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【書籍化決定】ねえ親友。今日もキス、しよっか?  作者: ゆめいげつ
第六章 俺たちは幸せを分かち合いたい

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第147話 「わ、私のせい……だよね?」

 早霧を後ろから抱きしめて、早霧の匂いを嗅いで、早霧の裸を想像して。

 早霧で興奮してしまい……それが、早霧にバレた。


 それもこれも今朝見た夢が原因だろう。

 今まではこんなこと無かっ……たかと言えば風呂場で仲直りのキスをした時にあったかもしれないけど、それとこれとは話が別である。


 風呂場が事故とするのなら、今回は事件だった。

 大事件だ。


「す、すすすすっ、すまん!」


 俺は慌てて早霧から離れようとする。

 ベッドに背中を預けている俺に早霧が寄りかかっている状況なので難しいが、まずは前に回している腕を引っ込めようとして――。


「…………」

「……さ、さぎりっ!?」


 ――ぎゅっ!

 その腕を、早霧は離してくれなかった。

 動けなくなった俺は思わず声が裏返り、変な声が出てしまう。


「こ、これって……そ、そういう、こと……だよ、ね……?」

「い、いや、その……」


 早霧が俺を離してくれない。

 腕を掴む力はそこまで強くないけれど、何故か俺は動けなくなっている。

 ヤバいヤバいと心の中では焦っているのに、一度意識してしまった自分の興奮は、自分では抑えられなかった。


「わ、私のせい……だよね?」

「う……」


 それに背中を押すように、早霧の声が俺の背中をこれでもかと押してくる。

 俺が早霧を後ろから抱きしめているのに、おかしいかもしれないが、間違いなく俺の概念的な背中を早霧が押しているんだ。

 だけどそれを言った早霧の声は恥ずかしさからか震えていて、顔は見えないけど目の前にある耳は真っ赤になっていた。


「れ、蓮司も……お、おとこのこ、だもんね……」

「そ、そりゃあ……な……」


 ようやくひねり出せた言葉は肯定こそしているけれど、早霧の言葉にただ頷いているだけだった。


 ……だってさ、仕方がないだろう!

 今までもずっと好きだったけどその気持ちの大部分は早霧を守りたいって想いが強くてこういった異性としての魅力や好意からは少しかけ離れていたしさ、ようやくここ最近でキスをされてからそういう目で意識し始めたのに、そこから大切な昔のことを思い出した瞬間に階段を何十段飛ばしでいきなりあんな夢を見たんじゃ俺だってどうしたら良いか分からないんだよ!

 早霧が今まで告白を断ってきたのと比べるのがそもそもおこがましいかもしれないけど……俺だって異性とそういう経験、ある訳ないんだぞ!


 だって俺にとって、早霧が世界で一番大切だったんだから……!!


「わ、私で……興奮、しちゃったんだよね……?」

「…………」


 そんな俺の気持ち悪い心の叫びは当然伝わってなくて。

 早霧は俺に答えを求めてきた。

 正直言いたくないし恥ずかしい。

 今すぐ全力ダッシュで逃げ出したいし、タイムマシンがあるなら乗り込みたい。

 

 でも、早霧だって恥ずかしい想いをしながら聞いてくれたんだ。

 それに俺はもう早霧に隠し事をしたくない。

 俺がもっと早く親友について聞いていれば、早霧が悲しむことは無かったかもしれないから……。


 だから、勇気を出して、言うんだ。


「……はい。さ、早霧で……その、興奮……して、しまいました……」

「そ、そっか……そう、なんだ……」


 消えたい。

 もしくは帰りたかった。家ではなく、どこかに。

 何故か今度は俺の方が敬語になって、そんな不甲斐ない俺に早霧は小さく頷いた。


「…………」

「…………」


 嫌な沈黙が流れる。

 これは緊張の間だ。

 早く答えを知りたいのに、聞きたくない。

 まるでさっき家でした家族会議のような……いやそれを乗り越えた俺の心を加味すると恥ずかしさポイントが大量に加算された今の方が地獄だった。


「……い、良いよ?」

「ひょえっ!?」


 沈黙を破る早霧。

 俺は思わず、草壁みたいな声が出た。

 けど今の俺の頭は前髪目隠れ首絞め同級生よりも、世界で一番可愛くて愛しい親友の言葉に夢中だった。


「し、親友だし……そ、そういうことも……こ、これから……あるし……ね?」

「お、おお……」


 チラッと早霧が後ろを向く。

 ただでさえ可愛くて美人なのに、見返り美人効果に潤んだ瞳がプラスされて最強だった。


「で、でも恥ずかしいから……ち、ちょっと……ちょっとだけ、だよ?」


 ――ぎゅう。

 言ってる早霧も恥ずかしいのか、俺の腕を握る力が強まった。


「……ちょっとだけって?」


 でも、その声が、その仕草が。

 俺を押しとどめていたナニカを外したような気がした。

 恥ずかしさはまるで消えたかのように、頭の中が真っ白になってクリアになる。


 あるのは、早霧に対する想いだけだった。


「ま、ママが呼びに来るまでなら……良いよ?」


 ――スルリと。

 俺の腕を掴んでいた早霧の手が離れていく。

 自由になったのに俺の身体はまるで動かなかった。

 ゆっくりと振り向いてくる早霧の横顔。

 その白い頬が、恥ずかしさで真っ赤に染まっている。


「さ、早霧……」

「で、でも……その前に、さ」


 そして、正面から。

 早霧の手が俺の顔の横を通り、後ろに回される。

 まだ少し濡れている乾ききっていない前髪が、熱を帯びて潤んだ瞳とその上の長い睫毛が、白かった赤く染まる頬が、薄桃色のみずみずしい唇が、その奇麗な身体が、ゆっくりと……近づいてきて。


「キス、しよ?」


 唇が重なる。

 そして俺たちは、座ったまま正面から抱きしめ合った。

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