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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第3章 魔法世界に狂わされた少女とある1人の男と千武族の戦い。
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魔法は、こうやって使うんだよ!

  ジロンは、何故、ここに居るのか、不思議で仕方なかった。彼は、今まで、上の者には、逆らわないでいた。だからか、浮いたようにも感じていた。彼の周囲では、刃と拳がぶつかり合う音が周囲に響き渡っていた。ルビアは、剣を片手に魔物の拳の追撃になぎ払っていく...。

「ジロン、こんな時に聞くのは、なんですが...どういう風の吹き回しなんですか?」ジスタに軽く肩を叩かれ、ジロンは、振り向いた。

「相変わらず、失礼な奴だな。俺だって、国際ギルド局員として正義を貫きたかった。でもそれが、無理だって、やっと分かったんだ。」

  ジロンは、ジスタを真っ直ぐな目で見つめたが、複雑な表情をしていた。

「...ふーん、そうですか。てっきりあなたは、過去にしがみついてる人だと思ってました。」「ジスタ!お前、本当に...」ジロンは、ルビアに防御魔法を施してるせいで振り向けないが、絶対に嫌味な顔をしてると思っていた。

「ジロンが気にしてるだけであたしもジスタもあの時の事は、なんも思ってないよ。ジロンの事だから、自分なりに頑張ったんでしょ。たった一人の少女を救う為に...結果がどうであれ、あたしは、味方がいた事に嬉しく思うよ」ラブリーは、 ジロンの背後にいて、声だけでも分かるような優しい呟きに聞こえた。

「う、うるせぇ、今更そんな事を言われても困るだろ...」ジスタは、ジロンの耳が赤く染まっていることを気づき、何故か笑っていた。

「そっぽ向いても、鼻の下伸びてるの知ってますよ」

「やかましいわ!ジスタ、お前は、ほんと余計な事しか言わねぇな」

  こんなくだらないやり取りは、もう辞めだ。目の前の事に集中しろと心の中で何度も唱えた。ルビアは、銃と剣を駆使して、戦っているが、魔物に切り傷を与えるだけで致命傷にもなっていない。それほどまでにこのオークは、化け物なのか?

「言っておくけど、そいつ強いわ。多少の物理攻撃なら効かないわ」アイラは、髪を掻き上げ、博士と一緒に石に座っていた。

「多少...強い衝撃なら効くんですか?教えてくださいよ。天才科学者なんでしょ」

  ジスタは、淡々と揺すりをかけるが、アイラは、全く動じない。

「お前なぁ...そんなあからさまな揺すりが通用すると思ってるのか?」ジロンは、呆れて、ため息を零したが、アイラは、あっさりと口を開いた。

「あたしは、なんだって天才よ。そんな事を知って、当然よ。言霊術でも使ったら...」「君は、黙りなさい!敵にアドバイスしてどうする」

  博士は、アイラの口を塞ぎ、喋らせないようにしていた。

「してないわよ、博士!!」アイラは、博士の腕の中で暴れ、必死に引き剥がそうとしていた。「はいはい。遅いです...ルビア?オークは、火に弱いので、強いめでお願いします」彼の問いかけにルビアは、静かに頷いた。

「分かりました、ジスタさん」

  彼女は、無理やり魔物を押しのけ「業火」と呟いた。そして、炎は、激しく燃え盛り、重度の火傷を負わせた。魔物の悲鳴が聞こえる度に可哀想にすら思える。博士達に何もされなければ、こんな死に方をしなかったはずだ...ジロンは、そう思い、強く博士達を睨んだ。

「アイラさん?あたしは、貴方達が博士にした事、忘れたりなんかしません。どんなにデータを消されても、虐げても、ルドーワ博士と過ごした日々は、消えない。ちゃんと心に残ってます。」ルビアは、博士達だけを一途に見つめていた。

「ふーん...ロボット風情(ふぜい)が何が心よ?復元を出来るようにしてただけでしょ」

  アイラは、嘲笑い、冷たくそう言い捨てた。

「それを良いように利用してるのに馬鹿にするんですね。貴方達には、分からないでしょう。どんな生物でも奇跡だって起こせるんです。絶対は、無いですよ」

「あなたがそんな非現実的な事、言うとは、思ってなかったわ。てっきり、リアリストだと...ジスタ?」アイラは、軽く笑い飛ばし、ジスタの言葉など相手にしていない。「ジスタさん、いいです。貴方達には、分からないですよ。それより、ビーストやスモークをばら撒くの辞めてもらっていいですか?」

