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碧い人魚の海  作者: 古蔦瑠璃
[三] 見世物小屋と首相の使い
47/110

47 鳶職人

 丘の上で、緑に半ばうずもれた遺跡の一角。中でもひときわ大きな建造物の頂上では、強い風がごうごうと吹いていた。

 崩れかけた巨大な石の群れを、息を切らせてよじ登り、ルビーは頂上に立つ親方に追いついた。


 親方は、どちらかというと武骨な印象の男だった。よく日に焼けたいかめしい顔。がっちりした肩幅と、分厚い胸。節くれだった二の腕。筋ばってごつごつとした骨っぽい手。しかも口元には濃い茶色の髭を蓄えている。髪も随分伸びてぼさぼさだ。

 華麗さと優美さを備えたアートの曲芸が、彼から伝えられたものだということが、ルビーにはどうもピンとこない。

 ただ、彼はアートと同じように、上背がある。それでいて、石群を軽々と飛び越えながら登っていく様子は、岩場を駆けるトナカイのような大型の野生動物を連想させた。


 彼は、遥か眼下に広がる稜線と海に囲まれた新都の、温かみのあるレンガづくりの街並みを指差しながら、一度ルビーを振り返る。

「ここまで登ってくると、街が一望できる」

 いざなわれるまま建物の頂点となるその足場の縁に近づけば、眼下から吹き上げる強い風に、ルビーの軽い身体はふわりと浮かびあがりそうになる。親方は笑って、少し後方にルビーを下がらせた。

「南部への遷都はカルナーナが正式に共和国になった25年前に行われた。以来この街は急速に発展を遂げてきた。見事だろう、この街並みは」


 今度はルビーは石の上に膝をついて、身体を低くして縁から覗き込んだ。

 風にあおられて、さっきほどいたばかりのルビーの赤毛が上空に向けてはためく。金色の日差しが、灌木の生い茂る急な斜面を暖かく照らし出している。


「だが、中央の王都の街並みの見事さは、また格別だぞ」

 ルビーが身を引いて、再び起き上がるのを待ってから、親方はそう続けた。見上げれば、にっと笑った顔は、いたずらな悪ガキのようだ。濃いめの眉がやや下がって、真顔でいるときの気難しそうな印象はどこかに消えていた。


「かの地は、いまだ国の文化と芸術の中心地としての機能を保ち続けている。歴史ある数々の建築物の見事さは、たとえようもない。街の外壁の規模からして、南部の街とは全く違うのだ。機会があれば、一度行ってみるといい」

「ここからどれぐらいかかるんですか?」

「早馬車を飛ばして3日」

「遠いです」

「遠くても、見る価値はある」


 今度はルビーは黙って頷いた。

 いまのルビーの立場では片道3日の遠出は無理だ。しかし、機会があればと言われたのだ。

 いつの日か、そんなこともあるかもしれない。

 中央の王都を見に行く。あるいは、ロクサムの故郷の街を捜しに行く。それから、冷たく透き通った懐かしい北の果ての海に還る。


「弟子から頼まれた。留守の間、あんたを指導してやってくれと」

 突然そう告げられたルビーは、話の流れと意味がわからなくて、きょとんと男を見返す。

「弟子って、ししょ……いえ、アートのことですか?」

「ほかにだれがいる」

「留守って?」

「一座の巡業が急遽、決まったそうだ。移動用の人足を雇い入れたら、すぐにも出発するそうだぞ」


 そんな話は聞いていない。即座に思ったが、アートにすれば伝える暇もなかったのだろう。もしかしたら、馬車の中でその話が出ていたのかしれない。ルビーがぼんやりしていたせいで、聞き逃しただけかもしれない。

 アートの姿を捜して、ルビーは後方を振り返った。

 高すぎる石の壁を乗り越えてここまでよじ登ってこれないカナリーとともに、アートはかなり低い場所で待っている。

 いつのまにそんなに歩いたのか、廃墟のはずれの街道沿いに停めた馬車は、すでに豆粒のように小さい。馬車から少し離れたあたりでルビーらを待つ二人の姿は、麦粒のように小さい。


