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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第2章反乱の旗と残酷な世界。
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尋問

   ワールドプロジェクトのホールに彼女は、いた。アクアの目の前にいるのは、眼鏡をかけた男性とツインテールの女性だった。アクアをテーブルに座らせた。

 そして彼女は、真正面に男女2人と向き合わされる。


「他のみんなは、出かけていないからあたし達だけだけど、油断しないでね」

  アクアは、怪訝な顔をしていた。彼らは、誰だろうと考えを巡らしていたが

 そんな場合では、ない。


「嘘をつけば、痛い目に合うよ。アクアさん、答えて組織名は?規模はどれくらいかな」

  彼女は、首を振り、押し黙った。答えて帰ればボスにどんな目に遭わされるか

 分からない。

  当の本人にとってそちらの方が怖い。

 横にいたジスタがアクアをにらみつけた。


「まぁ、答える訳ないですよね。どうしましょうか?ラブリー」


「って、こういうの慣れてるでしょ。ジスタ」

 ラブリーは、冷たく、呆れたようにそう漏らしていた。


「あれは、拷問しながらでしたから、じゃあ質問を変えますね。ボスはどういう人

 ですか?容姿は、別に大丈夫ですよ」

 ジスタは、淡々と彼女に問いただした。


「傲慢でしたたかであたしを救ってくれた人」

 アクアは、小さくそう呟いた。


「救ってくれたとは、10年前の事ですか」

 アクアが頷くと、ラブリーがため息を つき始める。


「こういうの好きでやってるの?」

   アクアは、ラブリーにそう聞かれるとは、思わず、どう答えたらいいか分からなくなってしまう。でも彼女にとって、テロなど好きな訳などない。


「違うに決まってるでしょ。地獄から助けてくれたんだよ」

 彼女の発言にジスタは、呆れた顔をしていた。


「完全に付け込まれてますね。これ以上、あなたを問いただすのは、無駄だと思いますが、これだけお願い出来ますか?」

 ジスタは、アクアの手のひらに箱を乗せた。


「──これは、なんなの?」アクアは、箱を握り、眉間に皺を寄せていた。


「時限爆弾です」とジスタは、穏やかに微笑んでいた。


「そんなものを受け取ると思う?」とそう聞き、アクアは、驚き、箱を落として

 しまう。


「いえいえ。聞かれたのでそう答えただけですよ。貴方はもう帰っていいですよ。目的は、もう終わりましたから。」

 ジスタは、箱を拾い、ポケットに閉まっていた。

「じゃあ帰るけど、あなた達とは分かり合えないと思う。だから下手なお節介は

 やめてよ」

 アクアは、彼らを睨んで、そう言った。

「そんな事、しませんよ、そんなのこちらに利益がないですから...」


 アクアは、彼らに背後を見せずにアジトへと帰っていた。意外と早く帰れたが

 彼女には、何が引っかかように感じた。なんでだろうと思い耳を澄ますと

 カバンの中から機械音が鳴り始めていた。


 ****


「あっさり、逃がして良かったの?ジスタ君」

    ラブリーは、ギルドのテーブルに座り、ジスタと話していた。


「あぁ。彼女には、位置情報を搭載された小型の監視虫を仕掛けておきました

 から」ジスタは、さっきの箱を何故か磨いていた。


「えげつない。なんで時限爆弾を渡そうとしたの?」

 ラブリーは、その箱を目掛けて、指を指していた。


「俺なりのユーモアですよ、ラブリー。彼女はいつか自爆しますよ。行動に信念がないですから」

 ジスタは、そう言ってるが、瞳は、冷たく、呆れと失望を感じさせられる。


「上手いことを言ってんじゃないの!」

 ゲシッ!!とラブリーに蹴りを入れられた。


「痛っ!なんなんですか、ラブリー」とジスタは、痛がってみせたが彼女には見事にスルーされた。


「彼女も災難ね、救われた先が人殺しの手下だなんて···。」

 そんなジスタにラブリーは、そっぽ向き、切なそうにそう言った。


「その手を握ったのは、彼女の意思でしょ」

 ジスタは、冷たく言い捨てたのをラブリーは、黙って頷くだけだった。


 ****


「ノアールの店ってここだったんだな」

