4-[The name is a clown]
The name is a clown
Memory of N
餓鬼が二人のこのことやってきた。こういうのを迷える子羊って言うんだって。ん?ちがうか?
まぁ、いい。丁度、血が足りなかったところだ。この際餓鬼でも何でもどうでもいい。
「おい、そこから動くな!!!!」
おいおい、動かないほうがいいのはお前らのほうだっつーのw
「オイ、何言って――――」
オ、もう一人は分かってるみたいだがwまぁ、カンケーネーかww
「ユーリは黙ってて!!!こいつは悪人なんだ!!」
コイツハアクニンナンダ!! アクニンナンダ!!
いいねぇ、そうだ俺は悪人だ。だからどうした。20年弱しか生きてない餓鬼に何が分かる?
餓鬼の一人が走ってきた。さあ行こうか、わが道化よ。餌が走ってくる。貴様にちゃんとした名はないが。肉を食らうのに、血を啜るのにそんなものはイラネェ。
「おい、待て!!!そいつは――――」
もう一人の餓鬼がわめくがもう遅い。一歩踏み出し、相棒を左から斜めに振り下ろす。
腕が飛ぶ、胸から血が噴出す。俺に血が吹きかかる。たまんねぇ。
餓鬼が倒れるともう一人が狂ったように叫びだした。
「冬真、冬真、トーマ逃げるぞ!!起きろよ!!!」
しかし、餓鬼に反応はない、まだ死んではなさそうだが気を失っているのか?まぁ、そんなこと俺には関係ない。
だがそこでもう一人の拳が俺の顔面に当たる。
「ってぇ〜〜なぁ。生贄は生贄らしく隅で震えて泣いてろっての」
もう一人の餓鬼の腹部を横一文字に斬る。内臓が飛び出す。あぁーあ。
横たわったそいつが俺を見上げる。その目には明らかに憎しみの炎が燃え滾っていた。
「そんな目でこっちを見んなって。」今度は足元を縦に切る。餓鬼が倒れる。
「ク苦クク苦ク苦クククク苦・・・・・・・・・」
笑いがこみ上げる。どうだ血は足りたか?心の中で相棒に問いかける。
Memory of T
何かが横に倒れる音で目を覚ます。
人のようだ。
だんだん、頭がはっきりとしてくるに連れて、視界もはっきりとしてくる。するとそれが有利だと気付く。
「うぅ・・・ユ、ユーリ、、、ユ、ウリ」弱々しい声しか出ない。
「お、何だ!お前起きてたのか」男が嬉しそうに喋る。
「トーマ、お前生きて・・・・・」有利が驚く。
が、その声も弱々しい。
道路には僕の血と有利の血が混ざったと思われる血溜りができている。と、そこで自分の腕がないことに気付く。それと同時に痛みがよみがえる。「うぐぅ・・・・」痛みで声が漏れる。
「大丈夫か?」有利が囁く。
「あらあら、痛いかい?洩らしそうか?死にそうかい?なら俺が楽にしてやるヨw」男の下品な笑いが漏れる。
「や、め、、、ろぉ」有利の声。
男が腕を振り上げる。だが、
「うわぁ、道路が真っ赤だぁ〜〜」幼い女の子の声が聞こえる。
「おっと、また生贄だ、お前らはもちっと待ってろ。すぐ終わらせるからよw」また男の汚らし い笑いが聞こえる。
女の子は自分の置かれている状況が分かってないらしい。ぽかん、としている。
男が女の子に近づく。
止めろ!叫んだつもりだった。だが、「ヒューーヒュー」と頼りない音を出しただけだった。
止めろ、止めろ止めろ、止めろぉぉ!!!!必死に叫ぶ。だが男に届きはしない。
動け、動け動け動け、動けぇぇぇ!!!!!!!必死に思う。だが体は動きはしない。
なぜ、体が動かない、僕の体なのに?なぜ、有利を守れない、僕が巻き込んだのに?なぜ、女の子を守れない、関係ないのに?なぜ?なぜ、僕には守ることができない?
なぜ、守る力がない?なぜ、なぜ?
男が腕を振り上げる。女の子は男を見上げている。
止めろ、止めろ止めろ、止めろぉぉ!!!!
・・・が欲しいいか?
力が、力が欲しいか?
あぁ、欲しい、力が欲しい!!!!
力が欲しいのならくれてやる!!!!!
まぶしい、回り全てが白だ。
だが果てがあるようには見えない。
此処は何処だ?有利は?男は?女の子は?
痛みも感じない。ああぁ、僕死んじゃったのか。
だがそこで誰か立っているのが見える。
女の子だ。金髪の髪。蒼い瞳。どうやら僕らとは違う人種のようだ。だがまだ幼い。
「君は、女神様?」僕は、自分が生きてはいないということも踏まえて尋ねる。
「あはは、違うわ。それに死んじゃってもないわ」彼女は屈託のない笑顔で言う。
なら、夢か?だが夢にしてはやけに現実味がある。
「夢じゃないわ。あなたは力を求めました。私はそれをあなたに与える為に呼んだのです」
「じゃぁ、此処は?」驚きながらも僕は問いかける。
「此処は精神の支配する世界。即ち、貴方の心の中です」
僕は驚く。まさか自分の、いうなれば、心の中に言うなんて。
「雑談はこれくらいにして、本題に入りましょう。」
そういうと彼女は深呼吸をした後、真剣な顔になる。
「汝は、何故力を求めるか!!」彼女が問う。
「ぼ、僕は目の前で人が傷つけられていても如何することも出来なかった。だから、僕は、僕はその人たちを救う、守る力が欲しい!!!」少し戸惑ったが僕は叫ぶ。
「では汝に守る力を与えよう!!」彼女が力強く言う。
「ありがとう、でもどうやって此処から・・・・」
「願えばいいのよ」もとの口調に戻った彼女は質問の続きを察して言う。
「此処から戻りたいと、戻ったら誰かを守りたいと願えばいいのよ」
既に夢だとは思ってなかった僕は素直に従う。
そうしたとたんに彼女が下に下がり始める。いや、僕が上がっているんだ!