「あたし、まだ諦めてません」

 背の高い男を見上げ、ルビーは返した。

「巡業にはついていきたいと思ってます。まだ、奥さまの許可はもらってないけど……」

「だが、最終的にあんたの持ち主の許可がおりなかった場合はどうする?」

 アートは親方に、ルビーがいま置かれている状況を話しているらしかった。

「持ち主のところを勝手に抜け出して、巡業についていくわけにもいかんだろうが」


「そうだけど、まだ決まっていないのにお願いできないわ」

 しかし、親方はルビーの困惑顔に笑いかける。

「具体的なスケジュールは、居残りが決定してから決めることにすれば、かまわんだろう」

「でも、はっきりしないのって、迷惑じゃないですか?」

「なに、王都での建設作業が一区切りついたばかりでな。しばらくこちらに滞在する。どうせ半分休暇のようなもんだから、時間はたっぷりあるのさ」


 5年前までアートの師匠だった親方は、中央の王宮を総合公共施設として改築する計画が持ち上がったときに、高所作業員としてひきぬかれて見世物小屋を去った。現在は設計班に加わって、作業を指示する立場にいるらしい。

 ところで、親方は休暇といっていたが、最初アートに馬車で連れて行かれたのは、お役所の一角に新しくつくられている、何かの建設現場だった。忙しく立ち働く若者らを監督する親方は、全く休暇中には見えなかった。


「ここ何日かは、ちょっと知人に頼まれて、建築省の新しい建物の仕上がりを見に足を運んでいた。だが、それだけだ。もともとあれの設計図はおれの引いたものだったから、きちんと施工されているかの確認もしたかった」

 ルビーが口にした疑問にそう答えると、親方は大きな口をあけて笑った。


「それにな、軽業の孫弟子ができるのは、喜ばしいことだ。アートは、弟子をとるのも相方と組むも頑なに拒んでずっと一人でやってきたそうじゃないか。だから新たに技を継承するものは、もう現れないかと思っていたよ。といって、おれは早々に空中ブランコから引退したし、口を出せる立場じゃなかった。第一ずっと中央にいたから、見世物小屋に顔を出すこともできんかったしな」

 

 親方は嬉しそうに、目を細めてルビーを見る。

「この高さまでをこのスピードでついたこられたんだから、あんたは見込みがあるぞ。巡業先では空中ブランコのセットは組まないから、巡業中は効果的な鍛練法というのはないんだ。あんたが居残りになったら、かえってラッキーだったと、おれが思わせてやるよ」


「巡業中はアートは空中ブランコの技は披露しないんですか?」

「しない。巡業中の空中ブランコはリスクが大きすぎるからだ。巡業中の大ホールは大型テントになる。セットの組み立てを人任せにするのは危険だが、といって、テント全体の設営に足並みを揃えるのは難しい。テントの他の部分をだれかが組み間違えた時点で、セットが不安定になるんだ。

