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お兄ちゃんのいない日曜日 後編

ミキと待つこと10数分後


「ど、どうかな……?」

着替えを終えて出てきたミキは恥ずかしそうに手をモジモジさせながら言ってきました。

恥じらいを持ちつつも、体つきは全くもって不健全です。手をもじもじさせたり豊かな感じは、ぐーたらな妹の友達で秋田弁をしゃべる子を彷彿とさせますね。


「ぐっじょぶ!」


思わず親指を突き出して、彼女を褒め称えます。

顔は可愛い。体は不健全。そして性格も良しと三拍子そろってます。私が男ならほっとかないです。


「ふぇ!?」


「やはり私の見立ては間違いありませんでしたね。なかなかけしからんものをお持ちです。」


「と、ともちゃん言わないで……恥ずかしいよぉ……」

やはりもじもじとするミキ。隠したいけど隠せない、そんな葛藤が見え隠れしてますね。

水着を選んだのは何を隠そうこの私。もちろんビキニです。

布地の面積は大胆さをアピール出来るようにしました。さすがにTではないですが、これは男が食いついてもおかしくないというか食いつかないわけがないです。


「あまりの衝撃さに官○小説ばりに詳細を語ろうと思いましたが、これ全年齢対象なんで控えますね。」


「伏せ字にしても『官○小説』と検索されたらアウトでしょ……」

アキが口を挟んできました。


「フ○ン○書院とか二○元ド○ームノベルズの方が良かったですかね?」


「もっとダメでしょ!」

と同時にアキのボディブローが私に炸裂。大ヒット!「君の○は」級です。


「ぐふぅ!」

だから、絶対真似しちゃダメなやつですよ……



…………



……



「……で、それでこの後どうするのよ?」


回復に数分を要しなんとか立ち上がる私に、何事もなかったようにアキが話しかけてきました。全然悪いと思ってないな、コイツ。


「今回はミキのキャラ付けの為ですからね。実は男からモテモテだけど恥じらいを持った可愛い女の子っていうイメージを植え付けたいです。そしてやはり、プールに来たわけですから一人にさせてナンパされるのを待つわけですよ。つまり二つの意味で泳がせるわけですよ。この意味は……」


「あ、そういうの良いから」


「よ、ヨーソロ……」


丁寧に説明しようと思ったらこれですよ。2回目のボディブローはイヤなので大人しくしておきましょう。


「じゃあ、そういうわけで、私とアキも着替えてきますのでミキは先に行ってナンパされてきて下さい。」


「え?トモちゃんもお姉ちゃんもついてきてくれないの!?」


「ミキ、ファイトだよ!」


「そんな穂○果ちゃんみたいに言われても……」




…………


……

「うーん、最近ちょっと食べすぎちゃってたからお腹回りが気になるかなぁ」

ぷにぷにとお腹をつまみながら、自分のスタイルを気にするアキ。

そんなわけで私とアキも着替えてきました。双子ですからアキもなんだかんだですごい良いのをお持ちなんですよね。


「アキも、結構いい体してますね。」


「オヤジか!剣道部で汗流してるからね。多少食べ過ぎると気になるけど、普段はそんなに意識してないかなぁ。アンタは……」


そう言ってから言葉に詰まるアキ。私の体を眺めて言葉に詰まるってどういうことですか。


「……まぁ大事なのは大きさじゃなくて形ですから。『貧乳はステータスだ!希少価値だ!』って色んな人が言ってますからね。麻○=タ○ム先輩も泉こ○た先輩もリスペクトなのですよ。」


「それどちらかというと私が言う台詞だから。自分でフォロー入れちゃダメでしょ!」


「まぁ、そんなことよりミキはどうなっているか様子を見に行きましょう。」



…………


……「お、いました。」



「ねぇねぇ。君一人?あっちで一緒に泳ごうよ。」


早速絡まれてるじゃないですか。いかにもその辺にいそうなテンプレの塊みたいな男ですね。うん、ちょうどいいです。


「あ、あの、えっと……ご、ごめんなさい。わ、私、友達と来てて……」


「いいじゃん、その友達も連れてきてみんなで遊ぼうよ」


うん、いいですね。なんか本当テンプレートな台詞ありがとうございます。売れない漫画家が描く雑魚ナンパ師の典型ですね。この後はもちろんアレですね。


「あっちでジュースおごってあげるよ。一緒に行こう!」

へへ、アルコール入りだけどな

みたいな声が聞こえてきそうですが、そもそもプールにアルコール飲料置くわけないですよ?


