帝国決戦 後編。
コクは白魔王城の南門前にたどり着くと背後にハクが現れた。
「やっぱり罠だったんだな。」
「あたしが貴方をおびき出すように指示しましたから...」
コクは振り向いてハクと対峙するように体を向けた。
「30年前、お前はあたしに剣を向け刺した。急所を外して...その時思ったんだ。
お前はわざと外して生かしてくれたんじゃないかって...」
「気のせいですよ。魔法ばかり使っていると剣の腕が鈍っていたんです。
百年前のことも30年前の事も忘れてください。あたしは貴方が
知ってるハクじゃありません」
「そうかもしれないな。お前は気づいてるだろう。
この世界の呪いが解け始めてる事を...白魔王にもう光はなく闇に
食い潰されてる。」
ハクはコクの言葉にため息を着いて笑みを零した。
「何を言うかと思えば...どんなに闇に食い潰されても呪いが
消えるわけではありません。呪主が死ななければ永遠に解けないですから...」
ハクはコクに剣を振り下ろした。
コクは咄嗟に斧で防いで跳ね返して振るったが後退され避けられた。
「あたしはハク、お前を呪いから解き放って悪夢から抜け出して欲しいんだ」
「貴方は変わらないですね。あたしは綺麗事を言う人間は嫌いです。黒魔王も貴方も...。ここで死んでください」
ハクは魔法陣の中に剣を落として、放物線を放った。
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ヒルアとユージンは白魔王城の東門にたどり着いたが帝国の兵士達に
囲まれていた。
「蹴散らすしかないな。ヒルア」
「そうみたいだね。ユージン」
ヒルアは地面に手をあけて言霊術を唱えた。
「締蔦」蔦が生い茂って帝国の兵士の体を縛り上げた。
「軽く気を失わせるか...」
「弱い魔法で良いよ。それで十分だから...」
「あぁ。サンダー!」
ユージンは指をパチンと鳴らして唱えた。
猛烈な電流を張り巡らして帝国の兵士達を気を失わせた。
「加減間違ったわ。まぁ上手くいったしいいよな。」
彼らの周りには帝国の兵士達は倒れ込んでいた。
「そ、そうだね...」
ヒルアは苦笑いしてユージンと一緒に白魔王城へと入っていた。
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ラブリーとユミンは白魔王城の西門へとたどり着いた。
「久しぶりですね。ユミン、ラブリー...」
西門にはジスタが佇んでいた。
「ねぇほんとに戦わなきゃいけないの?」
「はい。白魔王に示しが付かないので...」
ジスタは指を鳴らすと杖が落とされ魔法を唱えた。
「ユミン、目を覚まさせよう。」
ラブリーはユミンと目を合わせて頷いた。
「スノーパーティクル」
彼女達の頭上に魔法陣が無数に現れそこから
氷の粒子が降っていた。
身体に氷の粒子が当たると部分的に凍って身動きを取れせなくする。
「ラブリー、気をつけて当たると身体が凍るから...」
ユミンは巨大なハンマーをジスタの足元に撃ち落とした。
「よっと...ユミンが戦うなんて珍しいですね」
ジスタは飛躍してハンマーを避けた。
「そうだね。でもジスタ君と戦うなんて思ってなかったよ」
ユミンは容赦なくジスタにハンマーを振るっていた。
「俺も同じです」
ジスタは避けるばっかりで何も抵抗せずただ魔法陣を仕掛けるだけだった。
「ファイアスフィア」
ラブリーはジスタの背後に忍び寄ってちいさな魔法陣から無数の炎の玉が
放たれた。
「スノーフラワー」
ジスタの足元に氷を纏った花が生い茂って炎の玉を防いだ。
氷の華は溶け始めて一気に崩れてユージンはハンマーを振り落とした。
「シールド」
ジスタは目の前に透明な壁を建ててハンマーを防いだ。
「バカ!!」
ラブリーはジスタに向けて蹴りをかまして吹き飛ばされ西門に
打ち付けられた。
「痛っ...」
ジスタは項垂れながら体を起こした。
「もう目覚めた?」
ジスタの前にユミンは巨大なハンマーを担いで立っていた。
「覚めましたよ。白魔王は城の屋上に居ます。ハクさんはマスターと戦ってます。
誰を相手するかはラブリー達に任せます」
「それはいいけど君はどうするの?」
ラブリーはジスタの怪我を治癒魔法で治していた。
「俺はユージンとヒルアと合流して白魔王元へと行きます。」
「じゃあ道は別れるね。ラブリーはジスタについて行ってあたしは
マスターの元に行きたい。」
「分かった。ジスタだけじゃ話がややこしくなるしね。ユミン、気をつけて...」
ラブリーの言葉にユミンは頷いて背を向け去っていた。
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白魔王城の北門にたどり着いたホークアイの元に巨大な魔物が3体現れた。
「コクさん...厄介な所、任せやがって」
クロウは双剣を振り落として魔物Aに傷を与えた。
「まぁ仕方ないだろ」
スズメは巨大な魔物Bを真っ二つに鎌で切り落とした。
パトラは銃弾を幾魔物Aを幾度となく打ち込んで倒れていった。
「シュタールブレッド」
タカは魔物Cの頭上に魔法陣を発生させ鋼でできた鋭く尖った銃弾が
落とされスワンが毒刃を投げてトドメを刺した。
「退治完了だな」
クロウは頷いてホークアイを引き連れて城へと入っていた。
次回に続く。
残す所に1話と言いましたが最終決戦1話追加して
エピローグになります。変更が重なって申し訳ありません:(>”< )
よろしくお願いします。