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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第3章 魔法世界に狂わされた少女とある1人の男と千武族の戦い。
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謎は、さらなる謎を呼ぶ

  ドクドクと液体が沸騰して、毒々しい色をしていた。ここは、ヒルアの叔母の家の薬品保管室だ。先程、持って帰った例のサリンを叔母に分析して貰っていた。

「 この薬、どこから流通してるか知ってる?」

  叔母は、椅子に座りながら、液体状のサリンの毒をフラスコに入れて、軽く揺らした。「 これは、やばいやつだね。魔物や人間を凶暴化させる。見るのが、嫌な薬だね。さて、これは、どこで見つけたんだい?」

「 帝国の遺跡で見つけたらしいんだけど、落としたのかもしれないね」

  ヒルアが真剣な面持ちでそう言うと、叔母は、静かに昔話を語り始めた。

「 百年前、白黒戦争に使われていた。これは、薬って呼べる代物じゃない。最早、化学兵器だ。えっと、どこから出回ってるかだね?恐らく推測だが、政府側か、魔法ギルドか、どちらかだね」

「 ばらまいたってことなの?」

  ヒルアは、首を傾げるが、叔母は、首を振り、「そこまでは、分からない」と

呟いた。「 さぁね。政府がそんなことをして利益があるのか、どうかだからね。

今更、実験するものでもない。私には、よく分からないね」

「 そっか。凶暴化を抑える方法は、無いの?」

  ヒルアの問いかけに即座に否定した。

「 嫌、死なせるしかないね。但し弱点がある。薬に侵された奴は、猛毒に弱いんだ。ヒルアにこれを渡しておくよ。使い方は、分かってるね」

  叔母は、ヒルアに小さいボールが入った袋を渡した。叔母が先程、言っていたが、敵の口にいれるだけですぐに体内に広がり致死率は、99%だ。

「 おばちゃん、ありがとう」ヒルアが微笑むと、叔母は、おもむろに手を握った。

「 ヒルア、国際ギルド局や政府側の魔法使いが出てきたら、直ぐに逃げるんだよ。勝ってないとかそういうのじゃない。奴に見つかれば、ワープロも一網打尽されてしまうのしれない。」ヒルアは、叔母の言葉にコクリと頷き、薬品保管室を後にした。「 この薬の名は、ビースト。消えたと思ってたのに、また作ったんだね。ほんと、腐ってる」 叔母は、ヒルアが去った後にそう静かに呟いていた。


 ****


「 ラブリー、ただいま!帰ったよ!!」

  彼女は、ギルドの来訪の鐘を鳴らし、中に入って行った。

「 おかえり、どうでしたか?」

  ジスタが迎れると、ラブリーは、耳元でこう囁いた。

「 まだ何にも分からないって、ジロンがあたしに嘘をつくとは、思えないし...収穫は、無しかな。でも”これ”を取っちゃいました」

  ラブリーが言うこれは、データが入ってるUSBの事だ。それを手に握っていた。

「 あるじゃないですか」ジスタは、”これ”を受け取り、腕時計型携帯にぶっ刺した。「 機密情報がいっぱいかもね?ジスタ」

  液晶画面を浮かばせ、デスクトップへと、指を運ばせた。

「 嫌、ラブリーの写真フォルダとか、ありますよ」

  ジスタの言う通り、デスクトップには、ラブリーフォルダという物があった。

「 それ以外は、何も無いの?」

  ラブリーがそのフォルダをクリックすると画面いっぱいに彼女の写真が出てきていた。「 あるとは、思いますけど、ジロンは、用心深いですよ。ですから、わかりやすくは、しないでしょ。これは、明らかに怪しい。秘密フォルダを調べましょう」ジスタが有無を言わさずに例のフォルダをクリックした。

「 えっ?どうするの!いかがわしい画像があったらどうしたらいいの?」

  ラブリーは、ジスタの腕を揺らすが、冷たい視線を張り巡らされた。

「 知りませんよ。それだとしたら、分かりやすぎますよ。ジロンは、硬派ですから、それはないでしょ」ジスタにそう振り払われ、ラブリーは、真顔でこう言い放った。「 ラブリーの画像が入ってる時点でそれは、ないと思うだけど...」

