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もしあるなし

作者: こーへ〜

もしあるなし


キャスト

桃太郎…男

桃鬼…男

赤鬼、子分、猿…男

爺、青鬼、吽鬼…男

羅刹、親分…男

酒呑童子…女

婆、キジ、語り手、阿鬼…女


語り手「むかーし昔、あるところにおじいさんとおばあさんが居ました、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯へ…そしたら川上から桃が流れて桃太郎がそこから産まれて成長し鬼退治したって話は…みんな知ってるよね?実は桃太郎には兄弟が居たんだ…これはもう1人の桃太郎の話…むかーし昔…あるところにおじいさんとおばあさんは居なく、桃は川上からどんぶらこどんぶらこと流れ、やがて海に出て大きな海原をどんぶらこどんぶらこと彷徨い続けていました。」


桃鬼「あー…あぅっ…もぐもぐ…」


語り手「桃の中にいる赤ん坊は桃食べ飢えをしのいでいました…この桃は不思議なことに噛まないでも食べられ赤ん坊に必要な栄養を全て兼ね備えていたのです。暫く海を彷徨い続けていると…船がやって来ました…どうやら海賊のよう…」


子分「親父ー!!見ろよ!デケェ桃が流れてる!!」

親父「あー?」

子分「とりあえず拾っときますか?」

親父「いるか!塩に浸かった桃なんてしょっぱくて食えねぇだろ」

子分「へーい」


語りてえ「海賊は桃を見つけましたが…見過ごしました…桃は海を漂います…どんぶらこどんぶらこと…そして…桃は一つの島にたどり着きました」


赤鬼「うはっ!デッケェ桃!よいっしょ!ひぃー重いー」

青鬼「ん?なんだそりゃ?」

赤鬼「なんだって桃だよ桃!持って帰ってみんなで食おうぜ!ほら手伝ってくれよ」

青鬼「お、おう」

赤鬼「わっせ!わっせ!」

青鬼「えんやーこら!えんやーこら!」

赤鬼「なんで掛け声合わせないんだよ、やりづらい」

青鬼「こっちの方が好きなのに…ちっ…ったくしゃあねーなぁ…せーの」

赤鬼「わっせ!わっせ!」

青鬼「わっせ!わっせ!」

赤鬼「頭ぁ!頭ぁあ!」

羅刹「ああ?なんじゃ!うるせぇのぅ」

青鬼「どうすか!この桃!」

羅刹「おお、デッケェなおい」

青鬼「海岸で見つけたんすよーどうすかすごいでしょ」

赤鬼「おい俺が見つけたんだろ!」

青鬼「いいじゃん別に」

赤鬼「俺の手柄だぞ!」

青鬼「いいじゃんいいじゃん」

赤鬼「このやろっ!」

青鬼「お?なんだ?やるかー?」

赤鬼「いいぜ、やってやんよー!」

青鬼「よし!表出ろぉ!」

赤鬼「上等だぁあ!!」

羅刹「やめろ、馬鹿共!」

赤鬼「あいだっ!」

青鬼「いってぇー、何すんすか」

羅刹「うるさいぞ馬鹿共、くだらんことしてんじゃねぇ、ほら、その桃食うぞ…切るからどいてろ」

赤鬼&青鬼「うぃーす」

羅刹「ぬぅううりゃ!!」

SE【斬撃音】

赤鬼&青鬼「おぉー流石っす!頭ぁ!」

羅刹「ふっ…まっぷたつだ…」

桃鬼「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」

青鬼「な、な、な、」

赤鬼「な、なな、ななな」

羅刹「なんじゃこりゃああああ!!!」

桃鬼「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」

羅刹「あーうるさい!泣くなガキ!殺して食っちまうぞ!」

桃鬼「おぎゃあおぎゃ………うっ………」

赤鬼「あ、泣き止んだ」

青鬼「こいつ人の子っすかねー?」

羅刹「馬鹿、人の子は桃から産まれん…女の股から産まれんだよ、俺ら鬼と一緒だ馬鹿」

青鬼「じゃあこいつは何の子です?」

羅刹「うーむ…人か?」

青鬼「人じゃないすか…」

羅刹「うーむ…」

赤鬼「頭ぁ…そいつどうすんすか?」

桃鬼「だあだあ」

羅刹「ん?なんだ?」

桃鬼「あうー」

赤鬼「なんか懐かれてません?」

羅刹「なんだお前…儂が怖くないのか?」

桃鬼「あうー」

羅刹「そうか、人を喰らい畏怖されてる鬼、羅刹…この儂を恐れぬとは……よし!」

赤鬼「よしって?」

青鬼「まさか、頭…」

羅刹「うむ…育てる…」

赤鬼「いいですね、育てましょう!きっと立派に育ちますよ」

青鬼「うんうん、きっと立派に育ち……ぇええええ!?頭!育てるって、え?正気ですか?マジですか?」

羅刹「マジだ、こいつは俺を見て怖がれねぇ度胸がある、人の子だが鬼の子としてこれから育ててく…名前は何がいいか…桃、鬼…こんなのはどうじゃ!桃から生まれた桃の鬼!桃鬼…どうじゃ桃鬼?」

