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僕は、君のヒーローになる。  作者: ブラックキャット
第2章反乱の旗と残酷な世界。
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反乱の旗

   彼女は、過酷な運命の中で救われた手が違っただけで世界が変わるなんて

 大袈裟だと思ってた。 でも今は、違う、それだけは、分かっていた。

 ───そう思えるように彼女は、なってしまったんだ。


「何ボッーしてるんだ。アクア?昨日の事で警備が厳しくなってるんだ。気を

 抜くなよ」

  アクアの横にいた男は、顔が険しく、こわばっていた。


「うん。それは、分かってる」

  彼らは、壁にひっそりと隠れていた。それは、自らの手を汚していたからだ。

 人通りが多くタイミングを見計らって、爆弾を投げ込んだ。

 この者達は、罪のもない人を殺してテロを起こしてこの世界に異を唱えていた。

 つまり、テロリストだ。


「アクア、上手くいったな。行くぞ」

  仲間である男にアクアは、手を引かれ、人通りのない路地裏に座り込んだ。

 爆破音が響き渡り、どうやら作戦(テロ)は、上手くいったみたいだ。


「ねぇ、ハンネス。魔法族を殺して何になるの」

  アクアは、ずっと疑問に思っていた事を男に尋ねた。


「ボスの野望だ。魔法族を滅亡させて、千武族だけが生きる世界。お前だって

 家族を魔法族に殺されたんだろ」ハンネスは、そう投げやりに言った。

 そう、この男も魔法族に両親を殺された。


「──だけど、関係ない人達まで巻き込むのは、どうかと思うの」


「だからってもうお前の手は、汚れてる。2度と元には、戻らないぞ」

 ハンネスは、そう吐き捨て立ち去っていた。

 彼女には、何が正解なのか分からない。ただ こんな事をしているのは、ボスに

 助けてもらった

 恩を返す為だとアクア自身もそう思っていた。そしてそれは建前でもう

 引き返せない事を彼女は、知っているからだ。


 ****


   繁華街は、休日なのか、人が多く賑わいを見せていた。

 ラブリーは、ツインテールを揺らしながらジスタの横を歩いていた。

「ジスタ。昨日の見た?」

  ラブリーは、ジスタの顔をのぞき込んでそう言っていた。


「当然でしょ。チャンネル変えても白魔王が出てましたからね」

 ジスタは、そうため息を漏らしていた。


「選択肢を与えない事がらしくて、笑えるね」

 ラブリーは、笑い混じりにそう冗談ぽっく言っていたが切なそうな顔をして

 いた。


「これからどうするですかね。ヒルアは、しばらく身動きが出来ないですね」


「どうかな。白魔王の目は本気だったよ。追われる事に終わりは、ないよ」

   ラブリーは、うつむき加減に暗い顔をしていた。


「生き地獄ですね」

 ジスタがラブリーにそう返した。突然、近くの方から爆弾音が聞えジスタは、すぐさま、バリアを張った。そのおかげで無傷に済んだがまとめに受けていたら

 彼らは大怪我じゃ済まなかった。


「ありがとう。怪我ない?」

   ラブリーは、尻餅を付き、ジスタに手を差し伸べてもらっていた。その手を

 握って立ち上がった。


「ありませんが、怪しくないですか?あの黒いローブ──」

 ジスタが指ざすと、すぐさま奴らは、立ち去ろうとしていた。

 ラブリーとジスタは、互いに頷き、奴らを追いかけた。


 ****

   彼女は、魔法なんて使えない。瞬間移動さえも出来ない。持ってるのは

 銃だけだ。

 だが無敵な力を誇る。アクアだけを路地裏に残して、ハンネスは、ほかの所で

 住人の金品を盗んでいた。


「行き止まりですよ。千武族がなんの目的でこんな事をしたのか知りませんが

 許せませんね」

 ジスタは、彼女にゆっくりと近寄り、杖を引きずっていた。

 そしてその青年は、アクアに小さな杖を向けていた。


「国際ギルド局の局員かしら?見逃してくれないじゃないと殺すわよ」

   ジスタの背中からオレンジ髪の女性がチラリと覗かせた。

 アクアは、その青年の額に銃を擦り付ける。


