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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第2章反乱の旗と残酷な世界。
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自信という沼に落ちた男

 古びた建物からは、錆びれた匂いが立ち込めた。

「ボスの姿が見当たらないな。ユージン?気配を探ってくれるか?」

 マスターにそう言われ、精神を落ち着かせ、気配を張り巡らせた。

 ユージンの意識の中は、真っ暗で生命線が見えた。

「マスター、絶対にこの敷地内にいる」マスターと互いに頷き、さらに奥へと向かう。見知らぬ誰かの足音が聞こえ、ボスは、不快に覚えた。気持ちが悪い。

 そう思う程だった。「何しに来たんだ?お前ら...」

 ボスは、こちらを振り向きざまに険しい顔をしていた。

「···君がボスなのか?」マスターがそう言うとボスは、頷き、「目的なんだ?」と尋ねた。「君がテロを辞めるって言うのなら俺達は、ここで何もしない」マスターは、穏やかに淡々と喋っていたが、足を小さく鳴らしていた。「何を言ってるんだ?辞めるはずがないだろ。それにここで止まったら何もかもが、無意味だ」

 ボスは、冗談ぽっく、笑い、マスターを馬鹿にしてるみたいだ。

「無意味?あれだけの人を部下に殺させておいて、それは、あまりじゃないか」

 彼は、ボスの襟元を掴んで、殴りかかったが、マスターに遮られた。

「ユージン、やめろ。君は、今まで、前線に出ていない。何か訳があるのか?」「俺が出るまでもないからだ。手をわずらせる程、強い訳でもない。」

 ボスのその言葉にユージンは、耐えられなかった。拳が震え、殴りたくなる気持ちを必死に堪えた。「そうか。一応、話し合いっていうカードを置いていたんだが、燃やすしかないみたいだな」

 マスターは、名刺を破り去った。ボスの方へと歩み寄ったが、振り払われた。「話し合い?バカ言うなよ。お前らとは、思想が違うのだから、分かり合えない。同族でも敵は、敵だ」

 ボスのその言葉を聞いただけなのに、マスターとユージンは、自然とため息が出た。「そうか、そう思われていたんだな。ユージン。どうやら、その気は、ないらしい。存分にやってくれ」マスターは、ユージンの肩を軽く叩いた。

「おうよ!ボスさん、俺とやりあって勝ったら、俺らは、ここから出ていく。

もし負けたらアジトを潰す。悪い話じゃないと思うぜ」

 ユージンは、不敵な笑みを浮かべた。

「はいはい。俺が負けるなんて事は、無いんだがな。魔法使い。」

 ボスは、手袋をはめ、「業火」と唱えた。笑える、この男達は、俺に焼き殺される。そう思うと、ボスは、快楽に落ちていった。


───周辺に火が撒き散らされ、目の前にいるボスは、ユージンが身動きが取れないと思っているみたいだ。ボスの顔は、自信に満ち溢れ、高らかに笑っていたからだ。ユージンは、魔法使いなのかもしれないが魔法をまともに使えない。

 そう名乗る資格など俺には、ない。この剣のみが俺の武器だ。ユージンは、そう思い、剣を振りかざした。ユージンにとって敵がどれ程強くても、真剣は、必ず、悪者の肉体を貫く。それは、ユージンが信念を曲げない限り、絶対だ。

「水龍!!」彼が剣を振るう度、水の龍が踊り狂い、火を消していった。

 これで多少は、動きやすくなったはずだ。ユージンは、そう考えを巡らせ、ニヤリと微笑んだ。「魔法は、使わないだな。もしかして使えないのか」

 ボスのその態度は、ユージンの事を嘲笑い、見下していた。

「そうさ、だから剣1本で戦う」

 ユージンの言葉を聞いた瞬間、ボスは、狂った笑い声を上げた。

「嘘でも付きゃいいのに、そんな錆びれた剣で何ができるんだよ!笑わせるなよ。そんなに殺されたいんだな」ボスは、手袋を外して、拳銃に変えた。放たれた銃弾は、俊敏で普通の人間なら捉えられるはずもなく、打たれて死ぬのだろう。でも、彼は、そんな事を考えてる程、余裕に近かった。何故ならば、弾は、ゆっくりと見え、弾を切り裂いた。一心不乱にボスに向かって剣を振り回した。