桃鬼「あーうー!」

羅刹「はっはっは!そうか、気に入ったか!よろしくな桃鬼」

桃鬼「だぁぶ!」


語り手「ここしてもう1人の桃の子は鬼達に拾われ鬼の子として育てられました…そして月日は流れ桃から生まれた二人の子、桃太郎と桃鬼はスクスクと成長し立派になりました…桃太郎は鬼ヶ島へ向かおうとしていました…」


爺「桃太郎や…こんな立派になって…うっうっ…うぐぅ…」

婆「これ爺さん!男が立派に旅立とうとしとるんじゃ!なんじゃみっともない」

桃太郎「爺ちゃん、泣かないでよ、僕は大丈夫、ちゃんと鬼を倒して生きて帰ってくるから」

爺「生きて帰ってくる…もし死ん…うぐぅ!ああ!考えてしまった…あう…うっ…うっ…ぉおお…」

婆「爺さん!!」

爺「す、すまん…あぐっ…うぅ…」

婆「ホントみっともないのう…桃太郎や気をつけるんだよ…ほれ、これを持って行き」

桃太郎「これは?」

婆「きびだんごじゃよ…お前の好物じゃろ?」

桃太郎「うん!ありがとう!婆ちゃん!じゃあ行ってくるね!」

婆「気をつけるんじゃよ」

桃太郎「うん、行ってきます」

婆「ほれ、爺さん!桃太郎が行っちまうよ?ちゃんと見送んな」

爺「ぅうっ…行ってらっしゃい…か、必ず帰って…ううぅ…くるんうぁああああ」

婆「ったく…みっともない」


語り手「こうして桃太郎は旅立ちました。旅の途中で婆さんから授かったきびだんごで犬、猿、キジの三匹の仲間ができました…残念ながら鬼を倒したいと言う者はどこの村に行っても居ませんでした…頑張れ桃太郎…一方、桃鬼はと言うと…」


