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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
最終章 革命
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マーシンアイランド決戦 後編

 


「負け戦に挑むなど愚か者がする事だ。」

  ジタン騎士長は腰にかけた銃をジロンに向けた。

 

「なんとでも言ってくれ。ジタン騎士長にとってマーシンアイランドは

 小さな島国かもしれない。でもここいる人たちにとって大事な故郷だ。」


「綺麗事でも言いたいのか」


「銃を向ける相手間違ってないか?」

 ジタン騎士長の銃口を掴んで塞いだ。


「手に風穴が空くぞ」


「かもな。サンダーボルト」

 ジロンは指をパチンと鳴らして仕掛けたサンダースパイダーに

 再度、強い電磁波を流した。


 ジタン騎士長の動きを止めてルビアの首を締める右手の力を弱めた。



  ルビアは解放され、地面に膝を着いて着地した。

「針山」

 ルビアの指の隙間に無数の針が挟んでジタン騎士長に向けて投げた。


「容赦ないな。愚か者どもよ」

 砂埃から血だらけのジタン騎士長が現れた。


「化物かよ」

  ジロンはジタン騎士長のあまりの姿に後ずさりした。


 ジタン騎士長の腕と足の質感は爬虫類のようで爪は鋭く、尻尾は長く刺々しい。


「帝国の技術は素晴らしい!魔物の遺伝子と強化剤を混ぜ合わせれば人間兵器が

 出来上がる。」

  ジタン騎士長は声高らかに語った。


「気持ちわりいな。ルビア、大丈夫か?」

  ジロンが振り向くと彼女は頷いた。


「はい。ジタン騎士長、その力を使えば体は負荷に耐えられず寿命が縮みます。」


「それは覚悟の上だ。帝国と白魔王様の為ならこの身を捧げてもいい。」


「そうか。どこまでもブレないな。」

  ジロンは杖を回転させ地面に叩きつけた。


「ジロンさん。フェルトさんから何があってもいいようにと色々と貰ってます。

 勝機が無いわけじゃありません」

  ルビアの言葉にジロンは頷いた。


 ジタン騎士長は鋭い爪で蜘蛛の糸を切り裂いて

 向かってきた。


「シールド」

  ジロンの前に透明な盾が現れた。


 ジタン騎士長は腕を振り下ろして、盾を真っ二つに割って手から咆哮を放った。

 

「ジロンさん!防壁!」

  ルビアは言霊術を唱えると強固な鋼で作られた壁が現れた。


「すまん。ルビア」


「大丈夫ですよ。ジタン騎士長は強力な魔物の遺伝子を取り込んでます。」


「だろうな。 フェルトさんから貰ったもので何とかするしかない」


「そうですね」

 ルビアが建てた鋼の壁はジタン騎士長の咆哮の熱に焼かれて溶けていた。


「呑気なものだな。敵の前で作戦を立てるなど...」

  ルビアが見上げるとそこには化け物と化したジタン騎士長が居た。


「毒刃」

  ルビアの手は鋭い刃に変化してそこには毒が塗りたくられていた。


 ジタン騎士長はルビアの腕を掴んで折れるほどの衝撃を与えたが

 彼女は動じず、彼の胸に毒刃を突き刺した。


「ぐっ!うわぁぁぁぁぁ」

  ジタン騎士長から奇声を発され衝撃波が押し寄せた。


「ルビア!!」

 猛烈な風が吹き荒れて彼女の体は流されジロンが受け止めた。


「大丈夫か?」


「はい。右腕は折れましたが何とか無事です。」

  ルビアの右腕はボロボロに折れてコードが剥き出しになっていた。

 

「無茶をするな。」

 ジロンはルビアに手を差し伸べた。

 