「あっ、そうだ!君は・・・・!?」まだ名前を聞いてなかったことを思い出して言う。
「私は、、私はアリス」
「じゃぁ、アリスありがとう、バイバイ!!」僕は目いっぱいの声で叫ぶ。
「うん、バイバイ!!」アリスが叫び返してくれた。
目の前が真っ白になる。
Memory of Y
血だらけのアスファルトの上に倒れこむ。
全身に鈍く痛みが走る。
体は動こうとしない。腕さえ上げることは出来ない。
俺は何も出来ない、心の中で嘆く。
「うぅ・・・ユ、ユーリ、、、ユ、ウリ」弱りきった声がした。
だが、何処から発せられた声なのかすぐには分からない。
「お、何だ!お前起きてたのか」男が驚きと喜びの入り混じった声で叫ぶ。
そこでやっとその声が冬真のものだと気づく。
「トーマ、お前生きて・・・・・」驚きの声を出す。だがそれもか細く弱々しい声だった。
冬真の服は真紅に染まっていた。腕もない。早く病院へつれていかないと。
そこで視界の端に男の足が映る。だがこれでは。
「うぐぅ・・・・」冬真の呻き声が零れる。
「大丈夫か?」だが冬真の顔色はみるみる白くなる。
「あらあら、痛いかい?洩らしそうか?死にそうかい?なら俺が楽にしてやるヨw」野卑な笑い声が聞こえる。
「や、め、、、ろぉ」切れ切れに叫ぶ。
男が腕を振り上げる。だが、
「うわぁ、道路が真っ赤だぁ〜〜」幼い少女の声が聞こえる。
「おっと、また生贄だ、お前らはもちっと待ってろ。すぐ終わらせるからよw」男の卑しい笑い声が響く。
少女は自らがこれからどうなるか、その危険を分かってない。ただ男と俺たちと血だらけの道を目で交互に見ている。
また俺の目の前で。そんなことは・・・・。
止めろ、止めろ止めろ、止めろぉぉ!!!!だが嘲笑うかのように男は少女に近づく。
憎い、憎い憎い憎い、憎いぃぃぃ!!!!!!!!だが嘲笑うかのように俺の体は動かない。
何故、俺はただ見ている、こんなにも憎いのに。何故、俺は戦えない、冬真が苦しめられているのに。何故、俺は戦えない、少女が殺されそうなのに。何故。何故、俺は戦うことが出来ない。
何故、戦う力がない。何故、何故。
男が腕を振り上げる。少女が男を見上げる。
止めろ、止めろ止めろ、止めろぉぉ!!!!
・・・が欲しいいか?
力が、力が欲しいか?
欲しい。力が、力が欲しい!!!
力が欲しいのならくれてやる!!!!!
暗い。回りすべてが黒で出来ている。
何処まで続いているか分からない。闇その物の様だ。
此処は何処なんだ?冬真は?男は?少女は?
痛みも消えている。俺は死んだのか?いや、だが・・・
「そうだ、貴様は死んではいない」
声の方向へと振り向くと少女が立っていた。
黄金の髪。空のような青い瞳。黒いドレスを着ている。異国の少女らしい。だが何処となく影がある。
「それに貴様に死んでもらっては困る」無表情な顔で言う。
「お前は・・・?それに此処は?」疑問を口にする。
「我が名はアリス、此処は貴様の深層心理の中だ。これが夢だなどと言うでないぞ」
「何故、俺は、」困惑した俺は呟くように言う。
「貴様は力を望んだ。だからそれを与える為に此処へ私が呼んだ」冷たい表情で言う。
「じゃぁ、俺に力を・・・?」そう訊く。
「そうだ。我と契約を交わせば与えてやろう」
「契約?」また問う。
「何、我の質問に答えるだけでよい。ではいくぞ」
俺は少し身構える。
「汝は、何故力を求めるか!!」彼女が問う。
「俺は、、」一瞬ためらう。
「俺は、戦う力を、目の前の敵を打ち倒す、俺たちを傷付けるやつを切り刻む、絶対の力が、力が欲しい!!」一気に言う。それと同時に先ほどの憎しみが胸の中で広がっていく。
「ならば汝に戦う力を与えよう!!」彼女が感情のこもってない声で言う。「感謝する」冷静な声で言う。
「さあもう戻るがよい。現し世へ戻りたければ強く願うがよい、戻りたいと」
俺は従う。するとだんだん俺が下へ落ちていくのが分かった。
「力を使う時も同じだ。尤も今の貴様では無理だが」
「!!?おい、どういう意味だ?おい、答えろ!!」俺は小さくなるアリスへと叫ぶ。
目の前が暗くなる瞬間「…め。まだ、足りない」そんな声が聞こえた気がした。