羅刹「こら桃鬼!この程度でへばるじゃない!」

桃鬼「う、うす!うりゃああ!!」

羅刹「ふっ…ぬんっ!」

桃鬼「うわぁっ!」

羅刹「ここまでじゃ、まだまだじゃのぅ桃鬼」

桃鬼「あ、ありがとうございました…」

羅刹「これ拗ねるでない…」

赤鬼「頭ぁ飯ができましたぜー」

羅刹「うむ、今行く」

桃鬼「うーん、ここがこうであそこをこうしてれば…あー…むぅ」

羅刹「桃鬼、いつまでもぶつくさ言ってないで行くぞ…安心せい、お前は強くなってる…」

桃鬼「そうかなぁ?」

羅刹「そうじゃ…さぁ飯じゃ飯!行くぞ!」

桃鬼「うん」


青鬼「あぐっうぐ…あーうめー」

赤鬼「さすが俺!料理うめー」

青鬼「料理だけはな」

赤鬼「なんだとぉ!?」

桃鬼「やめろよ、いちいち突っかかるなって」

赤鬼「へーい」

青鬼「怒られてやんのー」

羅刹「お前も煽るな」

青鬼「あだっ!すいやせーん」

桃鬼「なぁお前ら…俺って強くなってる?」

赤鬼「そりゃ勿論!」

青鬼「そうだって桃鬼、あんなちびっこいガキが頭に金棒術教えてもらってからめっきりたくましくなって」

桃鬼「でも親父に勝てないし」

赤鬼「当たり前だろー俺たちの頭だぜ?」

青鬼「まぁ安心しろよ、お前は羅刹様、頭の次に強え!」

桃鬼「んーなんかやだ…親父にも勝ちたい」

羅刹「ふっはっは!全く頼もしい奴だな…次の頭は桃鬼で決まりだなぁ」

桃鬼「やった!」

羅刹「まぁ儂を倒せるくらい強くなってからだがな」

桃鬼「くっそー…次は任してやるー」

羅刹「まぁ精進せよ若者よ」

桃鬼「むぅー」

酒呑童子「はぁっはぁっ…た、助けてくれぇー」

赤鬼「酒呑童子!?」

青鬼「ど、どうしたんだよ!酒呑童子ともあろうあんたがそんなエロい格好…いやボロボロになって」

酒呑童子「み、見るな…」

桃鬼「この人があの酒呑童子……」

羅刹「桃鬼、お前にゃまだ刺激が強い」

桃鬼「なんだよ親父〜」

羅刹「酒呑童子よどうした?そんなエ…ぼろぼろで」

酒呑童子「聞いてくれよ羅刹!」

羅刹「うむ、聞いておる、というより珍しいなお前がシラフなんて、酒はどうした酒は?」

酒呑童子「そうなんだよ!そう!酒がねぇえんだよぉおお…シラフでとかもう……あーもう無理限界〜酒ぇええええくれぇ酒ぇええ」

羅刹「おい、とりあえず酒持ってこい」

赤鬼「へい」

酒呑童子「ぷはぁー!」

羅刹「落ち着いたか?」

酒呑童子「とっても」

羅刹「で、どうした?」

酒呑童子「んーあのねーなんかわけわかんねぇんだけど…この前…」


桃太郎「我が名は桃太郎!鬼め!出てこい!村人達から奪った酒を返せ!」

酒呑童子「んぁー?なぁに?坊や…お姉さんと遊びたいのー?」

桃太郎「うっ…酒くさ…しかも話聞いてない」

酒呑童子「あんた可愛い顔してんねーサービスしてあげんよー、一緒に飲もうぜーほれほれ来い来い」

桃太郎「いらん!」

SE【皿を弾き地面に落ちる音】

酒呑童子「いったー…ああ勿体無ぇ…ねぇガキンチョあんた私の酒が飲めないって言うの?」

桃太郎「飲めん!それに僕は未成年だ!」

酒呑童子「きっさまぁああ!!」

桃太郎「来い!行くぞ!みんな!」

犬「了解ですワン!」

猿「わかったぜ!キキー!」

キジ「オッケー!ケーン」

酒呑童子「あ、いたい!やめて!いたいいたい!降参ですぅー」

桃太郎「ふん、酔っぱらいめ…酒は返してもらうからな」

酒呑童子「酒ぇええ私の酒ぇえ酒ぇええ…うー……」


酒呑童子「ということがあってだな」

赤鬼「はぁ…」

青鬼「ふむ…で、うちの頭にそいつを潰してもらおうと」

酒呑童子「そーゆうことー」

羅刹「ふむ…ボロボロの身体…ごく…」

酒呑童子「何見てんだよ」

羅刹「すまん…ボロボロの身体でよくここまで来たな…」

酒呑童子「ああ大変だったんだぞ、酒もないし…」

羅刹「うむ」

酒呑童子「で、やってくれんの桃太郎退治」

羅刹「どーしようかのぅ」

酒呑童子「やってくれたらぁヤッてもいいわよぉ?」

羅刹「やっちゃおうかな!」

酒呑童子「エロ親父」

桃鬼「エロ親父」

酒呑童子「ホント男って馬鹿ねー……ん?ん?んんん?」

桃鬼「え?」

酒呑童子「ん?ん?んんん……んー……うぉらぁあああ!!!!」

桃鬼「ひっ!」

羅刹「ふんっ!」

酒呑童子「うべっ!」

羅刹「いきなり何するんだ!」

酒呑童子「だってそいつは?」

羅刹「うちの子がなんだ?」

酒呑童子「うちの子?あんた童て」

羅刹「違う!で、うちの子がどうした」

酒呑童子「そいつ桃太郎だろ!なんでかくまってるんだよ!」

羅刹「違う、こいつは桃鬼…桃太郎などという人の子とは違う…」

酒呑童子「桃鬼?違うの?ん?あれ?あ、肌があいつより黒い…」

羅刹「そう、違う…こいつは鬼の子、俺の息子…桃鬼だ」

酒呑童子「でも…あんた童貞じゃん?」

羅刹「童貞言うな」

赤鬼「頭、童貞だったんですか?」

羅刹「うるさい」

青鬼「頭は童貞…っと」

羅刹「メモるな!」

酒呑童子「まぁいいや…で、その子どうしたの?鬼じゃないよね?」

赤鬼「拾ったんすよ海で」

羅刹「こいつらがデカイ桃を拾ってきたんだ…そいつを真っ二つに斬ったら赤ん坊が生まれてな」

酒呑童子「よく無事だったね、その子」

羅刹「ああ、そういやそうだな…儂の刃がうまいこと外れたんだろうきっと…運のいい奴なんだこいつは」