 まあ、場合によっては、低いところにミニチュアのセットを組んでちょこっとだけやってみせて、ちゃんとしたのが見たければ、南部に足を運べって宣伝することはあるけどな」

「だったら、アートの演目は、巡業中は何になるんですか?」

「綱渡りなどの軽業よ。逆立ちでロープを渡ったり、ロープの上でバク転をしたり、大車輪をやったりだな……」

「大車輪?」

「ロープを両手でつかんで、全身でロープの周りを回転する」


 なおもきょとんとするルビーに親方は、少し考えてからこう解説を加える。

「竿に通した洗濯物のシャツが、強い風を受けて竿の周りを一周するのを見たことがあるか? それが何回もまわるイメージで想像してみてくれ」

「すごい危険そう」

「そりゃあ、そうだ。危険だからこそ見世物になるんだぞ」

 親方はもう一度大きな口で、にっと笑ったが、ふと後ろを振り返って顔をしかめる。

「しかし、なんだい、ありゃあ? あっちもアートの弟子なんだろう? やる気があるのかね? やる気のないやつにはおれは教える気にはなれんぞ」


 お役所の建築現場を出発して、この遺跡に連れてこられる前、親方がアートに言っていた。おまえの弟子に適性があるかどうかを見極めてやろうと。カナリーもそれを聞いていたはずだったから、この人に認めてもらう気が彼女にあるなら、もう少し頑張って登ってこようとしているはずだった。


「カナリーは弟子になったばかりなんです。カナリーにも居残りの話があるんですか?」

「あっちの嬢ちゃんはカナリーっていうのか。状況によっては残るかもしれんと聞いたんだが。養い親の体調が思わしくないのもあって、一緒に街に残るかもしれんそうだぞ」


 火焔吹きの?

 その話も、ルビーには初耳だった。


「そういや、あんた、名前は?」

「ロビンといいます。あたしもあなたを親方って呼んでいいですか?」

「おうよ」

 親方は、もう一度目を細めてルビーを見た。

「どうもな、あんたを見てるとロゼッタを思い出すよ」


 声に出して聞き返したわけではない。だが、ルビーの問いかけるまなざしがわかったのだろう。

「ロゼッタはおれのもう一人の弟子で、アートのブランコの相方になった子だ。あの子もこう、あんたみたいに細っこくてな、ちまちまってして風が吹けば飛ぶような見かけだったが。なんというか、目がこう大きくて、ひたと人を見据えるまなざしが印象的でなあ……」

 言いながら親方は、しぶとい雑草がところどころに伸びている石の上に、どっかりと腰を下ろした。そして、後ろを振り返る。

「あいつらはもうこれ以上登ってくる気がないのかな? しかし、もう少し待ってみよう。ロビン、あんたも座れ」

 言われてルビーは、石の上の平らな場所に、ちょこんと腰を下ろした。


「あんたは、アートが相方をなくしたときの話を聞いたことがあるかね?」

 聞かれてルビーは頷いた。

「知っています。でもアートと直接その話をしたことはないの」

「どの程度知っている」

 どう答えるべきかルビーは、迷った。

 アートが奥さまにしていた話は、彼の生い立ちから始まっていた。空中ブランコのパートナーになる少女との馴れ初めや、売られていった彼女を追って彼が見世物小屋を訪ねていったいきさつについても、ルビーは聞いている。

 親方は何をどの程度知っているんだろう?


「5年前に起きた出来事だと聞きました。空中ブランコの演目中に、その女の子の掴んだブランコの縄が突然ほどけてしまって、落ちたって」

 そう答えながら、ルビーは傍らの親方を見上げた。

「次の演目のために用意されたセットの上に落ちて……死んでしまったって」

「ほかには?」


 その質問にはルビーは答えられない。空中ブランコの少女が落ちた日、彼女が観客の一人におびえていたことや、その客がかつて少女を奴隷市場から買っていった貴族だったことなどを、アートが親方に話しているかどうかがわからないからだ。

 親方は、ルビーの返答を急かす気はないらしく、ゆったり構えて待っている。

 仕方ないので、ルビーは再び口を開いた。

「縄がほどけた理由は不明だったって。前日に親方とアートとで点検して、しっかり結わえてあることを確認したばかりだったから、本来はほどけるはずのないものがほどけたんだって」


 親方は頷いた。

「あのときは、本当に原因がわからなくて、首をひねった。だが、おれはほどなく一座を抜けることが決まっていた。それ以上の原因を究明することもできず、心残りなまま、王都に向けて旅立つこととなった」


 5年前、ロゼッタを失い茫然自失のアートを、親方は自分の転職先に誘ったのだという。一座を抜けて、王宮の改築の手伝いを一緒にやってみないかと。弟子は建築に関する知識は持たなかったが、高所作業には十分適性があることがわかっていた。第一、見世物小屋に一人残していくのが心配でもあった。

