牙を向かれた先は、
アクアが読み上げた紙をボスは、破り捨てた。
「自ら、こちらに喧嘩を売ったんだ。買うに決まってる。アクア、ギルドの場所知ってるよな?」ボスは、高圧的な目で彼女を支配した。
「あたしが知ってるとなんで思うのですか?」
ボスは、アクアが身につけている通信機を外した。
「これにはGPSが搭載されている。お前がどこにいるかなんて簡単に分かる誘拐された事も全部だ。当然知ってるよな?」ボスに向かって嘘なんか付けない。
ついてしまったらその先は、彼女にとって、真っ暗だ。
「ホワイトキング帝国の市場近くです。あとは、直接行ったら分かります」
ボスは、アクアの顎を持ち上げ、平手打ちをかました。
「よし、いい子だとでも言うと思ったか、言うのが遅いんだよ。アクア」
と舌打ち混じりにボスは、去っていた。
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「ギルドに忘れ物するなんて馬鹿なのかしらケン!聞いてるの?」
パトラは、もぬけの殻となったギルドを訪れ、その周辺で仁王立ちしていた。
「はいはい、聞いてるよ。取りに行ったらいいだろ。そんなに怒らなくたって、パトラ」ケンとパトラは、ケンが依頼書を忘れたせいでギルドに取りに行くハメになってる。近くまでたどり着いたがギルドの前に何者かが立っていた。
「誰だよ」とケンが小さく零すと「アームズの奴らよ」とパトラの声が聞こえた。
「どうする?このままいくしかないよな」
ケンがそう言うとパトラは、眉間に皺を寄せた。
「あたしに選択肢与えるのか与えてないのかはっきりしなさいよ!」
「パトラ、お前に拒否権なんてないぞ。俺が手に持ってる物が何か知ってるか?」
ケンは、どこから出したのか、爆弾を手に握っていた。
「あぁ?そんなの···。」突如、 パトラの耳元を爆弾がすり抜け、ギルドの近くに落とした。ドカーンという激しい音が聞こえ、煙幕から何者かが周辺を見回って来た。「あんた危ないわよ!あたしが怪我でもしたらどうするのよ!」
パトラは、ケンの襟元を掴んで、怒鳴り散らしたが、冗談交じりに笑っていた。
「お前ならしないだろ。頑丈なんだから今のうちに侵入して、取りに行くぞ」
ケンは、パトラに掴まれた襟元を振りほどいた。
「待ってこのまま彼らを逃がすつもりなの?」
パトラは、ケンの腕を掴んたが、直ぐに解かれた。
「取りに行きながら、奴らを殺るんだよ」ケンは、手に持っていた剣をバズーカに変えた。
「そう、あたしが知ってるケンね。じゃあ行かせてもらうかしら!!」
ケンの後方援護にパトラは、立ち回り、蜘蛛糸を放出し、奴らを足止めした。
────数時間前──
アクア達は、ワールドプロジェクトに潜入していただが中には、誰もおらず形跡すらない。設置された看板には、依頼絶賛募集中書いてあるのにどうしてだろう。
もしかして、任務中で誰も居ないのか。
「誰もいないよ。殺すつもりで来たのにつまんないの。全員で出向いた意味あるのかな」ガイラは、剣先を床でグリグリしていた。
「兄さん、隅々まで調べないと分からないよ。決めつけるのは、まだ早いよ」
妹は、ガイラの袖を掴み、引き止めた。
「ライナーが僕に意見するなんて珍しいね。そうだね。調べてみよっか」
ガイラは、不敵に笑い、奥へと進んでいた。
「子供は、楽しそうだよね。遊び相手もいないしアクア、あたし達だけでも帰る?」メルディは、呆れ気味にため息を零していた。
「まだ帰ってくる可能性が残ってるし、まだ実績も何も無いから戻れない」
アクアがそう零すと、メルディに冗談交じりに笑われた。
「アクアは、真面目だね。メルディはそんなの無理。それにこんな状態じゃ何も持って来れないよ」
突如、ドカーンという音がして外に出たが誰もいない。一体誰の仕業だろう?
「あっ!アクア、あぶな──」ギルドの中に砲弾が落とされ、瞬く間に爆発して、咄嗟の判断でメルディの護衛幕が周囲に覆いかぶさった。
「煙臭いわ。不法侵入者が大勢いるわね。どうする?ケン、殺っちゃう?」
パトラは、ケンの顔を覗き込んだ。
「嫌、ここでやってもな」ケンの通信機が鳴り出し、厳つい声を発して、
「分かった」と言っていた。一体何のことだろうとパトラは、首を傾げた。
「パトラ、ジスタが奴らをおびき出す手紙を出したから、攻撃開始していいってさ」ケンは、ジスタからの電話を切り、そう話していた。
「それは朗報なのかしら?何も敵さんがいっぱいいる中で言わなくて良くない?」
煙幕がやっと消え去り、見えたのは男女2人組だった。
────敵が沢山居て、パトラ達をやる気満々だ。
まぁこっちもそういうつもりなんだが、これは、好都合って捉えるべきなのだろうか。パトラの横には、ケンがいる。この男は、化け物みたく強くて時に残虐だ。
「パトラ、何をボッーとしてる。敵の目の前だぞ。うちの策士様が殺し合いしていいって言ってんだよ。お前ら、覚悟は、出来てるよな」
ケンは、狂気的な笑みを浮かべ、剣を振るい敵に攻撃などさせない位に隙を与えない。「追跡蛇」何匹すら数えるのが難しい位に蛇を大量に発生させ、周囲に貼りめぐらせる。
「ケン、後奥にもいるわ、彼らは、気絶位にとどめておきましょう。先に依頼書を取り行く方が先決よ」呆れ気味にため息混じりにケンは、こう答えた。
「うるせぇな。分かってるさ。うちのギルド依頼者優先だもんな」
ケンは、うっとうしそうに首をかいた。
「それって目の前の敵より大事な物なのかな?メルディ、悲しいな。あなたと殺し合いしたかったのに残念だなぁ。これじゃ一方的な虐殺なちゃうね」
メルディは、気配を消したのか、ケンが見落としたのか分からないが、いつもだったら、そんな事は、ないはずだ。剣がささる音が聞こえ、メルディがケンの腹に
ナイフで貫いていた。赤い液体が床を汚して、まるで赤い海のようだ。
「女だから油断してたでしょ?舐めちゃダメだよ。あたしって強いよ」
メルディは、ナイフを抜いて、目の前に居たパトラを嘲笑っていた。彼女は、
手に付いた血を舐め、「美味しい」と狂おしく呟いた。
次回に続く。