酒呑童子「なるほど…でも、よく食べなかったねあんた」

羅刹「こいつはな俺を見ても怯えなかったんだ度胸あるんだよ…だから人の子かもしれんが儂が鬼の子として育てると決めたんじゃ…」

酒呑童子「そう…桃から生まれた桃鬼…桃から生まれた…あ!あいつも桃から生まれたって言ってた!」

赤鬼「あいつって?」

青鬼「ばか、桃太郎のことだよ」

赤鬼「あ、そっか」

羅刹「 桃から生まれた桃太郎…そして桃鬼…」

桃鬼「桃から生まれた奴が俺以外にも居た?」

羅刹「さらにお前と顔がそっくりだということだ…もしかしたら桃太郎はお前の双子の兄弟かもしれぬな…桃鬼」

桃鬼「俺に兄弟…そいつが桃太郎?」

羅刹「かもしれないということだ」

桃鬼「う、うん」

羅刹「いずれ其奴は俺たち鬼を倒しに来るだろう…」

桃鬼「そんなやつ俺が倒してやるよ!」

羅刹「できるのか?お前に兄弟を倒す…いや、殺すことが」

桃鬼「で、できる…よ…多分」

羅刹「多分か…しかして桃鬼よ…酒呑童子を倒した奴を倒せると言うのか」

桃鬼「倒せるさ!こんな酔っぱらいのネーちゃんくらい」

羅刹「だとよ」

酒呑童子「んーなら戦ってみるー?」

桃鬼「いいぜ、やってやるよ!」


青鬼「これより酒呑童子と桃鬼による一本勝負を行います!ルールは簡単相手が根を上げたら負け、では始め!」

酒呑童子「ういーひっく…酒うまぁ…ひっく」

桃鬼「酔っぱらいなんて余裕だ、うりゃ!」

酒呑童子「うぃー」

桃鬼「へ?避けた?」

羅刹「酒呑童子め酔いが回って来たか…厄介だの」

酒呑童子「ひっく…おーい小鬼ちゃんおかわりー!酒酒!」

赤鬼「へい!」

酒呑童子「うーサンキュー…うぃーひっく」

桃鬼「だぁあ!ふっ!はっ!やぁあ!!」

酒呑童子「うぃー、ふいっ…へい…ほりゃっ…ほいっとな!」

桃鬼「ぐぁ!」

羅刹「流石だな酒呑童子…桃鬼の攻撃を全て避け一撃を食らわせやがった」

桃鬼「ぐぅ…こんのぉおおお!!」

酒呑童子「うい…ほぉおおおおおお」

羅刹「マズイ…逃げろ桃鬼」

酒呑童子「ほぉおおおおおおおあたぁあああ!!!」

桃鬼「ひぃっ!」

羅刹「ぐふっ…」

桃鬼「親父…」

羅刹「ふぅ…間に合った…ったく…ふんっ!」

酒呑童子「いたーい!!」

羅刹「やりすぎだ酒呑童子」

酒呑童子「えー気持ち良かったのにぃ〜」

羅刹「俺の子を殺す気か?そんなことしたら…」

酒呑童子「ご、ごめんなさい…」

羅刹「わかったならいい…さて桃鬼…お前は酒呑童子より弱い、わかるな?」

桃鬼「うん…」

羅刹「お前は桃太郎より弱い…1年、1年だ…桃太郎が俺を倒しに来るのは早くても1年かかるだろう…そこでお前に修行の旅を命ずる…強くなれ桃鬼…」

桃鬼「はい…親父!俺頑張るよ!みんなを護れるくらい強くなる!」

羅刹「よく言った!桃鬼、儂より強くなり戻ってこい!」

桃鬼「はい!」

羅刹「今日は宴だ…暫く会えなくなるんだから今日は楽しむぞ!」

桃鬼「はい!」


羅刹「んぐ…もぐもぐ…ほら、もっと食え」

桃鬼「はい、もぐもぐあぐっごほごほ!」

羅刹「急いで食えとは言っとらん」

桃鬼「…んっ…ふぅそれにしても1人で大丈夫かな、俺」

赤鬼「大丈夫だってお前は強いし!それにもっと強くなるんだろ」

桃鬼「うん」

青鬼「そこで1人盛り上がってる酒呑童子なんて小突いたら倒せるくらいになってこいよ」

桃鬼「おう!」

青鬼「それにしても桃鬼が居なくなると寂しくなりますねー頭」

羅刹「…まぁ、そうだな…あ、お前らは一緒に行かせるからよろしくな」

赤鬼&青鬼「へ?」

羅刹「当たり前だろ相手は4人だ、まぁ正確には1人と三匹だが…だったらこちらも数は合わせないとな」

青鬼「まぁわかりますけど俺ら2人ついてってもあと1人どうすんです?」

羅刹「あそこにへべれけの連れてけ」

青鬼「酒呑童子を?」

酒呑童子「んー?なんか言ったぁ?小鬼ちゃん、ねぇねぇ…ふふふーん」

羅刹「桃鬼が旅に出る…酒呑童子、お前着いてけ」

赤鬼「頭、この気まぐれなへべれけ女が人に着いてくわけ…」

酒呑童子「んーいいよー」

赤鬼「いいのか!」

羅刹「感謝する…桃鬼、まずこいつより強くなれ、教わりながらな」

桃鬼「こいつに教わるって大丈夫なのか?」

羅刹「大丈夫、腕は確かだ…身をもって経験したろ?」

桃鬼「そうだけど」

酒呑童子「よろしくねーももちーん」

桃鬼「ももちんって…てか酒くせえ」

酒呑童子「ぐがー」

桃鬼「寝たー!?親父マジで大丈夫、この人で大丈夫!?」

羅刹「大丈夫じゃ大丈夫、こんな奴だが今の所お前より強いのは確かだ」

桃鬼「そうだけど」

羅刹「赤鬼も青鬼も着いてくんだ、安心せい」

桃鬼「う、うん」

羅刹「ふぁあ…さて気づけばあいつらも潰れておるしお開きして儂らも眠るとしよう…桃鬼、どうだ久々に一緒に寝るか?」

桃鬼「い、いいよ…1人で」

羅刹「そ、そうか…」

桃鬼「うん」

羅刹「じゃ、また明日…おやすみ」

桃鬼「うん…また明日…おやすみなさい」


語り手「自身にそっくりな桃太郎を知った桃鬼…兄弟かもしれないということに知る…戸惑いはあるが鬼を倒す桃太郎を倒してやると意気込んだ桃鬼であったが酒呑童子より強い桃太郎を倒す力はない…そこで鬼ヶ島に巣食う鬼達の頭首である羅刹は桃鬼に一年間の修行の旅を命じた…暫しの別れを惜しみつつも宴は盛り上がり皆眠りについた…そして旅立ちの朝を迎える」


