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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第2章反乱の旗と残酷な世界。
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敵の実力[後編]

 アクアは、ヒルアという人間がよくわからなかった。彼女は、人殺しが好きなのかは、知らないが、楽しそうに話しながら歩いていた。アクアは、自分がしてる事が正しいとは、思えなかった。自らの行いが後ろめたくて、気持ちが悪かった。アクアは、そう思う度に心がモヤモヤして、反吐が出た。

「どうしたの? ボッーとして...今からやるんだから、そんなじゃダメだよ」

 ヒルアは、アクアの肩を軽く揺らした。

「分かってるわ。 参加者は、どこにいるの?」アクアは、呆れたようにため息を吐き出した。「これをなんとかしなきゃねぇ?」ヒルアは、背後に歩み寄る魔物の気配に気づいて、そちらに銃口を向けた。アクアは、自分達の周りに大勢の巨大な魔物達が居たなんて知らない様子だった。

 魔物達は、よっぽど、人間に飢えていたのか。ヨダレを垂らした状態でこちらに駆け寄って来た。

「こんなの無視したらいいじゃないの。相手してたら、時間の無駄じゃない?」

 アクアがそうは、言うものの、巨大なヤツら相手にそう簡単に逃げれるわけがない。「もう、そんな事を言ってる場合じゃない。食われるぞ。アクア」ハンネスの言う通り、すぐさまアクアは、魔物に狙われた。奴に斧を振り落とされ、彼女は、咄嗟に飛んで、避け切ったが数が多すぎて、キリがない。「ねぇ!助けた方がいいかな!」とヒルアに問いかけられ振り向くと血だらけで彼女は、そこに立っていた。ヒルアの周りには、魔物の死体があった。きっと返り血なのだが、何とも恐ろしすぎて、彼女は、震えを覚えた。「アクアさん!危ないよ」

 ヒルアは、木の枝の橋を渡り、太い鎌で首をぶった斬られた魔物は、倒れ込み、木の下敷きになっていた。「こんなグロい殺し方、良くできるね」

 アクアは、彼女の殺した方に気味悪がったがヒルアは、すぐさま振り向き、即座にこう返した。

「何を言ってるの?日頃から同じ事してるでしょ。あなた達も───」


「そうだけど、直接じゃない。こんなひどいやり方は、したことがない」

アクアは、首を横にふり、否定するが疑わしい瞳でヒルアに見つめられた。


「同じじゃない。加害者からしたら、そのやり方は、どうであれ、どれも酷いことよ」ヒルアは、アクアにそう冷たく言い捨てた。


「ヒルア、それぐらいにしろ。魔物を確実にやるには、頭を切るのが当たり前だ。それを知らなかっただけだろ」ハンネスに注意をされ、ヒルアは、不機嫌そうだ。

「ハイハイ。ごめんね、アクアさん」ヒルアは、反省していない素振りで頭を下げた。「別にいいよ。さぁ参加者を探しましょう」アクアは、別にヒルアが気に入らない訳じゃない。自分が未熟なだけであってそれだけなのだ。

 彼女にとって自分なりに納得するしか、無かった。


****

「ここ、魔物しかいねぇな。もうちょっと奥行った方

がいいかもな」アクアとハンネスは、周辺を見渡し、参加者を探していた。


「そうね、それにしても参加者見かけないんだけど、情報は、確かなのか?」

アクアは、ヒルアを疑い目でみるが、全く相手にもされない。

「多額の賞金がつぎ込まれるだよ。いるに決まってるじゃない?ほら、あそこに───」ヒルアの指差す先に視線を向けた。そこには、ジスタに呼ばれた、ケンとパトラがいたが、変装どころか変な格好している輩にしか見えない。

「グラサンにマスクに黒いローブっていかにも不審者ね」アクアは、そう怪しこむと、ヒルアは、何故か焦りが見え始めた。

「そうだな。あそこまであやしい格好してたら、目立ち過ぎないか?」

 ハンネスの言う通りで彼らは、派手な格好をして、そこら辺をうろついていた。「そんな人もいるよ!」ヒルアの声が震えていたが、ハンネス達は、特別、変に思っては、いなかったみたいだ。「まぁ、そうだな」ヒルアは、なんとか誤魔化したが、ジスタは、どういうつもりなのだろう。 逆に目立ちすぎてやばくないか彼女は、心配だった。ヒルアにとって存在感を感じる程度で良かったのに、ハンネス達に目を付けられたらどうしようもない。

