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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第3章 魔法世界に狂わされた少女とある1人の男と千武族の戦い。
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前途多難

  彼女に人の心など分からなかった。それは、読心術機能など着けられていないのだから、当然なのだ。でも、ジロンにも過去があって辛いことも嬉しいこともいっぱいあった。彼女は、それを分かっていたこそ、彼のトラウマに触れてしまったのかもしれない。そう、後悔していたのだ。

「雨の中、女の子1人置いていくなんて酷いね。ルビアちゃん。」

  女性に声を掛けられ、彼女が雨を体に感じたのは、冷たい雫と人の感触だった。

「ラブリーさん?」と振り向くと傘が覆いかぶさった。彼女にルビアは、近くの

喫茶店に連れて行かれた。

「喧嘩でもしたの?ジロンと...」静かな店内では、コーヒーをスプーンで混ぜる音さえ、響き渡り、ラブリーとルビアは、じっと見つめ合う。

「話を聞いてた訳、じゃないですね」

「聞いてたけど、聞こえてたからね。盗み聞きとかじゃないから、誤解しないでね?なんでウチのギルドの場所を知ってるの?」

 「ルドーワ博士が困ったら、ここに行けと教えてくれたんです」彼女がテーブルに差し出したのは、マスターのお手製の名刺だった。

「そういう訳だね。事情は、マスターに後で聞くけど、あたしは、揉めてる事しか知らないし、貴方の過去も正体も知らないよ。協力して欲しいんだよね?」 ルビアは、コクリと頷いた。

「その事件については、うちも調査してる所だよ。魔物のスモークウィルス感染、魔物の凶暴化...どこまで進んでるかは、言えないけど...」

「敵に言えないですよね。科学機関を潰して欲しいんです」

 ルビアのお願いは、ラブリーには、受け入れて貰えず、首を横に振られただけだった。「ふーん、さっきも言ったけど、貴方の過去は、知らないよ。復讐だとなんだろうが、そんなのだったら、加担しないよ」

「それは、違います。これらの事件は、この組織が起こしたかもしれないんです」

  ルビアは、静かにテーブルを叩くが、即座に言葉は、発された。

「そんなの分かってる。でも、仮に証拠があったとして揉み消されるに決まってる。止めようがないの。潰すって言ったって、あそこには、薬品や魔物の実験体が保管されてる。民への危険リスクを考えたら、綿密な計画を立てないと無理だね」

「そうですよね...そこまで簡単では、ないですよね。分かってたんです。ただ、あの組織の思い通りにさせたくないです」

「···もちろんさせないよ。ねぇ、ルビアちゃん。あたしは、過去の事なんて気にしてないよ。あの事件は、今もあたしの胸の中に確かにあるの。後悔も全部を抱えてたまま、あたしは、走るよ。じゃないと死んでいったあの子は、報われないから...」彼女は、ラブリーに握られ、手の感触でラブリーの強さが伝わって来た。

「あたしより、ジロンの方が気にしてるけど、あんまり相手しない方がいいよ。てか、気にしないであれは、ただのヘタレさんだから、ひっぱり叩いてあげてよ」ラブリーは、冗談ぽっく、笑って言うが、ルビアは、遠慮気味にこう言った。

「そ、そんな事出来ません。あたしには、ジロンさんをこれ以上傷つける訳には、」「真面目だね。じゃないと目が覚めないよ?ルビアちゃんは、大きな敵に向き合おうとしてるのに...逃げる奴には、お仕置きが必要だよ!あんまり、深く考えないでね」ルビアが深刻そうな顔をするとラブリーは、頭を撫でた。

「大丈夫だよ、きっと仲直りは、出来る。協力しないけど、ルビアちゃんがピンチが来た時、偶然に助けてあげる。じゃあね!」ラブリーは、微笑んで、手を振り

ながら、去って行った。


 ****


  この粉が不思議な調合なされていた。粒状になった粉をじっと見つめ、ただこう考えを巡らしていた。そこらへんの薬剤師では、なしえない完成度の高い代物だ。ここは、科学機関の実験室でアイラと博士は、例の粉を分析していた。

「分かったの?薬の正体は、」アイラは、博士にそう聞くが、その顔は、険しく、まだ、正体は、分からなそうだ。

「材料だけは、分かったが、製造方法が分からん。今時、薬剤師なんて珍しい...」

「ふーん、まぁ正体なんて分かっても作ったやつが分からないと意味が無いのよ?博士...。」そんな彼女の言葉を無視して、博士は、実験室で顕微鏡を熱心に覗いた。「アイラ、大門の森に行ってみないか?」

「なんでよ、なにか意味があるの?」彼女は、首を傾げた。博士は、何かを企んでいるだろうか?でもそれは、彼女には、分からなかった。

「あそこは、魔物も多いし、何より国境の間だ。力を示すには、いいかもしれない。」博士は、大門の森で実験をするつもりだ。それは、危険を伴う事だった。

「博士...不祥事は、許されないわ。それに魔物なんて操れると思っているの?」

  アイラは、問いかけに博士は、自信たっぷりに頷いた。

「思っているさ。魔物も人間も死に近い程の恐怖には、抗えない。だから、痛みを与え続け...私の言う事しか、聞かなくなる魔法をかけた」

「それ、魔法じゃなくて、悪魔の所業よ」

「悪魔?」と博士は、呟き、狂った笑みを浮かべた。

「私は、国家の為を思い、兵器を作ってるだけだ。悪魔?笑わせる、これを使って何人殺せるかは、あたしの成果になる。ただそれだけの話だ!研究者は、結果を出さなきゃいけないからね」

  「そうね...博士」彼女の中で幕を開かれた時は、これ程の恐ろしい魔物は、見たことがなかった。きっと、ウィルスもビーストも感染さしたのだろう。

 奴の赤い目が光り、鏡越しに博士は、膝まづいていた。すぐさま立ち上がり、

アイラを睨んだ。

「アイラ、あたしは、あのロボットに用済みだと言ったんだ!!どういうことか、分かるか」博士の背後にいたアイラに激しく問いただした。

「知らないわよ。ルドーワ博士のデータチップは、溶けて、無くなったはずよ」

  「ルドーワ博士は、ルビアに心をプログラムされた、ロボットだ。心には、程遠いが人間の行動心理に近いプログラムを彼にも搭載した。仲間が人間に沢山、殺されたらしい。復讐は、時に思いよらない強力な物を発揮させる。楽しみだな、アイラ」彼女は、頷く事しか出来なかった。アイラには、この男を止める力もない。

 そして、プロジェクトも台無しになってしまう。それだけは、避けないと...。

「それをばら撒くのね、大門の森に...。」アイラが睨むと、博士は、頷き、実験室を後にした。「そうだな、既に感染した魔物いるしうってつけだろ。さぁ、行くぞ」博士の空挺車にアイラは、乗り、そこには、例の魔物も同乗していた。

 そして、しばらくすると、大門の森に辿り着いたのだ。

「ラブリー、はしゃぎ過ぎですよ」彼女がさっきまで分析していた粉が彼らによって、ばら撒かれ、周りにいた魔物達は、ウィルスが抜け、元通りに戻って行った。

「····君達の仕業か。」と博士が声を掛けると、ラブリーとジスタは、こちらに振り向いた。博士は、鎖に繋がれた魔物を解き放って、獣は、声を高らかに上げた。

 そして、反逆者かれらに牙を向けた。


  次回に続く。



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