羅刹「さぁ行ってこい桃鬼!」

桃鬼「うん!行ってきます!」

羅刹「お前ら頼んだぞ」

赤鬼&青鬼「ういっす!」

羅刹「酒呑童子お前もな」

酒呑童子「任せとゔぇええええええ…ぺっぺ」

桃鬼「ねぇ!ホントに大丈夫?親父!」

酒呑童子「大丈夫大丈夫〜私に任せんしゃい」

桃鬼「ゲロくせ酒くせ!寄るなー」

酒呑童子「赤鬼ちゃん!お酒プリーズ」

赤鬼「あいよー」

酒呑童子「ふぅ…口直し口直し…向かい酒向かい酒っと」

桃鬼「親父、なんか俺心配だよ」

羅刹「だ、大丈夫じゃ、行ってこい」

桃鬼「そんな微妙そうに言わないでよ」

羅刹「大丈夫だ!行ってこい!!」

桃鬼「う、うん…じゃあ…行ってきます」


語り手「こうして桃鬼は旅立った…一方、桃太郎はと言うと…」


桃太郎「僕らってかなり強いよなー!」

犬「そうですねー」

猿「マジ酒呑童子雑魚すぎる…ぷっ」

雉「こら失礼よ…確かに弱かったけどね」

猿「フォローなってないって雉ちゃーん」

桃太郎「酒呑童子…エ…いやなんでもな…」

猿「エロかったよなー!いやぁあのおっぱい!なんで揉まないで次行っちまったんだろーなぁ…倒した時一発ヤッとけばよかったなぁーあーあ、損したぁ」

桃太郎「倒すべき鬼に欲情するんじゃない…たとえエロくてもだ!この色欲猿が!」

猿「猿だもーん!はぁはぁウキー」

桃太郎「こいつ…」

猿「まぁまぁいいじゃん酒呑童子倒したんだしーマジで劇強桃太郎!よっ!日本一!」


語り手「浮かれていた…」


桃太郎「あーもう鬼退治とか速攻だねこれは!」

阿鬼「早くしろよー!」

吽鬼「待ってよお姉ちゃん〜」

SE(衝突音

桃太郎「あだっ!」

吽鬼「いったたた…あの大丈夫ですか?」

桃太郎「あー大丈夫大丈夫…そっちは平気?」

吽鬼「うん…」

阿鬼「おいおいなにしてんだよ吽ー」

吽鬼「お姉ちゃん…えっと…」

阿鬼「見てたから分かるよ、あ、えっとあんた大丈夫?」

桃太郎「あーうん…僕はなんと…」

阿鬼「あー!あんた!」

桃太郎「へ?」

阿鬼「桃太郎だろ!?酒呑童子倒したって言う!」

桃太郎「知ってるの?」

阿鬼「そりゃしってるよ!有名だもん!なぁ!吽ちゃん」

吽鬼「うん」

桃太郎「へへ…僕らってそんな有名なのかー」

猿「らしいぜ、きき」

犬「すごいですねー」

雉「こぉら自惚れないの、確かに私達強いから有名かもしれないけども」

猿「一番自惚れてんの雉だろ?」

雉「そんなこと……あるわよ」

雉「あんのかよ!」

吽鬼「すごい…お供の犬も猿も雉も居る…」

阿鬼「ばか、当然でしょ!お供なんだから」

吽鬼「あ、そっか」

阿鬼「ねーあんたら暇?遊ぼ?」

桃太郎「いや僕らは鬼を退治しないといけないから遊んでる暇なんて…」

阿鬼「そっか…」

桃太郎「あ…」

猿「いいじゃねぇか桃〜遊んでやれよー」

犬「僕も賛成です、たまには息抜きも大事ですし」

キジ「それもそうねー、桃、付き合ってあげなさいよ」

桃太郎「…仕方ない…君達何して遊ぶ?」

阿鬼「えーとねー何がいい?吽ちゃん」

吽鬼「影鬼…」

阿鬼「ふむふむ…ねーあんたら影鬼って知ってる?鬼ごっこの鬼が触る代わりに相手の影踏むやつ」

桃太郎「うん…なんとなくは」

吽鬼「日陰に入ると少しの間だけ自分の影隠して鬼に踏まれなくなるよ」

キジ「なるほどね…」

阿鬼「じゃあ、あたし達が鬼やるから先ずは日陰に入って」

桃太郎「あ、うん」

阿鬼「じゃあ始めるよー3.2.1、はじめー!ふははー逃げろ逃げろー!吽ちゃんあっちね」

