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プロローグ
APRIL 14DAY 8:30 SIKINAMI HIGH SCHOOL 2-3 CLASSROOM(敷浪高校2-3教室)
―俺は焦っていた。
俺の目は1人の美少女から離せなかった。
輝く銀色の長い髪。透き通った白い肌。何もかも見透かされそうな紅い目。
その顔を見た瞬間、頭の中でヤバい、逃げろと緊急アラート。
しかし逃げる事は出来ない。その美少女は転校生。今、彼女はクラスの黒板に自分の
名前を書き終わったところだ。こんなところで逃げ出すとクラス中の注目の的になってしまい余計にバレてしまう。
「西条 朱里です。これからよろしくお願いしますね。」
その美少女――西条 朱里は綺麗なソプラノボイスで簡単な自己紹介をした。その時点で大半のクラスの男子は彼女に見とれていたが、俺は別の意味で見とれていた。
「おいおい、どうするよ?」
隣の席の森崎 元号が慌てた様子で俺を呼んだが、そんな事応える余裕はなく……
「気づくな……」と祈るばかりだった。