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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
マシーンアイランド編
104/121

白黒戦争前日談 怠惰な神と狡猾な女王。(後編)

だいぶと遅れてすいません(-_-;)気持ちの整理が出来たので書き進めますのでよろしくお願いいたします

  「白魔王様、どうされました?」

 ハクの問いかける声で白魔王は意識を取り戻した。


「いえ、なんでもないわ。」

  白魔王の声は動揺のあまり震えていた。


「そうには見えませんけど...」


「疲れてるだけよ。ハクは先に村に帰ってて」


「いいですけど、疲れてるなら早く帰って休んだ方が...」

 ハクは心配そうに白魔王の顔を伺っていた。


「どうしても寄りたいところがあるの。ハク」

  圧倒されるような強い瞳で見つめられ彼は頷いた。


「そうですか...じゃあ先に村に帰りますね。」

  ハクは白魔王に背後を見せて村に帰って行った。


  白魔王は首からかけているペンダントをかざして呪文を唱えた。


「我を神の塔に導いて...」

  地面には魔法陣が現れ光を纏って体ごと神の塔に転送されていく...。


 *****************


  天まで届く塔は階段が程遠く感じた。


  足を踏みしめる度に張り詰めた想いが言葉になって降り積もった。


  いつからか黒魔王が遠い存在に思えたのだろう。

 ずっと前かもしれないけどそれに気づいたのは叶わない想いと彼女は

悟ってからだ。


 白魔王は隙間からはみだす眩しい光に目を瞑った。


「あたしがずっとそばにいたのに...」

  白魔王はそう零して目的地にたどり着いたのか立ち止まった。


 そこは薄暗く書物が積み重っていて白魔王は手に取り埃を払った。


「あったわ。呪書(じゅしょ)


  「白魔王、貴様は何をやっているんだ?」

  振り返るとそこには神がいた。


 ****************

 

  朝になっても白魔王は村に帰ってこずハクは家の前に立ち尽くしていた。

 

  「おはよう、ハク。稽古に行かないのか?」

  コクにそう尋ねられ首を横に振った。


「おはようございます。稽古には後で行きます。白魔王様が帰ってきてから...」


「帰ってこないのか?行先はどこだ」


「いえ、聞いてません。すぐに帰ってくると思ったから...」


  「まぁ強い白魔王様なら魔物に襲われる心配は無い。きっと大丈夫だ。

今日からクレスと言う奴が稽古に入るんだ」


「クレスですか?」


「あぁ...黒魔王様の剣術を見てみたいってさ。それにあいつは魔法の制御が

出来ない。セーブできるようにするには鍛錬が必要だ。」


「そうですか。黒魔王様に伝えておいてください。今日は稽古に参加出来ないと」


「白魔王を探すのか?」


「はい。嫌な予感がするので」

  ハクの真っ直ぐな目を見るとコクはため息を着いた。


「分かったそう伝えて置くよ。」

  ハクは頷いてある所へと向かった。


 

  ****************


  「神様...」白魔王が持っていた本は床に落ちていった。


  「白魔王、お前なら知っているはずだ。その書物は何を意味するのか。

何か人間が愚かなことをしたのか」

  神にそう尋ねられ白魔王は静かに語った。


「人間ではありません。黒魔王はあたしを裏切りました。

 神様は知っていると思いますが私は黒魔王に好意を寄せておりました。

ですが黒魔王はそうとは知らず見知らぬ女性と結ばれました。」


  「なんと愚かだな。黒魔王は...」

  白魔王は神のその言葉を聞いて口角が上がった。


「神様なら理解して下さると思ってました。だからこの呪書を持ち出しても宜しいでしょうか?」

  白魔王は上目遣いで神の手を握った。


呪書じゅしょを使うのは禁忌だ。それなりの代償を要する。貴様の処女を私に授けろ。」

 

  「はい。分かりました神様」

  白魔王がそう耳元で囁くと神と口付けを交わした。


 ****************

  ハクは村にある近くの森に向かっていた。


  白魔王を探していたがどこも見当たらない。

  探すところは後、神の塔位だ。


  ハクは胸のブローチを外して空に翳した。

  地面に魔法陣が現れ体ごと光に包まれ転送されて行った。


  途方のない長い階段を上り終わると書庫から声が聞こえた。


  「そんなに呪書じゅしょが欲しいのか?白魔王」

  ハクはドアに耳を済ました。


呪書じゅしょがあればあたしの願い事が全て叶うから...」

  白魔王と思われる声が聞こえハクは魔法を使って透視した。


  予想だにしない場面にハクは息を呑んだ。

  なんと神と白魔王は体を交わして口付けまでしていた。


  ハクは書庫から距離を置いて考え込んでいた。

  白魔王様は"呪書"(じゅしょ)がどうとか言っていた。黒魔王様に聞いてみれば分かるかも

しれない。ハクは再び、胸のブローチを外して空に翳して村に帰って行った。


 ****************


  夜を迎えて黒魔王は小さなランプを付けて本を読んでいた。ドアを叩かれ

ゆっくりと立ち上がった。


「ハクじゃないか。どうした?そんなに慌てて...」

  ドアを開けると息を切らしたハクが部屋に入っていった。


「黒魔王様、呪書じゅしょとは何ですか?白魔王様がそれを手にして何かをしようとして

いるんです。」

 

  「あぁ...それは」

  黒魔王の背後に黒い無数の手が現れ身体中を蝕んだ。


「黒魔王様!!」

  ハクは 腰にかけていた剣を引き出て無数の手を切り裂くが再生して元の姿に

戻るだけだ。

  激しい物音が聞こえコクとクレスが部屋に駆けつけた。


  「3人ともよく聞け、もうすぐであたしはお前らが思っているようなあたしでは無くなる。呪書(じゅしょに呪われた者は無数の手に蝕まわれ体ごと囚われ、操り人形に

される。もしもの事があったらあたしを殺せ」


  「そんなことを俺達には出来ません!」

  コクは声を震わせながら言うが黒魔王は首を横に振った。


「あたしは白魔王を敵に回したみたいだ。この呪いはあたしが死ぬことでしか

解けないが自害も出来ない。これからあたしは大勢の人を手にかけるだろう。

それが彼女の策略かもしれない。それを止めるには一刻も早く...」


  黒魔王の言葉は途絶え突如として黒い光が現れ黒魔王は飲み込まれるように

消えていった。


「皆さん、白魔王様が全てを知っています。神の塔に...」

  ハクは鼻をすすると建物の隙間から煙の匂いがした。

  コク達は部屋から外に出ると村は燃えていた。


  「どういうことだ?」

  コク達は周囲を見渡すと村一面に火は燃え広がっていた。

ハクが空を飛んで上空から様子を見ると火は留まることを知らず近隣の村にまでに及んでいた。

民達は泣き崩れ悲鳴を上げていた。


 それはまるで地獄のようだった。

 

 

 次回に続く。


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