本人的には「決まった!」みたいな全くもって決まっていない台詞を言いながらミキの手を取った男は、ミキの手を取ったその瞬間体が宙に舞いました。


「は?」

さぞ、男も驚いたことでしょう。急に宙を舞うわけですから。


「ぶはっ!」水面に叩きつけられ、顔を歪めながらも急な出来事に驚く男。

あー飛び込みでも真上から落ちると痛いんですよね。


「な、なんなんだ!?今のは」


そりゃ、そういう反応になりますよね。

ミキはその性格から、何かあっても自分を守れるようにと柔道をメインにした護身術をお父さんに叩き込まれています。その辺の柔な男であれば、勝手に体を触ったりしただけで投げ飛ばされるでしょう。もう完全によくあるやつです。あまりにもよくありすぎてもはやパクりじゃなくて王道って言われるやつです。



さて、その後もここが日本一のナンパスポットだからなのか男どもから声をかけられ続け、気づけば死体の山を築いていました。恐るべしミキ……

そして投げ飛ばされているのを見ているはずなのに、それでも声をかけに来る男達。自分ならイケるという自信なのか……何人かは投げ飛ばされて恍惚の表情を浮かべているものもいますが、まぁこれは見なかったことにしておきましょう。


これで彼氏もいないし、今まで付き合ったこともないというのだから驚きなのですよ。本人曰く「ま、まだそういうのは早いってお母さんが言ってたし……私もまだそういうのよくわからないから」とのことでした。まったく絶滅危惧種がこんなに近くにいるとは。


「ミキ、もう十分魅力は伝わったので大丈夫ですよ。」


「怖かったよ~トモちゃん。男の人いっぱいいたし。いっぱい声かけられたし~。」


「途中で私とアキが着替えた意味がまるで無くなってしまったので、私達は一足先に着替えてきてしまったのでミキも着替えてきて下さい。もう、ミキの意外な一面と魅力は今回のでわかってもらえたことでしょう。」


「誰に伝わったのかよくわからなかったけど、とりあえず着替えてくるね。」


ミキが出てくるまで少し待ちましょう。


「ちなみにアキは今まで付き合ったことないんですか?」


ミキが出てくるまで暇なので、ふと沸いた疑問をアキに投げ掛けてみました。


「え?普通にあるけど?」

さらりというアキ。


「……ええええぇ!!!?」

「なによ、そんな大声あげて。」


いや、まぁ確かに恥ずかしがり屋で男の人ともそんなに話してないミキはわかりますが、その活発な性格でクラスや部活で男女関係なく話をするアキならばあってもおかしくはなさそうです。しかし、友達って感じで終わってそうですし。

それにあったらネットで動画に出る度に【中古】ってコメントがずっと流れるやつじゃないですか。


「いや、意外というか、びっくりというかですね」

これ、絶対修正入れないとダメなやつじゃないですか。どこぞのエ○ゲのごとく割られたDVD-ROMがこっちに送られてきますよ。


私がどう修正したらいいか迷っていると、アキが不思議そうな顔をして口を開きました。


「なんでトモがそんなこと急に聞いてきたかわからないけど、私剣道部なんだから突き合うくらいするわよ。」


「…………え?」

開いた口が閉じないってのはこのことです。


「まぁ突きは結構危険だからそんなにはやんないけどね」


「…………まじですか。」

くっ……。何百回と使い古されたオチを持ってきやがって。

何も真新しさがないんですがそれは。

しかし、さすがアキ。ちゃんと媚を売っていくスタイルだけは外さないだけで私はこれからも頑張っていけますよ


「な、なんか急に泣き出したトモが怖い。」


その後ミキとも合流し、それぞれの帰路に着きました。


…………


……


「ただいま~。あー疲れた。」

玄関に腰掛け、よいしょと荷物を置くお兄ちゃん。


「お兄ちゃああぁぁん!!」

だきっ!っとぎゅーーっと抱きつきます。お兄ちゃん成分の補給です。

「お兄ちゃんは疲れてるんですので、抱きついてこないで下さい。」

そう言いながらお兄ちゃんは後ろから抱きついた私の腕を取り、ほどいていきました。

「じゃあ疲れてなければ抱きついても良いんですか?」


「良いわけないよ?」


もう、お兄ちゃんたら照れ屋さんなんだから。

兄妹の話なのにお兄ちゃん一切出てこないなんて、あり得ないですよ。


「次の休みは私とお出掛けですよ、お兄ちゃん!」

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