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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
マシーンアイランド編
108/121

革命の犠牲

  焚き火が香ばしく香って鼻を啜った。

  「俺のじいちゃんは数多くの革命に関わってた。でもそれは失敗に終わった

 それしか聞いていない。」

  ユージンは足元に毛布を被せて座り込んでいた。


「もしかしたら呪いが関係してるかもしれないね。

 白魔王は光に属する者だから...」

  ヒルアは手のひらで火を生じさせ焚き火に注いでいた。


「着眼点は合ってるが惜しいな」

  2人が見上げるとそこには腰を曲げた老人がいた。


「テゼルトの村長じゃ。わしは昔、帝国騎士団の1人だったって言っても下っ端で城の護衛をしとった。」


「革命はご存知ですか」

 ヒルアがそう聞くと村長は頷いた。


「知っておる。革命もなぜ白魔王は10年前千武族の村にたどり着いたか...。」


「それはどういうことですか?」

  ヒルアがそう尋ねるとゆっくりと腰を下ろして芝生の上に座った。


「お前さんは小さかったから知らないだろう。

 黒魔王が設けた幻影の結界だ。千武族の者以外が過酷な状況に達した者が

 見える景色がお前の故郷だ。」


「白魔王はどうやってたどり着いたんですか?」

  村長は生唾を飲み込んで息を吹き返した。


「ずっと傍観して居たのじゃ長生きはするもんでは無い。

 革命は実際にあたしが見ていた。

 帝国に忠誠を誓っていたが白魔王の目を見る度にそれは薄れていた。

 白魔王にとって道具に過ぎない。」


「仲間が死んでも"帝国の騎士の風上にも置けない"と罵倒するだけだった。

 わしは魔法族だったが研究家の父は白魔王に疑問を持っていて、世界各地を

 うろつきまわっていたから父の知識はそこから来ていた。

 ブルーメンヘッドにはフェルトがいるからか百年前の書物が多く残されていた。」


「父は千武族の村に辿り着いた。まるで時代が遅れてるかのような古めかしい村

 だった。でも人々は楽しそうに暮らしていた。」


「そんな中、帝国では事件が起きていた。

 白魔王がいる城が何者かに侵入されて制圧された。帝国の騎士では歯が立たず

 白魔王が相手になっていた。その中にクレスやコクや黒魔王の息子もいた」


「俺の曾祖父さんはそこで死んだ。50年前の事だよな。村長さん」

  ユージンはそう言うと村長は頷いた。


「ユージンだったか英雄の末裔は」


「白魔王の呪いのピークだった。クレスはこの伝説の剣を持って白魔王を倒そう

 しただがそこで告げられた」


「その剣は黒魔王を殺す為に作られた。闇を滅する剣だと私には効かないって

 実際そうだったんだよ。白魔王はまだ光を持っていたから...その剣は跳ね返され

 クレスは白魔王に無惨に殺された」


「黒魔王の息子とコクは命からがら生き残り、城から逃げだした。

 でもそれがあの悲劇の始まりだった。」

  焚き火の火に村長が触れると再び燃え上がった。


「それで十年前の悲劇は起こされた」

  ヒルアがそう呟くと村長は声を震わせながら語った。


「そうだ。その事件が引き金となり千武族の存在を告げることになった。

 白魔王は種族ごと根絶やしにするため、あたしの父である研究家一家を

 あたしの手で拷問して白状された。

 白魔王の命令だった。あたしは洗脳され父の爪を何個剥がしたか覚えていない。父は母に拷問の手が及ぼうとすると場所を白状したが見つけるのに40年も

 かかった。」


「秘境の地だからな。到底並の人間ではたどり着けない。わしの父がたどり着けたのは奇跡に近い。」



「地獄を味わった者達だけが秘境の地、乾き果てた砂漠の中で水もなく、

 途方もなく止まらず進み続けると辿り着く。止まっていけない。

 砂地獄に落ちて巨大なサソリに食われる。

 捜索隊に白魔王が加わった事でやっと見つけだした。どうせ辿り付けないと

 思っていたが見つけて奴らはひとつの村を燃やし途絶えさせた。」


  「30年前の革命の話だがわしは帝国騎士団を辞めた後だったから何も知らない。お前の婆さんなら知ってるかも知らない」

 村長はヒルアをじっと見つめた。


  「おばあちゃんが...」

  ヒルアは思い当たる節がなく頭が混乱するだけだった。


「村長、マスターがヒルアを希望の光だと言っていた。それは何でだ。」


「ヒルアは黒魔王の血を濃く受け継いだ直系の末裔だ。

 重要なのは彼女の心は純白そのもので闇に染まることの無い強い心を

持っている事だ。黒魔王は心は闇に染まる事がなかった為か闇の遺伝子は

受け継がれてはいない。光だけが受け継がれた。」



  「でも、あたしが白魔王と倒せると確信が持ってない」


  「重要はそこじゃない。白魔王はどれだけ闇に支配され光を宿してないかだ。そしてお前の中にこの世界に対して希望を持っているかだ。」


  ヒルアは体が震えて重圧で息を飲んだ。


「大丈夫。ヒルアはひとりじゃない。ずっと戦って来たんだ。

今更、希望は途絶えない」

  ユージンに肩を寄せられ、ヒルアの瞳から崩れ落ちた涙は拳に跳ね返される。


  「そうだよ。ヒルアお姉ちゃん。ここにいる仲間なら革命は必ず成功する。

 僕は信じてるよ。一緒に自由を取り戻そう」

 マオの背後にはあたしの仲間やホークアイの皆が立っていた。


「ありがとう。未来のために革命をやり遂げるよ」

  ヒルアは立ち上がり、涙を拭った。


 次回に続く。





 

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