 けれどもアートは首を横に振って言った。


 落下事故の3日前から、とある客を見て、ロゼッタはひどく怯えていた。彼女には、これから起こることの予感があったのかもしれない。彼女に何が起こったのかを、少しでも調べられたら。そのためには、おそらくとても多忙になるであろう改築に参加するよりも、見世物小屋に残る方がよい。そして、少しでも時間を見つけて、手がかりを捜してみるつもりだ。


 思いつめた顔でそう説明するアートに、親方は、調べてどうするつもりだ、とは聞き返せなかった。


「あのとき、あいつに言えなかった話がもうひとつあってなあ……」

 親方は物思いにふける顔で、蜜色の午後の光に照らされた街並みを見やる。

「あいつらの演技を、あの日おれは舞台のそでから見ていた。ちゃんと一人前になったなあ、と柄にもなく感慨深く見上げていたんだ。だから、見間違いではないとは思うんだが……」

 と、言い淀んだあと、

「ロゼッタはあのとき、自分から落ちたように、おれには見えた。決意して、飛び込んだように見えたんだ。もちろん手を離したわけじゃない。あの子の両手はブランコの横木をしっかり握ったままだった。だが、横木を結わえていた縄が生き物のようにするりと動く瞬間、あの子の視線は縄に向けられていて、そのあと全く慌てず、落ち着いて、意志的な顔で、落ちていったように見えたんだ。後ろからそれを目撃したアートが衝撃を受けていたのが表情でわかったから、二人の様子があまりに対照的でな……」


 親方は、そこまで話すと目を閉じた。


「これでもおれは若い二人を応援しとったんだ。売られてきたロゼッタもわけありだったし、ロゼッタを追いかけてやってきたアートもわけありだったんだろう。だが、二人ともいい子たちでな。軽業の練習はビシバシ遠慮なくシゴかせてもらったが、それ以外では口をはさまず相談役に徹していたつもりだった。

 ロゼッタは見世物小屋に売られてくるまでの経緯で、人間不信になるようなことがあったんだろう。アートに対しても、最初のころは、どこか距離を置いているように見えた。傍目にはまあ、本気でアートを疎ましく思ってるわけじゃないのは見て取れたがな。

 それに対してアートは苛立つでなく、そっけなくされても打ちひしがれるでなく、自棄になるでなく、あの年でよくもまあと呆れるぐらい、根気よく、しんぼう強く、ただ寄り添って、支え続けていたよ。

 だからなあ。あの結末には、おれも本当に、納得がいかなかった。なんでそんなことが起こったのか、考えれば考えるほど腑に落ちない。

 おれですら納得がいかなかったんだ。当事者であるあいつが気分を変えて、新しい環境で新しい仕事を、ってわけにゃいかんのは当然といえば当然だったんだろう」


 そこで、不意に親方は振り向いてルビーに聞いてきた。

「なあ、ロビン。あんたから見て、アートはいま、どんな感じなんだ?」

「どんな感じって、どういう意味ですか?」

「あいつはまだ真実を追ってるんだろう? そんなに簡単にわかるもんじゃないだろうと思うんだが、諦めてないんじゃないのか?」


「アートは……」

 言いかけて、ルビーはふと思いついて質問した。

「親方、あなたはアートの味方なんですか?」

 親方は少々戸惑った顔になったものの、即座に答えた。

「ったりめーよ」

「アートに直接聞かないのはどうして?」

「なんかこうなあ、デリケートな問題を掘り起こすようでなあ……」

 彼はわしゃわしゃと頭をかきむしる。


「やつが一番大変だったときに、おれは南部をあとにした。一人前の軽業師だ、大人だと思いはしたが、実際には、あいつはまだ15歳の──もうじき16歳になろうとはしていたが、ほんの子どもだった。そのあともずっと気になってはいたが、こちらから連絡を取ったことはなかった。