   何故か店にマスターが居た。ヒルアは、何故か分からず思わず凝視して

 しまう。マスターは、薬局に置かれている薬ビンを見回っていた。


「おばあちゃん、なんでいるの?」

 マスターの事を指さして、叔母に問いただしたが「分からない」と言っていた。


「───あたしが聞きたいよ、コク。何しに来たんだい?」

 叔母は、マスターの肩を叩き、そう言っていた。


「見に来ただけだよ。何もしないさ」

 マスターは、首を横に振って、穏やかに言った。


「信用ならないね。この前の事、根に持ってるのね。いい加減、諦めたら?」

 叔母は、マスターの事が気に食わないのか、悪態をついていた。


「それは、無理だ。俺が目指すのは共存だ。だから同じ種族であるヤツらがテロを起こすのは、許せない」

 マスターの言葉に迷いなどなく淡々と考えを述べていた。


「あたし達の中では、種族の過激派が起こした事。でも世間は、それをわかって

くれるのかしら。これから、千武族への風当たりは、厳しくなるばかりよ。共存だ

 なんて言ってる場合じゃないよ」

   叔母は、眉1つすら、動かさず、ただ、マスタだけを睨んでいた。


「それは、わかっているさ。奴らは俺達が必ず止めてみせる。目的は

 きっと白魔王を抹殺することだ」


「だろうね。それを阻止するのかい?目立つ行動をすると女王様に目をつけられて

しまうよ、いいのかい?」

 叔母は、マスターにそう問掛けるが淡々とこう言っていた。

「それは、覚悟している」


「ヒルア。お前もリスクを背負う事になる。引くなら今のうちだよ」

   彼女は、突然、叔母にそう言われ、何も考えずに答えた。


「おばあちゃん、あたしなら大丈夫だよきっとやってみせるから。」


「そうかい。コクは、ささっと帰りな。お仲間がお待ちだよ」

 叔母は、マスターを無理やり、追い出すようにドアの前まで押して行った。


「そうだな。じゃあな」叔母の家の前には、ギルドの千武族組がいた。

 マスターは、手を振り、一緒に帰っていた。


 ****


「良かったのかよ、マスター」ユージンは、そう言って、彼の横を歩いていた。


「まぁいいだろ、ユージン。ほんとは、ノアールをギルドに誘うつもりだったが、やっぱり、説教で終わったな」

 マスターの勧誘の結果は、残念だったが、当然ような気がしたユージンだった。ヒルアの家から離れ暗い森の中、ギルドへと帰ろうとしていた。


「マスターがタジタジとは珍しいな。確かに怖いもんな」

 ユージンは、夜空にヒルアの叔母の顔を浮かべていた。


「嫌、ヒルアには、優しいぞ。こちらは、大事な孫を預かっているんだ。当然の

振る舞いだと思う」

 マスターは、うつむき加減にそう漏らしていた。


「まぁそうだな。大丈夫だって、かならず、ヒルアは、俺達で守るから」

 ユージンがそう言うと横にいたパトラが呆れた様子でこちらを見ていた。


「なに、偉そうな事言ってるのよ、ユージン?魔法もまともに使えないくせに···」 

 パトラは、ユージンを馬鹿にするようにため息交じりにそう言った。


「それは、言うなよ!?」ユージンは、パトラにそう言うが呆れ顔をされた。


「かっこつけるからだ。ユージン」

 ケンにそう釘を刺され、彼は、不服そう顔をしていた。


「ケン!かっこつけていないからな。思った事を言っただけだ」

 ユージンは、不機嫌気味に怒鳴った。


「はいはい、静かにしなさい」

 そんな野郎2人にマスターは、ゲンコツを落とした。


「「なんで俺達だけ···」」

 ユージンとケンは、揃って、マスターを睨むがそっぽ向かれてしまう。


「喧嘩するからよ、自業自得よ」

 パトラには、呆れられ、ため息をつかれてしまう。


 ****


   ここは、アジトでアクアの前にマスターは、椅子に佇んでいた。

「遅かったな。収穫は、なしか?」

 彼女がそう頷くとボスは、足で音を立て、怒りを露わにした。


「仕方ない。俺が出るしかないか、さらに各地でテロを起こして政府やヒルアをおびき出させる。わかったなアクア」


 彼女は、消え入るような声で頷いた。

「分かりました。」



 次回に続く。







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