吽鬼「うん…ま、待って〜」

桃太郎「ったく早く鬼退治しないといけないのに…」

猿「まぁまぁいいじゃないの息抜き息抜き!」

キジ「そーそー」

阿鬼「待て待てー!」

犬「き、来ましたよ!」

阿鬼「吽ちゃんそっち行ったよ!」

吽鬼「う、うん!」

桃太郎「挟み討ちだとー!?」

阿鬼「ふふふ…行け吽ちゃん!」

吽鬼「影踏んだ!」

桃太郎「あーくそ負けたー!次は僕が鬼か」

阿鬼「んーまだ全員捕まえてないからまだ私達が鬼だよー」

桃太郎「なるほど…じゃあ、そこら辺で休むとしよ…ん?あれ?動けない…」

阿鬼「あれー?行ってなかったっけ?影踏まれたら動けなくなるって…はい、ワンちゃんつっかまえた!」

犬「くっ」

猿「おい嬢ちゃん!どーゆうことだよ!」

吽鬼「影踏んだ…」

猿「あ!」

阿鬼「どーゆうことってあんたら桃太郎一行でしょ?へべれけだけどかなり強いと言われる酒呑童子倒したって言うじゃん?なら戦ってみたいじゃん!鬼としてはさ!」

桃太郎「あ、ツノ!くそお前ら子供だと思って甘くしてたら騙したな!」

阿鬼「騙される方が悪いんだよー、ね、吽ちゃん?」

吽鬼「うん、ごめんね?」

桃太郎「くっ…キジ、逃げろ!逃げて助けを」

キジ「え、ええ!飛ぶのは苦手だけど脚には自信が…あいたっ!あっれ?」

阿鬼「はーい残念!影踏んだ!大体あんた達ちょろすぎ!酒呑童子倒したってほんと〜?雑魚いよマジで!弱すぎるー!ねぇ!吽ちゃん!」

吽鬼「うん、ホントに雑魚だね…子供に甘いとかそんなんじゃなくて普通に弱い…幼稚な遊びで動けなくなる妖術すら破れないなんて酒呑童子倒したなんて信じられないよ…修行し直した方がいいね…うん…なんだろ…鬼退治?無理だよ…諦めなよ…死ぬよ?うん…いっそここで死ぬ?殺してあげるけど、うん」

阿鬼「うわぁーキツー吽ちゃん…いつもはこんなんじゃないんだよー?まぁ弱いあんたらのせいだねー!とりあえずボコるけどいい?答えは聞いてないから!あははは!せーの!ほらぁ!」

桃太郎「うぐっ!」

阿鬼「吽ちゃんもほら」

吽鬼「……」

桃太郎「ぐっ」

吽鬼「…ふふ」

桃太郎「ぐはっ!」

吽鬼「…ふふふ」

桃太郎「あがっ!」

猿「桃…おい!なんで桃ばっかり!」

阿鬼「んーさぁー?」

吽鬼「お兄ちゃんが悪いんだよ弱いくせに…」

桃太郎「うぐっ…がはっ!」

キジ「もうやめて」

吽鬼「………」

犬「桃太郎さん…」

阿鬼「あーあー吽ちゃん聞こえてないや」

吽鬼「………」

桃太郎「…はぁはぁ…がっ…ぐっ…ごほっ」

阿鬼「吽ちゃん殺すなよー、あんたらとりあえず生かしておいてあげるよ…強くなったらまた遊んでもらうからよろしくー」

吽鬼「…ふぅ…」

阿鬼「あ、終わった?」

桃太郎「……っ…」

阿鬼「おーい生きてるー?」

桃太郎「…ぅっ…ごほごほっ」

阿鬼「おー生きてるーえらいねーよしよし」

桃太郎「やめ…」

阿鬼「あん?んだよ雑魚」

桃太郎「ぐふっ…」

阿鬼「負け犬の癖にダメだよそんな目…桃太郎ちゃん?まぁそこそこ楽しめたからもういいや…吽ちゃん帰るよー」

吽鬼「うん…じゃあねお兄ちゃん達」

桃太郎「…くそ…」

猿「おい…大丈夫か桃」

キジ「桃…」

犬「桃太郎さん…」

桃太郎「…強く…なりたい…」

猿「あん?」

桃太郎「強くなりたい!こんなんじゃダメだ!猿、犬、キジ、僕らは自惚れてた…強くなろう、そうだな…1年、1年だ、1年修行して力をつけよう…強くなろう、もっと!もうどんな鬼にも負けないように」