 それが、今回まとまった休暇をとって南部に戻ってきた途端、古い知人のつてで、向こうから連絡が来てなあ。何かと思ったら、巡業についていけない弟子のために力を貸してくれないかって話だ。一も二もなく引き受けたが、それはそれとして、これまでどうしていたんだ、みたいな話は……どうも聞きづらくてなあ」

 ルビーは親方をじっと見た。

 親方は後ろめたいのかもしれない。

 自分の弟子の片割れが謎の死を遂げ、もう片割れがその原因を探ると言っているときに、自分だけがそれらとまるで関わりのないところに去ってしまったことが。

 親方がルビーを見たので、目があった。

 と思ったら、彼はまた大きな口でにっと笑った。

「やっぱりあんた、ロゼッタに何か似てるんだな。そんな風にあの子も人の目をまっすぐ覗き込む子だった」


 少し考えて、ルビーはこう答えた。

「あたしはアートと直接この話をしたことがないから、これは憶測です。

 自分の責任のとれないことで、運悪くひどい目にあったら、人はだれかに聞いてほしいとか、なぐさめてほしいとか思うのかもしれないわ。でも多分アートはそういう風に考えていなかったんじゃないかと思います。彼にとってはパートナーをなくしたのは、そういう出来事ではなくて、彼自身が考えつく限りの最良の方法をとれなかった、とらなかったことが原因だと思っていて──。

 だから、自分がまだ子どもだったという意識ではなかったと思うの。親方に置いていかれたとか、そんな風には思ったことはないのじゃないかしら」


 説明の言葉を捜しながら、やはりルビーはアシュレイのことを思い出していた。そして、自分が無知であったことの罪に、思いを巡らせる。

 言霊の魔術、といわれるものについて、自分の持つ力が周りのものにどのような影響を与えるのかを知る努力をしていたら。アシュレイともっときめ細やかに意志を疎通させる努力をしていたら。

 起こってしまったことを後悔するとき、その出来事を、何度も何度も頭の中で繰り返し思い出してしまうことになる。あのとき一瞬早く動いていたら。あのとき違う判断をしていたら。沸き起こる強い、苦い感情とともに。


 アートもそんな風に考えたのではないかと、なぜかルビーは思ってしまったのだ。

 自分が至らないせいで、怠慢なせいで、愚鈍なせいで、事故は起こってしまった。考えて、推測して、危機を察知して、可能な限りの方策を取らなかった。座長に逆らえないロゼッタの代わりに、公演をボイコットしてでも事故を防ごうとしなかった。

 彼がそう考えて5年前の出来事を悔いているのではないかと、ルビーは想像した。


 ルビーが水槽でおぼれかけたとき、見かけるなりアートは彼女を助け出した。座長に逆らえないナイフ投げに声をかけ、その呪縛を一瞬で解いた。

 あのときの彼の、全く迷いのない態度を、ルビーは思い出す。


 アートの行動はブレない。

 的確に動くことだけを考えているように、ルビーには見える。

 かつての自分の至らなさを贖うために、償うために、ただ動く。憑かれたように。苦い後悔と苦しみを機動力にして。


 さっき馬車の中でルビーがアートに確認したかったのは、レイラがリナールから脱出したとき、建設大臣の代理として国境越えに手を貸したのは彼ではなかったか、ということだった。

 レイラには、はっきりと言葉にして聞いたわけではない。でも、多分間違いないと思う。

 そして、ナイフ投げの見世物小屋からの逃亡に手を貸したのも、多分アートだ。からくりと抜け道だらけだというハマースタインのお屋敷を、真夜中に抜け出して。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  この章を読む間、登場人物たちの描かれ方を思いながら読んでいました。  どちらかというとこの物語は、出てきた人間を割と淡白に描いて進んでしまうものですから、初めはルビーが得た手触りをたより…
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