表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/178

第12話:柏木 美羽

 「じゃーん!差し入れ~!」

 生徒会室のドアを開けるなり、私は袋を掲げて入っていった。


 中にいたのは、生徒会長と紗月ちゃん、それに一之石くんと村越くん。会議っぽい雰囲気だったけど、空気はちょっと重め。


「お、なんだ柏木か」村越くんが笑って手を挙げる。

「おう、今日は駅伝の相談だぞ。お前も詳しいだろ?」

「まぁね~。元陸上部だし。顧問のクセとか、他校の情報ならちょっとは知ってるよ」


 私は持ってきたペットボトルを配りながら、一之石くんの方を見る。

 相変わらず姿勢がきっちりしてて、目線は書類に落ちたまま。でも、差し出したお茶をちゃんと受け取ってくれた。


「ありがと」

「あ、うん……ありがとう」

 その声、思ったより優しいじゃん。こっち見ないけど、口調が柔らかい。


「ねえ、一之石くんってさ、こういう交渉とかも得意そうだよね?」

「……得意、とは言えないな。やることはできるが、感情の読み合いは苦手だ」

「えー?でも、今の説明とかすごく分かりやすいよ?ほら、そういうのもっと最初から言ってくれたら、みんな話しやすいのに」


 私が笑うと、一之石くんもほんの一瞬、表情が緩んだ。

 ――あ、この人、笑うと年相応になるんだ。

 何でいつもそんなに固くしてるんだろ。もったいないな。


 そんな空気の中、視界の端で生徒会長と紗月ちゃんが一瞬だけ顔を見合わせた。

 その目が、何か動揺しているようにも思えた。

 ……でも、その理由までは分からない。


「じゃ、私これで。情報はまた村越くんに送っとくから!」

 あっけらかんと手を振って生徒会室を出る。

 背中に四人の視線を感じながら、私はにやりと笑った。

 ――うん、一之石くん、“孤高”のままで居させるのはやっぱりもったいない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