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Unknown  作者: 朔望
2/8

2-[A mythical opening.]



Memory of T


 やっと、有利が出てきた。こいつ絶対僕がまだ遅いと思ってたんだ。

「おはよう」

 有利が出し抜けに言う。

「お、おはようぅ!!」

「また、今日は朝からうるさいなw」

「そんなことは無い、君が遅いからだよ」

「いつもより少しばかり早く来たからって威張れることじゃねーよw」

 少しむっとしたが、言い返す言葉が無くて俯いた。

 少しして、有利が思い出したかのように言う、

「そういやお前宿題終わったのか?」

「むぅ、失敬な!ちゃんと終わったよ!!」

 また、イラッとすることを。でも、まぁこんな会話も久しぶりだと思うとなんだか楽しい。

 しかし、黙って馬鹿にされ続けるわけにもいかない。何か言い返そうと口を開いた。

「君だってさ、t――――――――」

「キャーーーーー!!!」

 一瞬何の音かわからなかった。それが悲鳴だとわかると、有利と顔を見合わせうなずいた。

 「いこう!!」

 「あぁ!!」

 声の方向へと走り出す。そのときはただ好奇心だけだったんだ。僕はまだあんなことになるなんて思っても見なかった。


Memory of Y


 ドアをくぐり朝日の下に出る。

 冬真の顔を見ると少し怒っているのが見て取れる。

「おはよう」

 突然俺が言うと、

「お、おはよう」

 と、鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔で言い返してくる。

「また、今日は朝からうるさいなw」

「そんなことは無い、君が遅いからだよ」

「いつもより少しばかり早く来たからって威張れることじゃねーよw」

 そんな風に冬真をからかう。こいつが怒るのはわかっていた。でも、こいつがそんなことはすぐ忘れるのもわかっていた。

「そういやお前宿題終わったのか?」

「むぅ、失敬な!ちゃんと終わったよ!!」

 もう一度からかう。こんな会話も久しぶりだったし、何より冬真の隣が心地よいせいか今日は口が軽い。

「君だってさ、t――――――――」

「キャーーーーー!!!」

 珍しく言い返そうとしたが、近くの悲鳴にかき消される。冬真を見る。まだそれが何なのか分かってないのかぽかんとしている、が、すぐにこちらを見る。俺はうなずいた。

「いこう!!」

「あぁ!!」

 声の方向へと駆け出す。そのときはただ、何かあったのかという疑問だけだった。

 俺はまだあんなことになるなんて予想もしてなかった。



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