「 そうかもしれませんね。良かったですね?ちゃんとした機密情報ですよ。これは、活動日記みたいですね」例の秘密フォルダをクリックして、スクロールした。

 すると、頭上に映像が浮かび上がり、ジロンの脳内に記憶されたデータ動画で流れ出した。「 日記が苦手なのが裏目に出ましたね。バッジに搭載された監視カメラは、USBに自動的に転送されます。それを添付したんでしょ。この女性が誰か調べてくれますか?」ジスタが指さした女性は、国民ギルド局で見かけた。なにか察したのか、ラブリーは、頷いた。

「ほーい。あのさぁ、これ、ヒルア達が見た狼と同じじゃない?」

  ラブリーは、動画を止め、アップにして、ジスタにそう尋ねた。

「そうですね。さっき、ヒルアがケンから預かった薬がビーストだって分かった所ですし...」「それは、なんなの。ビースト」ラブリーがそう問いかけると、ジスタは、簡潔にこう言った。

「 凶暴化させる薬ですよ。狼もオークもこのビーストを飲まされたって言ってもいいでしょ。今は、推測でしかないですが...。」

「 でも、偶然に見つかったんだよね?見つけてくれって言ってるみたいなもんじゃない。見つけて欲しくないのなら、持って帰るよね」

  ラブリーは、顔を険しくさせ、頬杖をついていた。

「 そうですね。それは、ただの間抜けっていう可能性もありますよ。ラブリー?政府の科学機関とかも調べた方がいいかもしれませんね」

  ジスタ達は、テーブルに座り、彼は、書類を差し出した。

「 ラブリー、どこなのか、知らないよ。面識ないし...ジロンは、どうかなんて分かんないけどね。」ラブリーは、首を横に振るが、ジスタは、「 大丈夫です。」と

微笑んだ。「 これを明日、返してくれませんか?ジロンにありったけのウィルスをUSBに仕込むんで...」「 そういう事ね、分かった。科学機関の情報とか入ってないの?HPをハッキングしてさぁ...」

  ラブリーは、ジスタを上目遣いで見上げるとジスタは、無邪気に笑った。

「 それも調べますよ。ラブリーには、女性の周辺調査をお願いします。くれぐれも白魔王に見つからないでくださいね」

「怪しまれるからね。分かった!じゃあ今日は、ゆっくり休むよ」

「俺も終わり次第、寝ますよ」自動ドアが開く音がしてラブリーは、部屋を出た。

  この事件をきっかけにして国際ギルドの闇を暴くんだ。もう、ジスタは、あんな思いは、したくなかった。守る立場の人間が、だれも救えないなんてありえない。

 それは、ジスタの中では、許せない出来事だった。


 ****


「 白魔王様、報告致します。魔物の凶暴化。ありえない程の増加、対策をお考えくださいませんか?このままでは、村や街が魔物によって侵されてしまいます」

「 ジロン、あなたがこの白魔王様に命令するの?おこがましいにも程があるわ」

  女性の白髪が光輝き、見る者を圧倒させた。ジロンがいる場所は、国際ギルド局の局長室だ。いつもは、居ないのだが、今日は、局長の椅子に座っていた。

 ジロンは、試しに頼んでみたが、これは、無理そうだと眉を細めた。

「 そうでは、ありません。このままでは、民の生活が脅かされます」

  ジロンは、白魔王の気迫に押されまいと、声を張り上げた。

「 そんなの、知った事は、ではないわ。それが何とかするのが、あなたの仕事でしょ?あたしの手をわずわらせるものでもないわ」

  ジロンの頑張りも虚しく、白魔王に軽く足払われた。

「 貴方は、光の白魔王だと言われていますが、俺は、そう思いません。民に対する傲慢な振る舞いは、いずれ、身を滅ぼしますよ」

  ジロンは、強い眼光を放つが、クスリと笑い声が聞こえた。

「 貴方は、何を言ってるのかしら。生意気にも程があるわ。1回だから許してあげるけど、次は、組織を辞めてもらうわよ」

「 ラブリーの時も貴方は、そうしたんですね?あなたこそが世界の...。」

  ジロンがそう言うと、白魔王は、「 ハク、黙らせなさい!!」と声を荒らげた。「それ以上、言うと、貴方の首を跳ねますよ」目の前にハクが現れ、ジロンに刃を向けた。「 辞めなさい、ジロン。この組織の闇を暴こうとしても無駄よ。だって、あたしが揉み消すもの」白魔王のその微笑みは、ジロンには、悪魔に見えた。

 そう思える程にに恐ろしかったのだ。


 次回に続く。

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