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落ち葉

作者: 山野雪

秋も深まり枯葉の舞う季節になった。

初秋は行楽にスポーツに芸術にと良い季節だともてはやされる。

色とりどりの木々をわざわざ見るために紅葉の名所へと足を運ぶ。

何を隠そう、私もその一人だ。

富士山を背に赤や黄色に染まった山々の美しい事といったらない。


ところで、私の家は多くのケヤキがある街道に面している。

風がそよそよ、と吹くとケヤキがパサパサ落ちる。

ぴゅうぴゅう吹くとバサバサ落ちる。

びゅうんびゅうん吹くとバッサンバッサン落ちる。

何も吹かなくてもハラハラ落ちるのだ。


こうなってくると考えてはいけないが(邪魔だ)という考えがよぎる。

いけない、いけない。

自分勝手だ。

わかってはいるのだ。


この木々は街道と歩道の境を守る役割を果たしてくれている。

春は新緑の季節でとても綺麗だし、夏は蝉時雨で日本の夏を演出してくれる。

そしてこの木々が気に入ってここに住んでいるというのに。


落ちた葉を竹箒で掃き、大きいビニールに入れる事3袋。

少し先の家のイチョウも混ざっているなあと思い塵取りで取ろうとしたその時だ。

一枚のイチョウが羽ばたいたのだ!!


なに??


10メートルほど先に落ちたイチョウの葉のもとへ行って見る。

恐る恐る近づく。

やはりイチョウの葉だよね。

箒でちょこんと触って見る。


いやああああああああああ!!!


イチョウそっくりの虫だったのだ。

何の虫!?

チョウ?

蛾?

イチョウ?

ええ?


虫が大の苦手の私はもはや冷静ではいられない。

全身に鳥肌を立たせて竹箒片手に戦闘体制に入った。

戦うというよりは防御だ。

そのイチョウもどきの場所を中心点として半円を描くように竹箒を剣道の竹刀のように顔の前に構え、私に襲いかからないように警戒しながら玄関方向に進む。

刺激を与えてはならないのでゆっくりだ。

ドアを開けたら一緒に飛び込んで来ないことを確認して素早く家に入った。


ふうう。

山積みにした枯葉と袋詰めした3袋を残したまま、もう外に出る勇気はない。

そしてまた思ってはいけない事が頭をかすめるのであった。




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