語り手「桃太郎一行は旅の途中で2人の子供に出会う…姉の阿鬼、弟の吽鬼…遊びに誘われ付き合うも影鬼遊びは二人の罠だった…阿鬼と吽鬼は鬼だったのである…2人にコテンパンにやられた桃太郎一行は1年の修行をすることにした…鬼退治をする力をつけるために桃太郎一行は歩を進めた…そして1年の時が流れた…旅の途中、阿鬼と吽鬼と再会するがあっさり勝ったのでした…さて、桃鬼達はというと…」


桃鬼「どうだ!酒呑童子!」

酒呑童子「んーいいんじゃない?」

赤鬼「またまたぁ酒呑の姐御強がっちゃってー」

青鬼「素直に桃鬼の方が強いって認めろよ〜」

酒呑童子「えーやぁーあだ」

赤鬼「ほらほら酒だぞードブロクだぞー」

酒呑童子「うぅー酒ぇ」

赤鬼「認めるか?認めるか?認めるか!さすればこいつをや」

酒呑童子「認めるから酒ぇ!」

赤鬼「よし、良い子だ」

酒呑童子「ふふー酒ぇーうまうま」

桃鬼「お前この一年でこいつの扱い上手くなりすぎだろ」

赤鬼「こんくらい余裕っすよ」

桃鬼「お、おう…まぁでもなんか…無理くり俺の方が強いって認めさせた感、気に食わねぇーなぁ」

酒呑童子「そゆなことないほー」

桃鬼「呂律回ってないぞ」

酒呑童子「んぐっ…ふはー!桃ちんは私なんかより全然強くなったよー」

桃鬼「マジで?」

酒呑童子「マジで」

桃鬼「んー信用ならん」

青鬼「そりゃこんな酔っぱらいに言われてもねー」

酒呑童子「青ちゃんなんだってー?」

青鬼「別に…ほいっ」

酒呑童子「酒ぇえええ!ふにゃー」

桃鬼「こいつ…まぁいいや、親父との約束の一年が経った…この旅で俺たちは強くなった…きっと桃太郎を倒せるくらいにな…これから鬼が島に戻る…桃太郎が来る前に戻り迎え討つ!」

赤鬼「おお!」

青鬼「でも桃鬼、こっから鬼が島にって…かなりあるぞ」

桃鬼「が、頑張ろう」

青鬼「お、おう…とにかく桃太郎が来る前に急いで戻らなきゃな」

桃鬼「ああ、よし行くぞ!」

赤鬼&青鬼「りょーかい!」

酒呑童子「ぐがーぐがーふしゅるるる…ふへー」

桃鬼「おい、赤、青、そいつ吊るして持ってけ」

赤鬼&青鬼「へい」


語り手「1年の修行により強くなった桃鬼達、桃太郎が鬼ヶ島に来る前に戻ると帰りの足を速める…先導を切る桃鬼、赤鬼と青鬼に豚の丸焼きのように吊るされ運ばれる酒呑童子、果たして桃鬼達は桃太郎の鬼ヶ島襲来に間に合うのか」