「おい、ヒルア!アイツらをやろうぜ。やっと見つけたんだ」彼女の心配をよそにハンネス達に彼らは、目をつけられてしまったのだ。ヒルアは、どうしていいか分からず、とりあえず合図を試みる事にした。そして、こう命じた。

「怪しまれてるから、ここを離れて」彼女は、ハンネス達に聞こえないように小声でパトラ達と話していた。


****


「何か、今、ヒルアにシシッてやられたぞ?なんか言ってるけど聞こえるか?」 

 パトラ達の向こう側には、ヒルアとハンネス達がいた。自分達は、ジスタに頼まれ、魔物退治に参加者のフリをしている。

 顔は、分かられているがこんなにも変装は、バッチリなんだから、怪しまれてもいないだろう。本人達は、そう思っていた。

「んー?わかんないわね。とりあえず、近づいたら、いいんじゃない。じゃあ聞こえるかもしれないし」パトラは、ヒルアの問いかけに耳を傾けるが、全く何を言ってるか聞こえない。

「そうかもしれないな」ケン達は、少しずつ、ヒルアに近づき、様子を窺っていた。偶然、彼女と目が合ったが、首を横に振られた。「う、後ろ」という声だけが聞こえた。彼等達は、顔を動かすと、ケンとパトラは、声が重なった。 

「「あっ!?」」ベアキングが叫びながら、こちらに歩み寄っていた。

「こんな雑魚、早くやっちまおうぜ」ケンは、やる気満々に斧を肩に乗せていた。


「そうだけど、ここで攻撃したら、怪しまれるわ。逃げるのよ」

 パトラは、そういうがケンは、違うみたいだ。

「そうすると、ヒルア達が巻き込まれるぞ」ケンは、チラリと後ろをふりむきながらそう言っていた。「じゃあどうすればいいのよっ!」パトラは、魔物に腕を振り落とされ、不意に飛躍してしまい、ヒルアの所まで着地してしまった。

 パトラは、これは、自分達ってバレるかもしれないと思っていた。そうなったら、作戦は、台無しだ。

「おい、ヒルア。黙って見たままでいいのかよ。参加者を狙うだろ?」

 ハンネスは、彼女の肩を叩くが当の本人は、答えられる場合じゃない。パトラ達が誰など気にしておらず殺ることにしか興味がないみたいだ。彼等が馬鹿で良かったのかもしれないとヒルアは、安堵していた。


「とりあえず、あのベアキングを倒してからにした方がいいよ。邪魔になるし...」

ヒルアは、この言葉でハンネス達が納得するとは、思わなかったが今は、これしか出なかった。

「そうだな、待つか」とハンネスは、大きい岩に座り始め、パトラ達のコトをずっと見ていた。彼らにとってそれが戦いづらくて仕方が無い。自分らが千武族ってバレたらやばい。だから武器は、使えない。 それは、絶対だ。

 パトラ達は、魔法族を演じなきゃいけない。こいつを倒したらすぐさま逃げよう。そうでもしないとと作戦に支障を来すのだ。パトラは、ポケットに偶然入ってあったマジカルアイテムを取り出した。魔法を唱えるフリをした。まぁフリだが...。「ファイアブレス!!!」と丸型のアイテムを投げ、魔物達に火傷を負わせ瀕死に追いやった。「行くわよ、ケン」彼等達は、互いにコクリと頷き、森を後にした。「早すぎて、追いつかねぇな。逃がしてしまったな」ハンネスは、追いかけようとしていたがヒルアは、彼の肩を掴みにかかった。「もう仕方ないよ。とりあえず、ハンネス。目の前の奴をどうにかしようか」

 ハンネスは、周辺に視線を向けると唖然としていた。さっきパトラ達が倒したベアキングの群れが一気にこちらにやってきた。ヒルアは、不味すぎて、笑えない。

 パトラ達にとんでもない物を置き土産されてしまったのだから、許さないと拳を握りしめ、ヒルアは、そう戦う覚悟をした。


次回に続く。




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