破かれた野望。
まさか、またにここに来るとは、思わなかった。さらに事態は、悪化していた。
ジスタ達は、大きな岩陰から隠れて覗くが、ゾンビ化したオークがそこら中にいた。彼らは、再び、遺跡の様子を見に来ていた。
「何これ、気持ち悪くない?ジスタ君、姿見せたら、集団リンチに会うよ」
ラブリーは、目の前を見ると、オークが立っていた。
「それは、洒落にならないですね。ラブリー、ヒルアが言ってました。赤い目をした奴は、ビーストに侵されてると···」ジスタは、陽気にかつ呑気に言っているが、ラブリーは、怯えていた。
「ほとんどじゃん!どうするの?ばら撒くだけって聞いたのに災難すぎる···」
ラブリーの言う通りでオークの八割は、赤い目に染められ、獲物がいないのか、ジスタ達に目を光らせていた。
「 動きを拘束するしかないですね」ジスタは、そう提案するが、ラブリーに首を
振られた。「それ、すぐ解かれる奴だよね?当てにならない」
「時間の問題ですよ。短い時間で抗薬剤をバラ撒いて、奴らを仕留めます。」
ジスタは、肩を鳴らし、ポケットから抗薬剤を引き出した。
「まぁそれしかないよね···」ジスタは、そこら辺にあった木の棒で魔法陣を書き出して、唱え「自然の神よ。我に味方せよ!」地面から、太い枝が生えだして、オーク達を拘束していた。
「マジカルラブリー行くよ!!サークルダンス!!」
彼女は、激しく、舞い乱れ、細かい粉を周囲に撒き散らしていた。
「上手く行きましたね。効き目が早いですね」
オークの赤く染った瞳は、普通の色に戻っていき、身体中に広がった毒々しいのが消え、オークは、元に戻っていた。
「良かった。これで遺跡は、大丈夫だね」
「...そうですね、僕らは、大丈夫じゃないですけど...」ラブリーは、振り向くと、オークと目が合っていた。ジスタ達が気づくのが遅かったのか、いつ間にか、囲まれていた。「本当に無い!!こんな大人数相手してたら日が暮れちゃうよ!逃げるよ」ジスタは、頷き、猛スピードで逃げ出した。彼らは、何とか、遺跡から抜け出し、ギルドに帰って行った。
****
薄暗く、排水溝に似た匂いが周りに立ち込めていた。さっき、ジスタ達が訪れていた遺跡にアイラと博士がいた。
「完全にやられたわね。正義のつもりかもしれないけど、気に食わないわ。博士、どうする?また感染させるしか、ないのかしら?」
「···嫌、まずは、この粉の分析が先みたいだね」博士は、散らばった粉に触れた。
「ただのゴミじゃないの?」アイラも拾い上げるが、サラサラとして、すぐに手から離れてしまう。
「アイラ、下手に触らない方がいい。この薬は、未知に近い。もし毒に侵されたら、えらいことになる。」
「毒なんて感じないわよ、本当に用心深いのね。それにしても、誰の仕業でしょうね」アイラは、跪き、例の粉を袋に入れ、鞄に閉まった。
「薬を作れる者なのだろうね。じゃないとこんな代物、作れやしない。」
恐らく、博士が言っているのは、薬剤師だろうだが、魔法は、万能。薬なんて要らない。そう、それがアイラの考え方だ。
「今時、そんな時代遅れいるのかしら、信じられないわ」博士にアイラは、軽く肩を触れられた。「あんまり甘く見ない方がいい。恐ろしい目に合わされる...」
「何を言ってるの?博士」博士の顔色が変わり、「もう用は、ない」と去っていた。この人の前だと自然に膝まづいてしまう。気迫というか、雰囲気で圧倒されてしまう。アイラの目の前にいるのは、この世界の女王様だ。ここは、王宮の王座の間で白魔王は、いつものように佇んでいた。
「貴方達の野望を阻止する者が、居るってこと?」
「白魔王様、その可能性が、あるかもしれません。このプロジェクトは、今は、魔物です。でも、上手く行けば、人間に実験を切り替え、化学兵器の開発に役立つんです。そんな素晴らしい研究を邪魔する輩は、消しても、大丈夫ですよね?」
アイラは、狂った笑みを浮かべるが、白魔王は、動じず、淡々としていた。
「そうね。あたしは、別にいいわよ。ねぇアイラ、白魔王であるあたしは、あなたに期待してるのよ、もしこのプロジェクトが国内や国外にバレてしまいなさい。
その時は、この首は、どうなってるのかな」アイラの首筋を指で撫で回し、
震え上がらした。
「そんなヘマは、致しませんよ?冗談は、やめてくださいませ、白魔王様···」
「冗談かどうかは、あなたの判断に任せるわ。技術においては、先に行くのよ!犠牲だっていとわない。アイラ?上手くやるのよ」彼女の肩に白魔王様の手が重くのしかかった。それを重く、感じた。
そう、白魔王様の言う通りだ。自分は、期待して頂いてるんだから、それを裏切っては、いけない。アイラは、そう思い、拳を握りしめて、王宮を後にした。
****
暗闇の中で銃声が鳴り響き、飛び交っていた。きっと、彼女は、こんな夢を見るのは、疲れているんだろうと最初は、そう思っていた。でも何度も同じような物を見ると、そうとは、思えなくなる。「ルビア、顔色が悪いぞ、何かあったのか?」
ジロンの言う通り、ルビアは、夕べに見た夢のせいで顔が青白かった。
「ちょっと怖い夢を見たんです。大したことは、無いので、大丈夫ですよ」
ルビアは、にこやかに笑い、誤魔化した。
「そうか。今日は、ひと休みして、散歩でも行かないか?」彼は、ルビアの横に座り、優しく声を掛けた。「···でも、ジロンさん忙しいのに、大丈夫なんですか」
彼女がそう首を傾げると、ジロンは、手を掴んだ。
「息抜きもたまには、大事だろ。早速行こう。ルビア」ジロンに強引に連れられ、そこは、森だった。だが、白く染められていた。
「ジロンさん。これは、雪ですか?」ルビアは、周辺を見渡したが、白一色だった。「これは、白い砂。ここは、ホワイト砂浜公園だ。誰もいないけどな。後、
近くに科学機関もあるな」
「そうなんですか...」ルビアは、ジロンの最後の言葉を聞いた瞬間に頭が急に重くなった。彼女が今まで、記憶を思い出す事なんてなかった。だが、ルビアが今まで見たものが何故か、浮かび上がっていく。
「どうした?ルビア、具合が悪いのか?」彼女は、頭を抱え、うずくまっていた。
ジロンが心配するのは、分かるが、ルビアは、どうも立ち上がれない。
「あら、珍しい来客ね、久しぶり、8398」
不敵に笑い、目の前にいた女性は、ルビアを見下していた。
次回に続く。




