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第40話:村越 大河

 いやぁ、やってくれたな、あいつは。

 競技場中の声援を一身に浴びてゴールテープを切った瞬間、正直、オレは飛び跳ねながら「マジかよ!」と叫んでいた。

 参考記録だろうが何だろうが、走りきって一位通過――この事実は変わらない。


 あちこちから仲間たちが駆け寄ってくる。波多野も白石も、ほぼ泣き笑いの顔で。

 オレはその場で軽く息を整えてから、わざと声を張った。


 その時だった。

「――結奈!!」

 一之石の声が響く。普段なら絶対に名字で呼ぶやつが、いきなり何なんだ。

 波多野は一瞬きょとんとして、それから真剣な表情に変わる。


「先ず目的を果たせ」

 その短い言葉に、波多野は小さくうなずいた。


 そして一之石は、少し息を整えながらも静かに言った。

「オレ達は優勝する為に走った訳じゃない。だいたいこれは参考記録だから優勝じゃない。でも1位になったのは、本当の目的があった筈だろう」


 その言い方が妙に落ち着いていて、場の熱気が一瞬だけ静まった気がした。

 あいつはやっぱり、普通の高校生じゃない。

 勝ち負けより、もっとでかいものを見て走ってる。

 ……いや、格好つけすぎだろ、とは思うけどさ。

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