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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第3章 魔法世界に狂わされた少女とある1人の男と千武族の戦い。
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女王の栄光と揺れ動く独裁。

  博士の意識が途絶えていく、熱く、まるで体が燃え上がるようだ。彼は、ここで死んでいくのか?誰か...誰か助けてくれと祈るが、誰の足音も聞こえない。

 数時間前、ラブリーとジスタは、気を失った博士達の傍に居た。

「寝たみたいですね、どうしますか?」

「分かってるくせに聞くんだね、ここに燃え移るまで時間が無い、逃げるよ」

 ジスタは、彼女の腕を掴んだ。

「ラブリー?白魔王は、この事態を揉み消すでしょう...」ジスタは、震えながら、拳を握っていた。

「今は、そんなこと言ってる場合じゃないよ?逃げ遅れたら死んじゃうだよ」

  ラブリーの言う通り、火は、今すぐにもこちらに燃え移りそうだ。

「揉み消されたらルビアの苦しみは、永遠に報われる事は、ないでしょう。そして、世界は、変わることなく平穏を...」

「何が言いたいの?どんな事をしたって消されるものは、暴いても消されるの」

  ラブリーがそう言うと、ジスタは、何故か笑っていた。

「何でも利用しましょうよ。ラブリー?この事態を嗅ぎつけた野次馬を...」彼女は、目の前にいるジスタのその言葉で窓を覗いた。フラシュ音が聞こえ、大型のカメラを持った記者が立っていた。

「手段なんて選んでられないね。いっその事、ここを爆破して火に爆弾を投下しよう」 ラブリーの言葉にジスタは、頷いた。

「その方が良さそうですね」彼は、手榴弾を投げ入れ、唯一の出口である窓から、飛び降りた。そして、ヒルア達の元へと降り立っていく...。


 *****

  ヒルアとパトラとケン以外の生命線を感じて、ユージンは、周りを見渡すが、 怪しい者は、いない。「どういうことだ?」

「ここですよ、ユージン」ジスタは、魔法の力で浮遊させ、ゆっくりと地上に降りていた。「大丈夫だったのか?ジスタ」

  すぐさま、ユージンは、彼らの元へと駆け寄っていった。

「まぁ...何とか行けましたよ。それよりも、オークは、倒せそうですか?」

  彼らの周辺には、血走った目をしたオークが数十匹、居た。

「もうちょっとだ。それにしてもマスコミが邪魔だ。まともに戦いも出来ない」

 彼らをさらに囲うようにマスコミが集まっていた。さっきまでこんなには、いなかったのだが、数十人位に増えている。

「そうですか...マスコミは、俺達がどうにかするのでオークを殲滅して下さい」

 ジスタにそう言われ、ユージンは、頷いた。彼は、次々とオークを大剣でなぎ倒していた。「炎囲(えんい)」とヒルアは、唱え、オークを炎の檻に閉じ込めた。

「ナイスだぜ☆ヒルア、集中剣華!」

  得意げにケンは、剣を何本も花びらのように並べた。そして、檻に乱立していく、返り血を浴びると、まるで鬼のようだった。

「終わりみたいね。骨が折れちゃうわ」パトラは、紫の髪をなびかせ、銃を閉まっていた。「ジスタとラブリー何やってるんだ?」

  ケンは、振り返り、あちらの様子を気にしていた。

「ジスタが悪い顔をしてたわ。何か仕掛けてるじゃないの?」

 彼等達は、マスコミの相手をしており、カメラの前で何か話していた。

「ふーん。どうでもいいから、早く帰ろうぜ」

  ケンは、疲れ切った顔をして、ため息を漏らした。

「どうでも良くないわよ。ジスタに話を聞かなきゃ分からないことだってあるのよ。待つの!」パトラは、去っていくケンのフードを掴んでいた。

「....はぁ、わかったよ」彼は、呆れた様子で項垂れていた。

 *****


  彼らの目の前には、熱心に科学機関の爆破の様子を話す記者が居た。別に奴らには、悪意も何も無い。ただ真実を知らないだけだ。

「取材中にすいません、俺は、魔法使いのジスタです。この事件の真相も知っています。ある事情で顔出しは、出来ないのですが、皆さんにお伝えしたいことがありまして...」記者の肩を掴み、ジスタは、にこやかに答える。

