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【書籍化決定】ねえ親友。今日もキス、しよっか?  作者: ゆめいげつ
最終章 俺たちは幸せなキスをする

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第329話 「どんなところにもキス……できる?」

「蓮司のえっちキス魔人……」

「すまん……だから、つつかないでくれ、危ないから……」


 早霧が俺の背中を、脇腹をつついてくる。

 逃げたいが今は階段の上かつ麦茶の入ったコップを乗せたトレイを両手で持っているので耐えるしかなかった。


「この後、ゆずるん達と一緒に巫女服に着替えるんだけどなー?」

「すいませんでした……」


 チラッと後ろを見てみれば。

 早霧が俺をジト目で見上げながら、自分のお腹を擦っている。

 それもこれも俺が我慢できなくて、お腹にキスマークをつけてしまったからだ。


「蓮司は私のおっぱいだけじゃなくて、お腹も好きなんだね……」

「全部好きだけど?」

「ひっ、開き直らないでよ!?」

「……どうすりゃ良いんだ」


 全部好きに決まってるだろうが。

 ここまでしておいて誤魔化すのは無理がある。

 それにめちゃくちゃ文句を言ってるけれど、キスしてと言い出したのは早霧だ。

 

 だから俺は悪くないし、ああでもしないと本当に止められなかっただろう。

 ……まあ、キスマークが出来るぐらいのキスをしたのは俺の意志なんだけどさ。


「じゃあ逆に聞くけど……」

「この状況でまだ聞くのか……」

「私の全部が好きなら、どんなところにもキス……できる?」

「…………」


 危うく階段を踏み外しかけた。

 移動の途中で、なんて質問をぶつけてくるんだコイツは……!

 立ち止まって振り向いてみれば自分で言っておいて顔を真っ赤にしてるし……。


 ……ああもう! 本当にこういうところが可愛いよな早霧はっ!!


「……早霧が、良いって言うなら」

「……えっちキス魔人」

「……どっちがだよ」

「……蓮司」


 すごい気まずい雰囲気になってしまった。

 でもこれは居心地がいい気まずさでもある。そう、いい雰囲気の気まずさだ。


 ただこの雰囲気のまま部屋に戻るのは非常にマズい。

 絶対に何かあったと勘繰られるレベルの、妙な雰囲気だった。


「……早霧、いったん落ち着こう。後で何でも聞くから、今は落ち着いて部屋に戻ろう。そうしないとまた、俺達は恥ずかしい思いをするだけだぞ?」

「……何でも?」

「…………あぁ」

「……うんっ!!」


 激しく不安だった。

 絶対に前半しか聞いてないって自信があった。

 俺は一抹の不安を覚えながらも、このピロートークみたいな雰囲気からいつもの何も考えていない早霧に戻ってくれたので良しとする。


 良くも悪くも俺は早霧の状態にかなり引っ張られてしまうのだ。

 それはそうと、最近の俺達はいくつ何でも聞く約束をすれば気が済むんだろうか?


「ゆずるん長谷川くん! たっだいまー!!」

「……すまん、遅くなった」


 上機嫌になった早霧が階段を上り終えてから俺を追い越して、部屋の扉を開ける。

 両手が塞がっていたのでありがたく思いながら、俺も一緒に部屋に入った。


「……お、おぉっ!」

「……お、おかえりっ!」


 すると長谷川とゆずるは、どちらも顔を真っ赤にして正座をしながら俺と早霧を出迎えたんだ。

 明らかに、何かありましたって顔をしている。

 ただ焦っていないところから、俺達がいない間に二人でイチャついていたとかそういう方向ではないみたいだった。


「あれっ?」

「ど、どうしたんだ……二人とも……?」


 その明らかにおかしな姿に早霧は首を傾げ、俺は猛烈に嫌な予感がした。

 ま、まさか俺と早霧のキスを見られていた!?


 最悪のパターンが、俺の頭に思い浮かんだんだ。

 

「す、すまん! 赤堀、八雲ちゃん……!」

「わ、わるぎはなかったんだよっ……!」

「えっ? えっ?」

「なっ!?」


 長谷川がすごく申し訳なさそうな顔をして、ゆずるが顔をもっと真っ赤にさせる。

 ま、まさか本当に見ていたのか!?


「たださっき、部屋の中で騒いでしまったから少し片づけようとしただけなんだ!」

「ち、ちょっとごうと一緒に掃除をしただけなんだけどねっ……!?」

「え? 掃除?」

「……ん?」


 だけど、違ったみたいだ。

 どうやら心優しい二人は部屋の掃除をしてくれていたらしい。

 安心したのと同時に、じゃあどうして二人が焦っていたのかと思えば――。


「八雲ちゃんが隠れていた、赤堀のベッドの上に、これが……」


 ――ガチャリと。

 見覚えのある……鉄製の、鎖に繋がった、一対の輪っかが出てきた。


「…………早霧?」

「…………」


 めちゃくちゃ、見覚えがあった。

 隣にいる早霧を見ると、早霧はあからさまに視線を逸らす。


「こ、こういう自分らしさも良いと思うよっ!?」


 そんな雰囲気の中、ゆずるが顔を真っ赤にしながらフォローしてくれる。


「あ、あぁ……草壁ちゃんも、好きそうだしな!?」


 更にそこに、追撃のフォローが長谷川から飛びかかってきた。


「…………早霧?」


 クソ気まずい中で、もう一度俺は、早霧を見る。

 主に少し前にベッドの上で丸まっていた過去の早霧に、何をしようとしていたんだお前と……言う視線だった。


「……ゆずるんと、長谷川くんが、来るって……思ってなかった、もん……」


 判決、有罪。

 しかも俺を、巻き込んで。


 顔を真っ赤にしながらそっぽを向く早霧と、それを見つめる俺。

 そんな俺達の前に長谷川とゆずるが差し出したのは、いつぞやに早霧に使われた、ひと組の手錠だったんだ。

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