青い目をした少女は、あたしに牙を向く
アジトは、焦げ臭く燃やされた後だろうか。建物は、ボロボロでもうここには、居れない。アクアは、肩をポンと叩かれ、振り向くと金髪の青年が立っていた。
「アクア、拠点を変えるぞ奴らにバレているし...これじゃ住めないしな」
「そうね。それがいいかもしれないね。で、ハンネス?今度は、どこにするの?」
アクアの問い掛けにハンネスは、首を横に振っていた。
「政府側にも奴らにも見つかりにくい所にしないとな。今ボスが探している所だ。その間は、野宿だ」アクアは、嫌そうに頷くが、仕方ない。
「アクア、奴らの拠点を掴めたら後々有利なんだが知らねぇのか?」
彼女は、当然の如く、奴らの拠点を知っていたのだ。もし彼女がハンネスに言えば、奴らのギルドにテロや皆殺しだって出来るかもしれない。あの青い目をした少女に心を揺らされることも無い。
「知っているわ。ホワイトキング市場の少し離れた所よ、前にボスに命令されてヒルアの後を付けていたの」アクアがそう告げるとハンネスは、嬉しそうに声高らかに口を開いた。「それはでかしたな!じゃあ拠点が見つかり次第作戦開始だな」
目の前の彼にアクアは、頷いた。
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周辺は、薬品の匂いが立ち込めて、瓶が所狭しと陳列されていた。
ここは、ヒルアの家の薬局でジスタは、薬を受け取りに来ていた。
「ごめんね、ジスタ。これがあったら魔物も一網打尽できるからちょっと待ってね」ヒルアは、小鍋に薬草を入れ、グツグツと煮込んでいた。
「ヒルア?それは、何ですか?」
ジスタらは、小鍋の中を覗き込むと、綺麗な紫色をしていて、とても不気味で顔をしかめた。「パトラさんに頼まれた毒薬だよ、魔物退治に使うだって──」
彼等が居るのは、薬局の中にある調剤室で毒々しい空気が漂っていた。
「そうですか。何から何まですいませんね。アームズを倒すまでとは、いえ、部屋まで貸して貰えるとは、」
この話の経緯は、アクアには、ギルドの場所は、バレているだろう。それを手掛かりにテロでも起こされたらたまったもんじゃない。それでマスターが叔母に土下座して、頼み込んでいた。部屋数は、そんなに多くは、ないが寝泊まり位なら足りるであろう。まぁそういう事だ。彼女ヒルアは、叔母の言うことには、逆らえない一面も持っていた。
「仕方ないよ。それに店番もやって貰ってるし助かってるよ。2人だけじゃ大変だから」ジスタは、エプロンまで着て、お客の接客や薬の整理を手伝っていた。
「そう言って貰えてよかったです。それにしてもこんなにも薬があるなんて凄いですね」ジスタは、禁と書かれいた大瓶を触っていた。何故か、彼は、いかにも怪しいものに手を触れたんだろう。ヒルアは、そう、疑問に感じていた。
「それ絶対に開けないでね。トリカブトの毒だから」ヒルアがそう注意すると、
ジスタは、後ずさっていた。
「猛毒じゃないですか。なんでここに──」
「普通に対魔物用だよ。どんな強い魔物でも苦労せずに殺せるからって、需要が高いの」興味津々にヒルアの話を聞き、おまけにジスタは、紙にメモっていた。
「ジスタ、ギルドを捨てて、良かったのかな」
「捨てるだなんて聞き捨てならないですね。仕方ないでしょう。ギルドの業務には、支障を来しては、いませんし、それにヤツらの手には、乗りませんよ」
「まぁ、乗っても良かったんだけど、騒ぎ起こされても目立つのは、こっちだからね」鐘の音が鳴り、任務から、ラブリーさんが帰って来たみたいだ。
「おかえり、どうでした?彼らは、居ましたか?」
どうやら、ラブリーは、アームズのアジトの偵察に行っていた。
「居なかったね。アジトは、ボロボロだったし、いた形跡すらなかったよ、どうしよっか?問題は、彼らをどうやって脅え出すかだね」
ラブリーが彼らのアジトに行った頃には、もぬけの殻で誰一人すら居なかった。あんなに灰と化してたら、流石に暮らせないだろう。それは、想像するだけでここにいる全ての人間が分かっていた。
「拠点を変えたって事でいいですかね?」
ラブリー曰く、まだ新たな拠点の場所は、掴めておらず、「このままだと潰せない」とまで言っていた。
「彼らの新たなアジトを掴まないと有利には、進まないでしょうね」ジスタは、
しかめ面で腕を組んでいた。「ジスタさん、何か勝算は、あるの?」
彼は、真顔で即座に「ないです」と呟いた。
「なんで無いの?策士でしょ!おびき出すとか、おびき出すとか」
ラブリーは、ジスタに怒っていたが、自分もそれ以外に何も思い着いていなかったのだ。「ラブリーさんもそれしかないんだね」
「彼らに警戒されてますし、乗らないと思いますよ。挑発に乗る程、馬鹿では、ないでしょう」
「やってみないと分からないよ!乗るかもしれないじゃん、ねっ!ヒルアちゃん」
「なんであたしなの?物は、試しって言うしやってみるのもいいかもね」
ジスタは、頷いては、いるが、納得は、していなかった。
そんな直ぐにぽいぽいと思いつくもんでもないだろう。ヒルアも考えてみせるが、頭は、真っ白だ。「仕方ないですね」と彼は、ため息混じり吐き捨ていた。「どうするつもりなの?ジスタさん」
「今回は、ラブリーの作戦に乗りますよ。これで、彼らを乗せましょう」
彼の手には、白紙の便箋があった。何をするつもりなんなんだろう···。
****
数日後、幸いな事にすぐに拠点は、見つかり、久しぶりにベッドで寝ていた。
「アクア、やっぱりこっちの方が落ち着くよね。ゆっくりと休めるわ」
彼女は、ベッドに寝転び、腕時計型の端末をいじっていた。
「そうだね、メルディ。でも森奥深くなら見つからないし、よく探せたね」
トントンとドアが叩く音が聞こえたが、主は、オレンジ髪の幼女ライナーだった。「アクアねぇさん、こんなものが近くに落ちてただけど何かな?」
見るからに手紙だが、内容を見てからじゃないとどうとも言えない。
アクアは、封を開け、記された内容を読み上げた。
──────アームズさんへ
ふっはっはっは!!!我らにアジトを燃やされた位で引き下がるなよ!そんなに弱いやつらなのか?見損なったぜ!?出てこないと言うならば何もしないが挑んだのなら、最後までやりあおうではないか。
ここに乗らないとは、戦士とは、言えないだろう。彼女が読んでる所をボスに聞かれてしまい、まぁ結末は、言うまでもないだろう。
手紙は、ケンが書きました(*`ω´*)ドヤッ