「な、なんで当たらない!お前!魔法を使っているのか!」

「使えたら、どれだけ楽だろうな?俺は、これを自分にとって障害だとは、思ってない。個性だって思ってる。生かすのも殺すのも、自分次第。諦めたらそれまでだ」ユージンは、ボスの首筋に剣を擦り付けた。

「意味が分からないことをほざくなよ」ボスは、銃弾をひたすら打つが、当たるはずもなかった。ユージンは、とうとう、ボスの肉体を切り裂いた。返り血を浴びた。トドメに魔法をかけようとしたがボスの手によって、遮られた。

「···な、なんだ、魔法使えるじゃねぇか。隠し玉のつもりか?トドメを刺すのか?」ボスは、ユージンに腹を切り裂かれ、血だらけだ。

「そうだな、使えないとは、言ってないじゃないか。隠し玉でもなんでもない。君は、負けたんだ。大人しくこれまでの行いを反省すれば、死なせは、しない。」ユージンは、俯き、複雑な表情をしていた。

「行い?あれは、部下がやったことだろう?俺は、指示しただけだ。やった奴がわるいだから、俺は、悪くない!トドメなんて刺さないよな?」

 ユージンの足に縋り付き、ボスは、泣きそうな顔をしていた。


 この男が何言ってるか、彼は、分からなかった。あれだけ、部下の手を汚させておきながら自分は、何もやっていない。往生際が悪いにも程がある。ユージンは、そう、怒りに震えたが、これ以上、感情を赴くままに問いただしても、きっと答えは、同じだ。それこそ、無意味だ。

「ユージン、迷うなよ、お前の真剣は、お前の信念を信じてる、曲げるな、己の正義だけを貫け...」いつにもなく、マスターは、強い眼光でユージンを睨んだ。

 ”そうだ!信じろ”こんな人間を許しちゃいけない。そう、心の中で唱え、ユージンは、強く頷いた。「おいおい、惑わされるなよ!俺を殺したって、部下に殺されるだけだろ。お前になんの利益がある」

「ボス、何か気づかないのか?なぜそんな自信満々か知らないが、お前の部下は、今、どこだか知ってるか?」

 マスターの問い掛けにボスは、首を横に振り、「知らない」と言っていた。

「まぁいい。今頃、俺の仲間と戦っているだろ。テロ組織壊滅を阻止する為にだから君を殺すか殺さないかは、ユージン次第だ。」途端にボスは、泣きつき、鼻水まで垂らし「俺を生かしてくれ」と大声で叫び、懇願していた。

 醜い、醜い。激しく嫌悪感を覚える程にだ。ユージンの剣は、ゆらりとふんわりと浮くように決意をする間もなく、刃を落とした。

 ボスの悲鳴は、止むこともなく、絶え間なく挙げていた。”カチャ”と誰かが、

アジトのドアを開ける音がした。すぐさま、マスターは、ユージンを抱き抱え、

こう唱えた「瞬移」と。屋根裏に俊敏に転移した。マスター達は、下の様子をすき間から、覗いた。「マスター、あの青い制服、魔法ギルド局のやつらだよな?もう嗅ぎつけたのか?」男は、頷き、ユージンの手を握った。

「そうだな。白魔王は、世界の地形を知り尽くしているからな。ユージン、引き上げるぞ、こんな所を見ても、胸糞が悪いだけだ。」

 彼は、「あぁ」低い声でそう呟いた。彼がふと見下せば、ボスは、拷問に苦しめられ、色々と吐かされていた。結末は、まぁ言うまでもないだろう。

 本当に見るじゃなかったと、ユージンは、そう思える程に気持ち悪くて、不快で後悔してしまった。


次回につづく。



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