「はい、是非お願いします、あたしも国民に真実をお伝えしたいです。じゃあ、 音声のみの取材ということでよろしいでしょうか?」

 記者のその言葉にジスタは、頷いた。

「最近、どうも魔物が大量に増え、凶暴化もしていた。怪しいと思い、俺達は、 森や洞窟や遺跡を調査しました。その中でスモークウィルス、ビースト、以前、報じられていましたよね?誰かが誰かに揉み消されましたけど...それには、訳があったんです。どの事件もこの国際科学機関が関わっていたからです。」

「でも、科学機関が何故そんなことを?」 記者の女性は、不思議そうに尋ねた。

「はい、それは、独裁政権が長期化し人々は、体制に疑問を抱きます。あなたもそうですよね?」彼女は、ジスタにそう聞かれ、小さく「うん」と呟いた。

「政府は、求心力を失いつつあります。それは、他国にも影響も出ますし、帝国にとって都合よろしくない事でしょう...だから、世界に誇れる軍事力で圧倒的な力を示し、かつての帝国を取り戻そうとしているんです。」

 ジスタは、淡々と冷静にそう語っていた。

「...それがスモークウィルスやビースト」

  彼女がそっと呟くと、ジスタは、頷いた。

「貴方は、鋭いですね、そうです。それらを作ったのが国際科学機関なのです。 そして、事態は、マスコミに報じられる事になり、ここは、研究員が揉み消すため、爆破されたのです。」

  女性の記者は、ビルを見るなり、震え立っていた。

「そうですか、それが真実なのですね...。これは、許されない事です。しかも、 ルビアのという女性のせいにして、もみ消そうとするのですね。この事態について、あたしは、白魔王様にご説明をお願い致します。国民の皆様に...」

  彼女は、真摯な態度でカメラと向き合っていた。


 *****

  彼らがいたホワイト砂浜には、亀裂が出来て、戦いを物語っていた。

「ジスタ、偏向報道の手伝いしてどうするの?ねじ曲がって伝えてるよ」

  記者の取材が終わり、ジスタの顔がすっかり疲れていた。 彼女のその言葉にすぐに答えられずに居た。

「俺らがしてなくても、あちらは、そうしましたよ。ラブリー、これで、いいんですよ」「流石に汚すぎるよ。あたしは、ジスタ君がしてる事は、正義だとは、思わないよ」 ラブリーは、非常に辛そうな表情をしていたがジスタは、冷たく引き離した。「何も真実だけがすべてじゃないでしょ」

「ジスタ君の中でそうかもしれないね?でも...」

  ラブリーの言葉を遮るようにパトラが間に入った。

「揉めてどうするの?あたしは、別にジスタは、悪い事をしてないと思うわ。汚れ役になっただけよ。それにもみ消されるよりかは、マシじゃない?ラブリー」

 パトラは、彼女にそう言うが、不服そう顔をしていた。

「そうだけど、だからって、ねじ曲がった真実を伝えるのは、良くないよ。どうなっても、あたしは、知らないからね」

「...ラブリーの言う通りかもな。ジスタ...あのビルから生命線が3人も見える、生き残ってるかもな」ユージンは、ジスタの方に触れ、ビルを一心に見つめていた。

「···そうですか、賛否両論ですね。どんな事が起こってもおかしくないですし、見守るしかないですね」ジスタは、ため息を吐きながら、そう語っていた。

「ねぇジスタ、きっとルビアちゃんは、報われるんだよね?」

 ラブリーのその言葉に彼は、遠くの方を見据えていた。

「俺だってそう願っています、この事件の1番の被害者は、ルビアなんですから····」 ――眩しい、その言葉は、白魔王にふさわしいだろう。周辺には、カメラのシャッター音が響き渡る。「白魔王様、会見です。」部下にそう呼ばれ、彼女は、表に望んだ。


 次回に続く。

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