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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
マシーンアイランド編
100/121

血に塗られた騎士長の杖

  彼が杖を振り下ろす度に重く感じた。

「ファイアロード!」

  杖から炎が放たれ軌道は揺らいでいた。


「ジスタ!魔力の注ぎ方にムラがある」

  彼の父親はジスタの背後に立って両腕を掴んだ。


「はい。分かりました」

  彼は再び杖を振り下ろした。


「ファイアロード!!」

  彼が放った炎の軌道は直線に描かれていた。


「よくやったぞ、ジスタ」

  彼の父親は優しく肩を叩いた。


「はい」彼は疲労のあまり座り込んでいた。


「父さんはしばらく家に帰ってこない」


「また任務ですか?」


「まぁそうだな。白魔王様が奴らの住処を見つけたみたいだ。」


「襲撃しに行くんですか?まだ何もしてないのに...」


「戦争は先手必勝だ。奴らは悪魔の子だ。いつ殺戮を繰り返すか分からない」

  彼の父親はジスタを冷え切った目で見つめた。


「もう何百年前の事をいつまで執着する気ですか?ほっとけばいいのに」

  彼の顎を掴んで力強く頬を叩いた


「ふざけるな!どれだけの魔法使いが犠牲になったと思ってるんだ!」

  彼の父親はジスタをさらに押し倒したがジスタは押し黙ったまま反抗的な目を

向けるだけだった。


 ***************


「テゼルト海域の上空」


  空の下から見る世界は残酷で国内はあんなに荒れていたのに静寂で景色は綺麗

だった。


「坊っちゃま!ちゃんと座ってください」

  セバスチャンはマオの肩を叩いていた。


「分かったよ」

  椅子に膝を乗せていたがふてくされながら座っていた。


「気になるのは分かりますが見ても坊っちゃまがショックなだけですよ」


「分かってるよ。セバスチャン」

  マオは目線を合わさず窓の方をずっと見ていた。


「ちょっと寝てたらいいのにマシーンアイランドまで後2時間で着くよ。」

  真正面に座っていたラブリーにそう言われマオは首を横に振った。


「嫌だ。僕は寝ないよ」

 

「んっ?」

  ラブリーの横に寝ていたジスタは目を覚ました。


「起きたの?ジスタ」

  ラブリーに顔を覗かれたが眼鏡をかけていないせいかぼやけてみえる。


「はい。まだテゼルトですか?」


「今出たところだよ。テゼルトは広大だから時間がかかるんだよ」

 

  「そうですか」

  ジスタは鞄から眼鏡を出してかけていた。


「ジスタさん...顔色良くないけど大丈夫?」

  マオにそう言われジスタは怪訝な顔を浮かべた。


「変な夢を見たのでそれでかもしれません」

 


  「それって嫌な夢だった?」

  マオはジスタの顔が青白く見えて心配そうにしていた。


「そうかもしれませんね。心配しないでください大丈夫ですから...」

  ジスタは立ち上がり御手洗に向かっていった。


「何かあったのかな。ジスタさん」

 

  「さぁなあいつは自分から何も言わない。」

  ユージンはラブリーの席の向こう側に座っていた。


「知ってるのかしら。ジスタは自分の父親がテゼルトの...」

 ユージンの真正面に座ってるパトラが口を開いていた。


「知っていますよ 皆さん。」

  ジスタは自分の席に戻り座っていた。


「貴方の父親から何も連絡ないの?」

  パトラはジスタにそう尋ねた。


  「俺が国際ギルドに入った時点で絶縁してましたから何も無いですよ。」

 

  「そう。あなたの父親からしたら飛んだ親不孝者ものね」


  「心配してくれてるんですか?俺の父親は10年前に俺が反抗的な目をしていた時から失望してますよ。今はもうなんも関心もないはずです。自分の息子に...」

  ジスタは窓の方を冷めた目で見つめていた。


「10年前って魔法使いの軍があたしの村に襲撃しに来た日よ。それって偶然

なの?」


「あの時父親は奴らの村を白魔王様が見つけたと言いました。その後は皆さんも

ご存知でしょう。子供のあたしは父親に殴られそこに立ち尽くすしか無かった」


  「確かに居たな。ジスタなんでお前はその時、殴られたんだ」

  遠くに離れて座ってるツバメは頬杖をついていた。


「もう何百年前の事をいつまで執着する気ですか?ほっとけばいいのにって言ったら父親は俺を殴りました。父親は白魔王に忠誠を尽くし盾にもなり歯向かう物は容赦なく殺してきました。今も昔も...」

  ジスタは曇りなき目をしてそう呟いた。


「そうだな。ジスタ...お前はこれから自分の父親と戦るのか?」

  ツバメは立ち上がりジスタ達の席に立っていた。

 

「覚悟が出来ていなければ俺はここにいませんから」

  ツバメを真っ直ぐとした視線を注いで逸らさなかった。

 

「それもそうだな。信じているぞ ジスタ」

  ツバメはさらに強い眼光で睨んだ。


 *************

  「テゼルト軍本部」

  ジタン騎士長は“粛清”と名付け腐敗した軍幹部を集めて拷問していた。


  「ホークアイを取逃すとはとんだ失態を晒してくれましたね」

  ジタン騎士長の手には細長い針を持っていた。


  「それで何をするつもりだ?」

  ここにいる者達は頭を鈍器のようなもので背後から殴られ意識が朦朧として

いた。


  「指の爪を1個ずつゆっくり剥がすか。指の1本折るかどっちか選んで下さい」


  「俺達は悪くない。悪いのはブルーメンヘッドとマシーンアイランドだ。アイツらがホークアイの味方をしたからだ」


「それは帝国を裏切ったことになりますから大罪ものでしょうね。ですがあなた達はあまりにも無能です。生かすにはもったいない。摘みあげなければテゼルトは

腐敗するだけだ。そうですよね軍幹部の皆様」

  軍幹部の者の背後にいる帝国兵士達は軍幹部の奴らを椅子に座らせ細長い針を

指の爪の間に刺した


「答えてくれないので間を取りました。」


  「いやぁぁぁぁ...やめろやめろ!」

  苦痛に悶える声達と血が床に落ちて染み付いていた。


  「さぁテゼルトの腐敗を取り除きましょうか」

  ジタン騎士長は目の前にあった椅子に座り煙草に火をつけた。





 次回に続く。



 

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