暴走と狂気
ありったけの希望を費やしたとしても、光をどれだけ、積もうが、天使の顔をしたあの人には、届かない。そう確信した相手は、白魔王という女王様だった。
ハクの目の前には、王座の間に座る白魔王が居た。
「白魔王様、あの事は、国民全土に伝わってます。どうするおつもりですか?」
ハクは、跪き、頭を深々と下げた。
「ハク、揉み消しなさい。情報元を潰して...あれは、ただの魔物だと伝えて...」
白魔王は、読んでいた新聞紙をわざと落として、グシャグシャに踏んでいた。
「それで済むと思っているんですか?これをいいことにある事、無いことも書かれてしまいますよ」ハクの言葉に顔を険しくさせた。
「なんで、あたしに対して偉そうなのかしら。貴方ごときの忠告なんて、いらない」ハクは、首を横に振り、即座に否定をするが、相手もされてないみたいだ。
あからさまに、ため息を吐かれたのだ。ハクは、そう思えざるえなかった。
「そんなつもりなどありません!これは、白魔王様の為に言ってるんです。この
事態をどう説明するおつもりですか?」
「ハク?それは、余計お世話···ただの魔物の暴走で済むでしょう」
彼は、白魔王に各メディアの新聞や報道の資料がテーブルに投げ出した。
「これを見てもそれで事態が収まると思っているんですか?」記事には、こう書かれていた。各地でゾンビのようなオークが出現した。町や村にまで被害及び、とうとう、国境の大門まで突破されそうになったが、白魔王様の魔法で倒された。だがこれで事態は、おさまるのだろうか。ビーストやスモークウィルスの仕業だろうと...憶測が囁かれているが、真相は、どれなのか。白魔王様に明かして頂きたい。
─────ビリッ、ビリッと音が聞こえ、記事を破いいた。そして、魔法の炎で燃やし尽くしていた。
「くだらない!ハク、誰がなんと言おうとただの魔物の暴走と言うのよ」白魔王は、声を荒らげ、激しく動揺していた。
「はい、白魔王様、それで宜しいのですね」ハクは、強い眼光に放ち、頷いた。
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ただの暴走、それは、無理やりすぎるだろう。
「我ら政府が手をわずわらせる程でもないので...」
そんな言葉、聞きたくない。ジロンは、ため息を吐き捨て、壁にもたれた。
「被害を及んだ村や町は、ご自分らで国際ギルド局に依頼してください。早急に対処させて頂きます。」
そう、それだけだった、事態の説明にもなっていない。ハクからさっき、連絡が来たが、情報を明け渡したのに、説明は、それだけか。
「無駄だったのか」とジロンは、拳を奮い立たせた。彼の職場である国際ギルド局の電話が鳴り止まず、苛立ちとモヤモヤとした気持ちが交わった。
「良かったのですか?ジスタさんに貰った情報をマスコミに渡して···」
ルビアは、ジロンの肩から、顔を覗かせた。
「いいだろう。あいつは、この情報をどう扱おうが、貴方の勝手って言ってたんだ。別に良いだろう。」「あたしが心配してるのは、ジロンさんがそんな事をしたら、ここにいれなくなるかもしれませんよ」
ルビアは、膨れ気味にそう言うが、ジロンには、そっぽ向かれていた。
「あぁ...そういう事か。俺なりの内部告発だよ。だって怪しすぎないか?ルビア、正体不明のウィルスや薬がばらまかれてる。なのに···」
ジロンは、難しい顔して、考え込んでいるが、知識が無いのか、何も検討がつかない。「何を考えているですか?ジロンさんは、スモークウィルスやビーストは、どこぞのテロ集団がばらまいたとかじゃないですか?」
ルビアは、首を傾げ、怪訝な顔をしていた。「お前は、そう思っているのか?」
「そうですけど、それしかないでしょ」
「まぁそうだよな。何か決定的な証拠が欲しいんだけどな」プルデゥゥゥンと騒がしく目の前で電話が鳴り響き、すぐさま、ジロンは、応じた。
「もしもし、ジロンですか?ジスタです。外が大変な事になってますよ」
電話の主は、ジスタだった。言われた通りにジロンは、窓を見るが、誰もいない。「もしもし、外?なんも無いし、静かだが...」
「···ジロン先輩!外にマスコミや村長や町長が来てます」下っ端の後輩が駆け寄ってきて、恐る恐る、ジロンは、ドアの隙間から覗いた。民衆の声が飛び交い、よく聞こえなかったが、検討は、ついた。抗議や救いの叫びだろう。
