三人組と黒髪ロング
楽しんでいってください
陽気な朝
いつも通りの日常 何ら変わらない通学路
人はつまらないとも言うけど
僕はこの日常が結構気に入ってたりする
「んん 良い天気だ」
背伸びをして 空を眺める
空はサンサンと通学路を照らしてくれている
「「おっはよ 等十」」
「ん?おはよ 修と理子も」
陽気に話しかけてくる二人は修と理子 僕の高校からの友達で一緒に登校することは日常になっている
「またポジティブシンキングでもしてたの?」
理子は顔を覗き込みながら聞いてくる
僕にとってポジティブは第一になっている
それはある事情のためだ…
「ん?良く分かったね」
「分かるよ だって等十 空を見上げるとき絶対なにか考えているもん」
「あれ?そうだっけ」
自分でも気づかなかった癖を人に指摘されると少し恥ずかしい 理子には誤魔化すように笑い返す
「ほんと…気の抜ける奴…」
「何か言った?修」
「なんも…」
修は軽く目線を反らす
クール…まさに修はその感じだ 性格から格好までここまで統一されるかっていうくらいだ
「またおじさんの手伝いしてたの?」
「まぁな あのクソ親父なんでも修理するからな」
「大丈夫?無理してない?」
逆に理子は陽気で明るく誰にでも気さくに話しかける
まぁその性格が原因で少し前までは僕も含めて三人とも孤立していた…この話は今度するとして
「おはよ 三人とも」
挨拶してきたのはクラスメイト達だ
一人一人なら少し距離を置かれるが三人揃えば誰でも話しかける 孤立していた頃に比べたら大きな進歩だ
三人組とかお三方とかご三家とかデコボコ三人組とかヘッポコ ズッコケ…等々呼ばれている
若干悪口に聞こえる人は多分心が汚れているんだろう
「ほらほら修 折角挨拶してくれてんだしもっと笑顔で返したら?」
「そうだよ修みんな怖がるよ」
「うるせぇ お前らが明るいんだよ特に理子 テンション高い」
「そっそんなこと無いし!!」
「あぁ…確かにそれはあるかも…」
「等十まで!?」
僕に対してはどっちの味方なんだよとか突っ込みが来るかもしれないが普段からこんな感じだ
修がマイナスで理子がプラスそんでもって僕が…僕が…あれ?なんだろ?…取り合えず僕はどっちにも寄る 暗くなったり明るくなったり基本的にはポジティブなので明るい方に寄る方が多いが
「あんな奴ら…仲良くする必要ねぇよ…」
「でた!修のネガティブ もっと等十を見習ったら?」
「…ちっ」
「ちょっ何で舌打ちするの !…それよりまた寝癖ついてるし こっち来て直してあげるから」
「…やめろよ」
そんな修に対して理子は半強制で近付かせ髪を直している 修もやめろと抵抗しているが何故か抗えない
ほんと何でだろう不思議と理子に触れられると抗えない(実体験あり主に修)
「ほらここもここも何でセットしないの?」
「…ちっ」
修も理子も少し笑顔な気がする ほんとお似合いだなあの二人付き合えばいいのに
「ほらまた舌打ち そればっかりだから皆が怖がるんだよ」
「いいんだよ…別に…」
修が他の人を軽蔑するのも昔の事を考えると少し分かる気がする だけど今のクラスメイトは表向きは悪気は無い…表向きはね(ここ重要)
だがそんな事は気にせず僕達は三人で笑い合いながら毎日登校している
その時だった
綺麗な黒の高級車が僕達の横を過ぎる その瞬間数人の生徒は感付いただろう 後門の前に止まったその車からは
綺麗な黒髪をなびかせ一人の少女が降りてくる
少女は少し周りを見渡し僕たちに近付く
「おはようございます 小野さん倉見くんそれに西須くんも」
少女は理子 修 それから僕に目線を合わせる
「あっおはよう此ノ時さん」
理子に続き僕と修も各々挨拶を返す
「今日も綺麗やね」
「ふふっありがとうございます」
此ノ時さんは軽く笑う
理子が綺麗って言う気持ちも分かる
確かどっかの社長令嬢で まぁ…お嬢様って感じだ
そのため身だしなみには気を付けてるのかいつも清楚って文字が似合う人だ
「それでは また後で」
此ノ時さんは去っていく
その佇まいは凛としていて他のクラスメイトにも僕達と同じように挨拶している
「本当に良い人やよねぇ 此ノ時さんって美人やし」
理子は思わず声を漏らす 僕も同調の意見だ
しかし修は…
「そうか?…ただの腹黒女にしか見えないけどな…」
「まぁた悪態ついて ダメやよ」
此ノ 時さんは近しい人には好印象だが他には運動もスポーツもなんでも出来るため修のように良く思われてない事も多い
そんな完璧系女子の此ノ時さんを観察していると ふと携帯を取りだし何かいじっている…
…その数秒後に僕のスマホがブルッと震える
理子と修にバレないように先に行かせ
こっそりメッセージアプリを開いて見る
『今夜はよろしくね』
そこにはその文字が
「ったく直接話せよな…」
僕は若干笑みを浮かべながらも修のように悪態をついて黒髪少女を見つめる
返事はせずに携帯を鞄にしまい二人に走って追い付く
…ってか今夜?何かあったけ?
ご閲覧ありがとうございました