私のお兄ちゃんがこんなにカッコいいわけがないわけがない
「おーー!お兄ちゃん似合いますね。」
今日はお兄ちゃんとお買い物です。
以前から気になっていた服屋さんにやってきました。
お兄ちゃん全然出てこなかったですからね。私の『妹』属性が全く生かされていませんでした。だから今日は一日中一緒にいるですよ。
「お兄ちゃんはホントなんでも似合いますねぇ」
引き締まった体に整った顔立ち。場所が場所だけにスカウトされてもおかしくないです。
足もキャ○テ○翼並みにスラッとしてます。……ん、スラッと?
いや、さすがに11等身もないですけど。
「……褒めてもクレープは奢らんぞ。」
「ぎくり」
たらりと汗が頬を伝わります。
「やはりそんなことを考えていたか。」
いや、もちろん似合ってるのも、かっこいいのも本心ですよ?しかし、確かに口に出したらクレープ買ってくれるかなとは考えていました。だってせっかく都内へ来たのにクレープ買わないなんて、ねぇ?
「えー、良いじゃないですか。お兄ちゃん働いてるんですよ?私はまだバイトすらしてないただの高校生なんですし。」
「けどお前、母さんから小遣い貰ってるだろ。」
「まぁそうですけどね。でもお兄ちゃん、貰ってるの毎月5000円ですよ?服買ったり友達とシャレオツなカフェでも行った日にゃすっからかんですよ。」
「それを上手く遣り繰りするのも大切なことだぞ。俺だって高校生の時は5000円だったんだからな。」
兄弟で上がいない者の宿命ですね。何事も一番に始める代わりに教えてくれる人がいなかったり手伝ってくれる人がいないことですね。弟や妹の宿命はお兄ちゃんお姉ちゃんのお下がりが多いということですが。
「ぶーー!ぶーー!お兄ちゃんの意地悪!変態!ラ○ベ主人公!」
「すねてもダメだ。あと変態でもないしラ○ベ主人公じゃないから。」
まぁ、とは言うもののなんだかんだいってお兄ちゃんは優しいのでちゃんと後で買ってくれるんですけどね。ふっふっふー。何味のクレープが良いですかねぇ♪
さて、私も気に入った服を探す為に一通り見て、いくつか試着しました。
「まぁこんなもんかな。」
「こんな感じですかね。」
いくつか候補にあがったものの中から、これというものを選びました。そして、お兄ちゃんの買う服を見てふと疑問が沸きました。あれ?うん、ちょっといつもよりお高そうです。
「お兄ちゃん。今日の服は外用みたいですが、誰かとお会いにでもなるんですか?」
「うーん、まぁ前来てたヤツも古くなってきたしそろそろ新しいの買おうかなって。とくに誰かと会うから買うわけじゃないよ。」
「……ふーん。そうですか。」
なんか言い訳がましい台詞が出てきましたけど大丈夫ですかね。最後の台詞ぶっちゃけいらないですよね?昼ドラだったら完全に浮気してますね。そういう流れですもんね。この後納得して、別の日にその服を着て出掛けていく夫。妻は妻で用事があって出掛けると偶然夫の姿が!夫の腕に、妻よりも若くて綺麗な女性が腕を絡めていて休憩所へ行くのであった……。
「……まぁ、うちのお兄ちゃんに限ってそれはないですね。というか私より若かったらそりゃもう完全に○リコンですわ。」
「なんか言ったか?」
「あっいえ、なんでもないですよ。」
ヤバイ、ヤバイです。心のお漏らしがまた出てしまったのですよ。お風呂でおしっこしてると、シャワーの音聞いただけでおしっこ出るようになっちゃって美容室で漏らす老人みたいな感じになってしまいそうで怖いですよ。
「……さて、服も買ったしこの後どうするか。……映画はこないだ観たしな。」
「では、カラオケに行きましょう!最近歌いたい曲が入ったみたいなんですよ。あとカラオケ行く前にクレープですよ。」
「ん~確か近くのカラオケ屋の隣にクレープ屋あったな。まぁ、いいか。俺も腹へったし。行くか。」
「レッツゴーなのですよ!」
…………
……
「ふー。歌ったな。久しぶりにカラオケ行ったけど会社でのストレス発散に良いかも。」
「楽しかったですよー。お兄ちゃん♪」
「気にいっていただけたようで何より。」
「特にジャンボパフェがよかったですね。大満足なのですよ。」
カラオケの食べ物はジャンボと言ったって軒並み少ないのがデフォみたいな所がありますが、今回はホントにジャンボで驚きました。いやぁそういうところもあるんですね。
「花より団子か。しかもクレープ食べた後にパフェとかよく食えるな。」
「甘いものは別腹なのですよ♪」
「お前の別腹は二個あるのかよ。」
「でも楽しかったのはホントですよ~」
呆れてジト目のお兄ちゃん。もちろん、お兄ちゃんが一緒だから楽しいのですよ。まっお兄ちゃんだから仕方ないですね。
「そろそろ帰るか。」
なんだかんだでもうすぐ夕飯の時間です。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね。
「ねぇ……」
「ん、なんだ?」
「また行こうね、お兄ちゃん♪」