「あたしの腕は治せますから大丈夫です。」

  ルビアは差し伸べられた手を取らずにジロンの肩を借りて立ち上がった。



 バーンと銃声が聞こえ、見上げると高台からペッパー首相が見下ろしていた。


「ほかの帝国兵は気を失って眠ってる。こちらも犠牲を負ったが、厄介な事に

 怪物が残ってる。加勢するぞ」


「あぁ。頼んだペッパー首相。」

  ペッパー首相はルビアに向けて腕を落とした。


「新しい武器を搭載した腕だ。折れた腕を切り落として取り替えてくれ」

  ルビアはペッパー首相は腕を受け取った。


「目を逸らしてください。ジロンさん」


「あぁ」

 ジロンはそっぽ向くとルビアは腰にかけたナイフを使って右腕を切り落として

 新しい腕に取り換えた。


「ありがとうございます。ペッパー首相、これで戦えます。」


「俺こそお礼が言いたい。よくここまで持ち堪えてくれた。」


 周囲の霧が晴れて化け物が姿を現して爪が鋭く光って尻尾を長くさせていた。


「よくもやってくれたな。身体が不快で仕方がない」

 ジタン騎士長は地面に血を吐いた。



「そうか。じゃあもっと苦しんでくれ」

  ペッパー首相は高台からガンランスをのぞかせていた。


「そんな武器で何が出来る?」


「足止めだ。」

  ペッパー首相のガンランスの銃口から砲撃が集中的に放たれる。


「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 ジタン騎士長の手からは咆哮が放たれ砲撃を消滅させていた。


「今のうちだ。ルビア」

  ジロンと彼女は頷いた。


「ポイズンキングハンド」

  ジロンの前に魔法陣が現れ巨大な手が2つ出現した。


 ジタン騎士長の両腕を掴んで毒を侵入させ蝕む。


「何をする気だ。」

  ジタン騎士長の顔は毒のせいで紫色に染まっていた。


「通常の人間には細い注射器で充分ですがあなたの場合は太い奴では無いと

 効きません」

  ルビアの右腕の先端には太い針が生えて強く光っていた。


「何を言ってるんだ。」


「解毒剤と抗薬剤を刺しておきますね。ジタン騎士長」

  彼の腕に注射の針が刺さって、痛みに悶え気を失っていた。


「やっぱり耐えきれないだな」

 ペッパー首相は高台から降りてきてジタン騎士長を抱き抱えていた。


  ジタン騎士長の姿は化け物ではなく人間に戻っていた。


「どうしますか?これから彼を」

  ルビアはペッパー首相にそう尋ねるが首を横に振った。


「さぁ。どうしていいか俺にもわからん。」


「離せ!帝国は直ぐに報復しに来る。白魔王様やジスタの策に...」


「溺れてるのはジタン騎士長の方だ。どんなに腐ってもジスタはお前に帝国に

 味方しない。」

  ジロンがそう言うとジタン騎士長は怒りを露にした。


「現にしてるじゃないか!現実が見えてないのか」

 ペッパー首相を払い除けながら立ち上がった。

 

「ジスタは仲間を何より大事にしてる。家族よりもだ。守る為ならなんでもする

 たとえ裏切り者になってでも」


「なんでそんなことが言える」


「信じてるからだ。あんたはジスタの何も分かってない。ササッと逃げて帝国に

 加勢しに行けよ」


「お前に言われる筋合いは無い。覚えておけよ帝国戦が終わってから

 この島国を叩き潰すからな」


 ジタン騎士長は唾を吐いてボロボロになった船を乗って

 マーシンアイランドを出た。


「ジロン、逃がして良かったんですか。」


「ジスタの手で殺ってもらったほうがケリが着くだろう。」

  ジロンはため息を着いてポケットに手を入れていた。


「俺は良くないけどな!皆、帝国戦に向けて今日は休め」

  ペッパー首相は背後からジロンの頭に拳骨を食らわせた。


「痛いな!」


「勝って良かったですね。ジロン」

ルビアはジロンに微笑んだ。


「あぁ。ルビア」


 マーシンアイランドの夕日は沈んで夜を迎えた。


 次回に続く。

次回も、2話続けて投稿します。帝国決戦、前編、後編

その後にエピローグで最終回です。お楽しみに

ヾ( ˙꒳˙)

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