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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
マシーンアイランド編
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白髪の騎士の手は鮮血に染められている。

  耳障りな悲鳴と張り詰められた空気に周囲は包まれていた。


  「粛清はいつまで続くのかしら...」

  白魔王がいる応接室と隣接している部屋からは悲鳴が聞こえて不快に感じ

 させる。


  「白魔王様はいつまでテゼルトにいるつもりですか?」

  ハクは白魔王に跪いた。


  「いたら都合が悪いことでもあるのかしら?」

  白魔王はあからさまに険しい顔をした。


「そうではありません。ここの事は騎士長に任せたらどうでしょうか?」

  ハクはそんな白魔王に動じず毅然としていた。


「騎士長は国の運営は初めてよ。1人じゃ不安でしょ。ハク、なんで独断で

 ジョン首相を殺したの?」

 

  「ジョン首相は元から殺すつもりでしたよね。それが早くても白魔王様に不都合なんてないはず...」


「理由を聞いてるのよ。あたしの命令もなしに殺した訳を...」

 

「失望したからですよ。あのまま生かしても役立たずの駒でしかない。それ以外に理由はありません」


「そう。それにしても珍しいわね。あなたが独断で行動するなんて...」


「そうですね。今回が初めてかもしれませんね」


  白魔王は溜息をつきながら立ち上がった。

「まぁいいわ。貴方は誰よりも役に立ってくれる。あたしの駒よ」

 

  「それは大変光栄ですね。白魔王...」

  ハクは周囲に耳を傾けると隣接している部屋からは悲鳴は途絶えていた。

 どうやら粛清はおわったようだ。


  「終わったようですね。白魔王様、騎士長と合流しましょうか」


「そうね。」

  ハクは白魔王を連れて騎士長がいる部屋に向かった。


 ****************


  ハクは業務が終わり自室で過ごしていた。


 いつも、自分の中で何かが黒く渦巻いていた。


  感情をどれだけ無にしてもその度に白魔王様の邪魔者である人間を殺した。


  それは人の為でもない。自分の為でもない。


   心は空っぽで何もなくてただそこは、虚無だった。


   自分はあの時から何も変わっていない。ずっと時が止まったまま…。


 激しい雷鳴と共に豪雨が降りしきる中、あの人(黒魔王)は死んだ


  「役に立ってくれる駒か...」

  ハクは自分の手を見つめた。


  どれだけ自分の手が汚れていっても進むしか無い。


 記憶の中でどれだけ経ってもあの時の事は、絶対に忘れない。



 *************

  ヒルア達とホークアイ達はマシーンアイランドに到着した。


  「ねぇ、ロンディ首相テゼルト村の人はどこにいるの?」

 マオは飛行機を降りるなりロンディ首相に駆け寄った。


「マシーンアイランドに村人全員、いる訳じゃない。半数はブルーメンヘッドの

 難民キャンプに移って貰ってる。」


  「テゼルト村の村長はマシーンアイランドに居るか?」

 ホークアイのボスであるタカはロンディ首相にそう尋ねた。


「あぁ...いるさ。なにか聴きたいことでもあるのか」

 

  「あの人は俺達が知らない真実の歴史の隅々を知ってる。今まで白魔王が千武族に何をしてきたのかここにいる全員に知ってもらう必要がある」


  ロンディ首相はため息混じりに頷いた。

  「それは君の言う通りだ。タカ、私は君に謝らなくちゃいけない。」


「ロンディ首相、あたしはもうブルーメンヘッド軍の1人ではない。

 あの頃、貴方は首相ではなかった。どうしようもなかった事だ。」

  タカはロンディ首相の肩に優しく触れた。


  「それは違う。あの頃のあたしはただの臆病者だった。君には惨めな思いを

 させた。すまない。」

  ロンディ首相はタカに深く頭を下げた。


「頭を上げてくれ。ロンディ首相はもうただの臆病者ではない。貴方は十分立派に己の責務を果たされている。」

  タカの言葉に感極まったのかロンディ首相は目頭が熱くなり顔を手で

 覆い隠した。


  「全く情けないのぅ。久しぶりじゃのぅタカ」

  ロンディ首相の背後からフェルトが現れた。


  「フェルトさん...」タカは軽く会釈をした。


「ワシが村長の所まで案内する。着いてくるのじゃ」

  ヒルア達とホークアイの者達はフェルトの後について行った。


  ************


  マシーンアイランドの地下シェルターの大広間にはと年老いた男が1人佇んで

 いた。


  「随分と勢揃いだな。あたしに何か用があるのか?」

 タカが歩み寄ると年老いた男は微笑んだ。


  「タカ、あたしに話して欲しい事があるのだろう。」


  「あぁ...」タカは頷き、近くにあった椅子に座った。


  「ユージンと言ったな。そこの青年」

  村長はユージンを指さし手招きした。


「お前が持ってる剣は何のためにあると思う?」


「世界を変える為に...」


「そうか、ユージン。武器は必ず答えてくれる。今から話す事は真実の歴史だ。

白魔王の偽装したものでも無い。覚悟して聞いてくれ」

  そこにいたものは固唾を飲んで耳を傾ける。


  「まずは始まりからだ。100年前神はこの世界を繁栄させようと黒魔王と白魔王を降り立たせた。だが白魔王は嫉妬深く欲深かった。黒魔王は民に慕われ白魔王はその姿に嫉妬した。」


  ヒルアが読んだあの偽りの歴史の書物とは全く違った。年老いた男は淡々と

語り始めた。


「白魔王は黒魔王を消す為に禁忌を犯した」

 

  「禁忌?」ヒルアは年老いた男に聞き返した。


「呪いだ。白魔王は黒魔王に呪いをかけた。」

 

  次回に続く。

 


遅くなりましたがあけましておめでとうございます。更新は相変わらず遅いですが完結に向けて出来る限り早く更新を頑張ります。情けない作者ですが応援、よろしくお願いいたします。

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