「うわぁ、物騒だよね。ジスタ!それに局員は、わざわざ追いかけたりしないよ。見つけ次第で魔法で抹殺だよ」

 オレンジ髪の女性は、銃なんて見ても怯えもしなかった。それは、彼もだ。

 アクアの耳元でその彼は、囁いた。

「俺達の仲間に千武族がいるんですよ。だから弱点も知り尽くしてるんですよね」

 ジスタという男は、悪魔みたいな笑顔で魔法を唱えた。それは複雑すぎて

 言葉が分からず気づいたらアクアの銃は、糸で繋がれ、投げ捨てられた。


「これで勝ったつもりなの?それに仲間が千武族って奴隷の間違いじゃないの。

 魔法族は、あたし達を差別して殺してきた」

 アクアは、そう激しく彼らに訴えるが眉1つすら動かさない。


「それは、あたし達じゃないでしょ。すべての魔法族が敵なの?罪もない人を殺して同じクズになってそれでいいの?」

 オレンジ髪の女性の言葉は、迷いがなく真っ直ぐだった。


「それに、奴隷なんて、何も知らないくせに語るなよ。うちのマスターが望んでるのは、共存ですよ」


 ───ジスタという男は、「デビルハンド」と小さく唱えた。

 アクアは、足がすくみ、彼らに捕まってしまった事を後悔してしまう。やっぱり魔法には、勝てないと彼女は、そう思っていた。


飛綱(ひこう)」と網で持ち上げられた。アクアは、不意に見上げると、仲間である

 ハンネスだった。

 空挺バイクに乗っていた彼に抱き抱えられ、無理やりにも乗せられ、逃げて

 行った。


「ささっと逃げるぞ、アクア」何とか、危機は、脱したが彼らの目が離れないのは、何故だろうとアクアは、そう思っていた。


 ****************

   さっきの彼らは、去っていき、死体だけが広がっていた。

言霊(げんれい)を使える奴なんて手練もいるんだね。マスターに報告した方がいいね。

 ジスタ」

 ラブリーは、しゃがんで、悲しそうな顔をそう言っていた。


「そうですね。テロ組織と言ったところでしょうか」

 ジスタは、低い声で極めて冷静だが拳が震えていた。


「そうだね。ボスがどんな奴か、見てみたいね。」


「なんでなんですか?」

 ジスタは、ラブリーの言葉の真意が分からず、問い返した。


「だって彼女、仕方ないからやってるみたいだった。まるで自分が奴隷だって

 言ってるみたい」

 ラブリーは、そう言って、とても冷めた顔をしていた。


「気のせいでしょ。そんな奴が人殺しなんてできるんですか?」

 ジスタは、ため息交じりに呆れたように言っていた。


「だって人ってナイフで刺せば死ぬんだよ?簡単でしょ」

 ラブリーは、不敵に笑い、遠くを見据えていた。


 ****

   なんで、あの時、火の海の中、あの人の手を取っていなければ、死んでいた。彼女は、そう思っていた。でも、そんなのわかっていたのに、今はただ人を殺していているあいつら(魔法族)と同じだ。

 アクアの跪く先には、ボスがいて、悠然と座っていた。


「アクア、また迷っているのか。今回は、上手くいったから良いが目を付けられたんだ。一筋縄じゃいかないぞ」

 ボスは、威圧的な声でアクアにそう言っていた。 

 ここは、彼らのアジトでテロ組織だ。


「そんなのわかっています、でもいつまで続けるですか?」

 アクアは、淡々と喋っていたが、手の震えが止めらない。


「すべての魔法族がいなくなるまでだ。希望すら与えない。あいつらが俺達にしたように地獄を味合わせる」


「そうですか、ボスらしいですね」

 アクアは、偽りの微笑みを返したがすぐに見抜かれ、威圧的な声が発された。

 それは、とっても不快だった。


「裏切るなよ。やつらと共存出来る世界などない。もうお前の手は、汚れている

普通に戻れないからな」

   ボスは、そうやって、アクアの選択肢を取っていく。それは、彼女も分かっていた。


 こんな人の傍に居たらだめなのに頷いてしまう。それは、アクアにとって仕方の無い事だった。

 彼女は、こう思った。 

 あの時、差し伸べられた手を振り払えば、あたしの今は、こんなに汚らわしい物では、なかったのかな。そう思う度にアクアは、悲しい顔を浮かべていた。





 次回に続く·····。





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