしが卒業させてあげるわ。その代わりにあたしの護衛騎士に任命してあげる。悪い話じゃないでしょ。」
誰から聞いても悪い話では、ない。女王様の護衛騎士など永遠の富を約束されてるのと同じだ。
それは、普通の人間だったらの話しだ。ユージンにとっては、悪い話でしか
なかった。護衛騎士とは、つまり白魔王の奴隷だ...。
「断る。卒業位なら努力すれば出来る。」
「努力でどうにかならないわよ」
白魔王は、ユージンの言葉を笑い飛ばした。
「貴方、知っているのに馬鹿なのね。貴方は、あたしにすがることでしか生きれないのよ。英雄一族は、皆そうだったわよ」
「違う!偽りしかない歴史を教えたお前が悪いだろ!英雄一族を本当に英雄だって思い込んでる。本当は、違うのに...」
俯いてるユージンに白魔王は、狂気の笑みを浮かべた。
「何百年前の話をしてるのよ。そんな事は、とっくの昔に忘れたわ。あなた達が
執着する奴は、悪者扱いされてる。それだけよ。」
「それだけ?コケにするなよ。お前が踏みにじり、逆らった奴を死体にしてその上で栄光が維持されてる。いつまでも、そうだと限らない。」
白魔王を肩を揺らすが、眉を1つ動かさなかった。
「ほんと生意気ね。あたしは、白魔王よ。お前呼ばわりしたからには、卒業どころか退学よ。早くこの場から出ていきなさい。」
「出ていってやるよ。じゃあな!」
ユージンは、鞄を持ち上げ、ドアに手をかけた。
「英雄一族は、あたしの手からは、逃れられないわ。そして魔法が使えない貴方は、世界から差別を受ける。プライドは、捨てなさい。チャンスをあげる。」
白魔王は、穏やかな声で誘惑の匂いを漂わせた。
「魔法が使えなくても俺は、俺だ。爺ちゃんとの約束だって、破る訳に行かない。護衛騎士なんかには、ならない。」
「あら残念ね。貴方の爺さんは、あたしに何度も逆らい、老衰して死んだんでしょ、ろくな死に方しないわね。」
高笑いして、こちらを不快に思わせる。
「お前が爺ちゃんを語るなよ。散々、ないがしろにしたくせに...俺は、長話は、嫌いだ。ササッと出ていく。」ドアを開け、ユージンは、訓練場を出ていった。
「お爺さんと同じ人生を歩むのね。それは、苦難と生き地獄ね」
白魔王は、不気味な笑い声を上げた。
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ユージン達がいる所では、雪が強まり、アイラのそばにいた異形の魔物も体が
震えていた。
「さっきから、何をボッーとしているんだ」
博士に話しかけられ、意識がハッとした。
「してる訳ないだろ...あんた達は、ここで何をしようとしているんだ?」
「こ、ここに緑を増やそうと思ってな。肥料を撒いていたんだ。ほら、雪が紫に
染まっているだろ」
「ここは、山だから、緑いっぱいだけどな。しかも紫って毒かなんかかよ。」
博士を睨むと明らかに動揺を見せ始めた。
アイラと博士の周囲には、魔物の死体が散らばり、口の中には、紫色した雪が
入っていた。
「進化に適応しない奴は、死ぬのか?聡明なアイラ博士なら教えてくれるよな?」
「何を言ってるか分からないけどそうよ。あたし達が作った毒なのよ。効果抜群よ」アイラは、饒舌に語り始めた。毒の正体など分かってる。あの森で見かけた 魔物と姿が似ている。ユージンが知りたいのは、弱点だ。
「それ以上は、語るな!アイラ...ユージン、お前が何を企んでいるか知らんが、邪魔するならここで死んでもらう。」
博士は、異形の魔物を鞭で叩き、怒りを震わせた。
ユージンの横にあった木は、魔物が振り落としただけで粉々に砕けた。
ユージンも咄嗟に剣を振るい、腕を切り落としたがすぐに再生して、無傷に
近い。「彼は、無敵だ。魔法が使えないお前は、負ける。」
そう言った後、博士は、ユージンを見下し口角を上げた。
「魔法が使えない」その言葉は、何度聞いたのだろう。劣等感を負わせるだけで
無意味なのに何故そんなにも重いのだろう。
「ユージン!魔法が使えなくても誇れる物は、あるよ。貴方には、揺るぎのない
信念。絶対折れない剣がある。それを振れば勝てるはず...」
仮面をしたヒルアが頭上の崖から顔だけを覗かせていた。「お前は、誰だ!」
博士がそう言うとヒルアは、巨大な袋を持ち上げた。
「ユージン!後ろに下がって!」声にならない小さい囁きで彼は、下がり、事を
見守った。「ありがとう、仮面の人。」
ヒルアは、コクリと頷き、雪が入った袋を落とし、アイラと博士と下敷きになって、意識を失った。
───だが魔物だけは、そこに立ち尽くし、今にもユージンを襲いそうだ。
「大丈夫だ。俺は、爺ちゃんに貰ったこの剣があれば無敵だ。」
彼は、風を纏い颯爽と走り抜け、異形の魔物に立ち向かう。
次回に続く。