  ルビアのその言葉にアイラは、完全に惚けていた。

「何それ?そんなの知らないだけど...」

「それは、言わないだね。めんどくさいねぇ...」ラブリーは、小さく、息を漏らした。「俺達が証拠を上げたら、どうするんだ?」

「証拠もなにも知らないだもの...何も無いわ」アイラは、急に立ち上がり、髪を

なびかせた。「あたしの前でよくそんな事を言えるですね?楽しみにしておいて下さい」ドンッと物音が聞こえ、目の前を見ると、博士に木に押し付けられていた。

 ルビアの顎を持ち上げ、こう言った。「ロボット風情(ふぜい)がお前なんか燃やせば、即死だ!お前一人に何が出来る?」博士は、怒鳴り散らし、火花を散らしていた。

「ルビアは、ひとりじゃないぞ。俺がいるだから、燃やせないし壊れさしたり、絶対にさせない。」ジロンは、背後から博士の肩を掴んだ。

「君は、僕達は、逆らえないだろ?逆らえば首が吹っ飛ぶぞ」博士は、ジロンの首を軽く掴んだ。「そんなの分かってるさ。国民を守るのが、局員の使命だ。」

 ジロンは、博士の手を振り払った。

「それが使命か?局員は政府の犬だ。犬は、犬らしく主人の言うことだけを聞いとけ!魔法は、国のために使え」博士は、吐息混じりに声を張り上げた。

「...ほぉ?俺は、犬でもなんでも無いんだよ?だから主人なんていない。そして

魔法は、こうやって使うんだよ!」その瞬間、ジロンの杖は、固くコーティングされていた。「ストーンハンド!!」杖は、拳の形に変わり、殴る力が強すぎて博士は、遠くに飛ばされた。

「博士!!貴方達、覚えておきなさい!局員の首どころか...自分の身が─」

  アイラは、声が震え、脅しているはずなのに、ジロンにそれは、通用していなかった。「そんなの知ってる。覚悟は、もう出来ている。」

  ジロンがストーンハンドを差し向けるとアイラは、怯えた表情を見せ、博士を背負い去っていた。

「ジロン、いいですか?貴方の国際ギルド局の居場所は、無くなりましたよ」

「別にいいさ、最初からそうしたかったんだ。それが遅くなっただけだよ」

  ジロンは、俯き、ため息を零した。

「...そうですか。ジロン、俺達は、味方ですよ。だから、どうか科学機関の闇を暴いてください」ジスタは、肩を掴んで、ジロンを振り向かせた。

「分かってる。さすがに協力は、してくれるよな」ジロンは、ジスタの手を握り返し、握手まで交わした。「そりゃもちろん、身寄りは、あるんですか?」

「大丈夫ですよ。ルドーワ博士の隠れ家があるのでそこで身を隠します」

  ジロンの背後から、ひょっこりと顔を覗かせた。

「でも、バレてませんか?それに壊されてたり...」

  ジスタは、心配そうにしていたが、ルビアは、大丈夫だと言っていた。

「秘密があるんです。見に行った方が早いかもしれないです...」

「それは、興味がありますねぇ...ラブリー」

  「そうだね、そう言えば終わったのかな」

「順調に行けば、終わってると思いますが···。」

  彼らが言うには、どうやらワールドプロジェクトのメンバー全員で抗薬剤を各地でばら撒きに出向いていた。


 ──────災難続き過ぎないか...次から次へと今度は、狼のゾンビだ。

 パトラは、マスターとケンで森林に来ていて、抗薬剤をバラマキに来たのだが、肝心のケンが居ない。

「狼狽えてる場合じゃないだろ、パトラ!」

  マスターは、周囲に散らばった狼のゾンビを切り裂き、返り血を浴びていた。

「分かってるわよ。マスター、な、なんではぐれちゃったのよ」

 パトラ達は、狼のゾンビの群れに囲まれてしまい、狼のゾンビが多すぎて、波に押され、はぐれてしまった。ケンは、方向音痴だから大丈夫だろうか。パトラは、彼の事が心配で仕方なかった。魔物は、すぐに倒せると思うが、とにかく不安だ。

  グサッと狼のゾンビを貫く度に返り血を浴びた。なんとか全員を倒したが、

「ここはどこだ?」とケンの周りには、なんもなく目印すらない。

 一体どうやって切り抜けたらいいだろうか。彼は、周囲を見渡していた。


 次回に続く。



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