「ジスタ!報告、ありがとうな!俺、ちょっと対応してくるわ」
「はい、それは、ご苦労様です。対応は、そちらに丸投げでしょうしまぁ頑張ってください」「嫌味な言い方だな!おうよ!」とプツリと電話を切り、勢いよく、
ドアを開けた。
───────グォッッ!「頑張れって限度があるだろうよ」ジロンは、呆れ、ため息が出た。彼は、人混みに押されに押され、下敷きになりそうだ。
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「はぁ...大変ですね。そんな他人事の言葉しか吐けないのが情けない。まぁ無関係なのでしょうけど、これは、呆れますね。」ジスタは、そう漏らし、窓を見つめていた。「ジスタ、何ボッーとしてるの。こっちもビーストやなんやら、ウィルスの対応で忙しいのに...」ラブリーに耳元で囁かれ、すぐさま、振り向いた。
「分かってますよ。ラブリー、それにしてもすごい騒ぎですね。生中継らしいですよ」背後にあったテレビは、生中継で国際ギルド局が映されていた。
「そうだね。明らかにメディアが暴走してるけど、大丈夫なの、潰されないの?」ラブリーは、心配そうにテレビを見つめていた。
「さぁ?気にすることでもないですよ。どうでもいいでしょう」
「酷いんだね。利用する事だってできるのに、ジスタ君なら分かってるんじゃない?」「買い被り過ぎですよ。このまま暴走さしておきましょうよ。どうせ、あの人は、黙れませんよ」「はいはい...そうだね」電話がギルド中に響き、ジスタが応じた。「今日は、騒がしいですね。ヒルアですか?」
「もしもし、ジスタ?遺跡のオークもあのウィルスに感染してたみたいなの。まだ初期状態だったから、完全にっていう訳じゃないけど、おばあちゃんが...」
ヒルアは、すぐに叔母に変わり、事態は、急変する。
「ジスタかい?お願いあるんだけど、聞いてくれるかい、遺跡に行ってくれないか?」叔母は、声を低くさせ、電話の向こうでは、顔を険しくさせていた。
「いいですが...ヒルアさんも連れて行っては、だめですか?俺らだけでも行っても分からない事の方が多いですし···」ラブリーは、ジスタに抱きつき、電話の音声に耳を傾けていた。
「ダメだね。うちの孫にそんな危険な所に行かせられないね。」
ヒルアは、叔母の言葉にビックリして、腕を掴むが、無視された。
「ノアールさん、孫バカは、いい加減にしてくれませんか?」
「ジスタ!!すみません、私達2人で行かせてもらういますね」
ラブリーは、無理やり、ジスタから、電話を取り、笑顔で対応していた。
「ごめんね?ラブリー、おばあちゃん。あたしの事、心配みたいで···。」叔母に代わって、ヒルアは、申し訳なさそうに誤っていた。
「別に大丈夫だよ。あたし達に任せて...うん、ありがとうね。じゃあね」
ヒルアからの電話がきれ、「行くよ」とラブリーに肩を置かれた。
──────遺跡。そうここは、ジスタにとって天国だ。
「こ、これは、古代の旗じゃないですか?」
「仕事で来てるんだよ!観光でも無いんだから落ち着いてよ!」ジスタは、歩く度に、目を輝かせていた。ラブリーは、全然、進んでる気がしないかった。
「落ち着いてる方が可笑しいでしょ!」ジスタは、興奮して、吐息混じりにそう言っていた。「知らないよ!感染してるオークを探しに来てるの!目的を忘れないで!」ラブリーは、怒鳴り付けるが、ため息を吐かれてしまった。
「オークは、ケンとパトラが倒したんじゃないですか、生き残りなんているんですか?」「居るかもしれないの!それにオーク以外の魔物も居るかもしれないし···」
「はいはい...それにしても煙らしき物は、みかけませんが...」
突然、狂気的な笑い声が聞こえた。そして、毒ガスに侵されたであろう魔物(狼)が大量に項垂れていた。「ハッハッ!!!実験は、成功だな!アイラさん、良かったな。これであの方にもいい報告が出来る」狂気的な笑い声を上げていたのは、彼だった。白衣を着ており、研究者みたいだ。
「落ち着きなさいよ、博士」横にいた女性は、紫の液体が入ったフラスコをバラマキ、彼と共に狂喜乱舞していた。完全に狂っていた。
彼らは、それを唖然として、ただ見ているだけだった。
次回に続く。