語り手「間に合わなかった…」


桃太郎「終わりだ羅刹!」

羅刹「ぐぅ…これ程とは…ぬん!」

桃太郎「甘い!」

猿「おりゃあ!」

犬「はぁあ!!」

キジ「今よ桃!」

羅刹「くっ!離せ!虫けら共ぉお!!」

桃太郎「はぁああああ!!」

羅刹「ぐぁあああ…くっ…な!?この感じは…ふっ…桃太郎残念だったな」

桃太郎「今更何を言っている…お前はもう終わりなんだぞ」

羅刹「終わりはお前さ…同胞に殺されるがいい」

桃太郎「は?なんだ?同胞?どういう意味だ答えろ!」

羅刹「すぐわかるさ…がふっ……」

桃太郎「……なんなんだ一体…まぁいい…これで終わったんだ…」

桃鬼「親父ー!帰ってきたぞー!!」

青鬼「おい急ぐなって」

酒呑童子「ねー私なんで吊るされてんのー?」

桃鬼「な!?」

赤鬼「どうした?」

桃鬼「親父…?親父…おい、嘘だろ…おい!」

青鬼「あ、おい!」

桃鬼「親父ー!!」

桃太郎「誰だ?」

桃鬼「おい!親父!嘘だろ起きろっておい!親父ー!!」

桃太郎「おいお前…羅刹のことを親父って、見た所人間のようだが…」

桃鬼「うっ…うう…」

桃太郎「おい…」

桃鬼「…か…」

桃太郎「は?」

桃鬼「お前かー!!!」

桃太郎「ちょっ!おい!待て!いきなりなんだ?」

桃鬼「よくも親父をー!!」

桃太郎「親父?親父って羅刹がか?お前は人間じゃないのか!?」

猿「おいお前ら行くぞ!桃が危ねぇ!」

犬「はい!」

キジ「ええ!」

猿「おい!桃から離れやがれ」

犬「そうです!こんなことやめるんです!」

キジ「同じ人間同士で争うのはやめなさい!」

桃鬼「うるせぇえええ!!!邪魔ダァア!!!」

猿「あがっ」

犬「ぐぁっ」

キジ「きゃあ」

桃太郎「お前ら…」


語り手「鬼ヶ島に帰ってきた桃鬼達だったが一足遅かった…桃鬼の父羅刹は桃太郎の手にかけられ死した…父の死に感嘆し…そして激昂し桃太郎に襲いかかる桃鬼…それを止めようとした猿、犬、キジの三匹だったが歯が立たず一瞬にして命を奪われた…」


赤鬼「すげぇ…」

青鬼「これが桃鬼の力…桃太郎のお供を一瞬で」

酒呑童子「ねー解いてよー」

桃太郎「ぐっ…強い…」

桃鬼「このぉおおおお…!!」

桃太郎「な、なんなんだよ!お前!人間じゃないのか!?僕らが争う理由なんて」

桃鬼「ある!」

桃太郎「は?同じ人間だろ!?」

桃鬼「違う!俺は桃から生まれた桃鬼だ!俺は鬼に育てられた!お前に殺された羅刹…その息子だ!」

桃太郎「なっ!?」

桃鬼「驚いたかよ…」

桃太郎「………」

桃鬼「お前と俺は同じ…兄弟…なんだよ…産まれるところが違っただけ…桃の子の一人は人の子…もう一人は鬼の子…そしてお前は人のために鬼を倒した…いや、殺した!」

桃太郎「それは」

桃鬼「わかってるよ…人を守るためだもんな…でもな鬼が全員悪いなんて…害なんてこと…ないんだよ!少なくとも俺の知ってる鬼達はお気楽な奴も居るし変に冷静ぶってるのも毎日へべれけの乳でかな奴も居る変な奴ばっかだけどみんないい奴なんだよぉ…」

赤鬼「桃鬼…」

青鬼「桃鬼…」

酒呑童子「ねーいい加減降ろし…んー?あんたらなんで泣いてんの?」

青鬼「うるさい」

桃太郎「でも…鬼は…」

桃鬼「でも…鬼は怖いし…人から色々奪うし…だろ?」

桃太郎「そうだ…」

桃鬼「そんなことない!人と仲良く出来る鬼だっていたさ!昔、親父に聞いたことがあるんだ…キビト村…1年の旅の中で行ったんだ……こいつら見ても怖がらねぇし、そこにいる鬼達もみんないい奴だったし人間と笑って暮らしてたよ…でも暫くして聞いたんだ…その村の鬼が全滅したって…殺ったのは桃太郎って…なぁ、あいつらが何かしたか?鬼だからって理由で殺すのか!?なぁ!」

桃太郎「そんなことは…僕はいい世の中にする為に鬼を…」

桃鬼「いい奴でもか!無害でもか!」

桃太郎「そ、そうだ…僕は鬼を全て退治するって、そう決めたんだ…」

桃鬼「ふざけんな!鬼は居るだけで悪か!?」

桃太郎「そうだ!人を恐怖に陥れる鬼は悪だ!だから僕は鬼を全て退治する!」

赤鬼「桃鬼〜いい加減やっちまえよー」

青鬼「ばか!黙ってろって…」

桃鬼「うるせぇ!お前らは黙ってろ!あと手出ししたらぶっ飛ばす」

青鬼「ほら…」

酒呑童子「ねー降ろし」

青鬼「あーはいはい、降ろしてやるから黙ってろ」

酒呑童子「ういー」

桃鬼「馬鹿どもめ…ふっ…桃太郎……お前産まれたのはいつだ?」

桃太郎「卯月だが…」

桃鬼「そうか…鬼を全て退治するって言ったな」

桃太郎「ああ…」

桃鬼「俺もか?」

桃太郎「お前は人だろ!」

桃鬼「いや、俺の親父は羅刹…鬼だ…俺は人として産まれたんじゃない、桃から生まれた鬼…桃鬼…鬼なんだよ」

桃太郎「桃鬼…」

桃鬼「俺の生まれは皐月…さて質問…桃太郎…あんたは俺を鬼として退治、いや殺せるか?ねぇ…お兄ちゃん…」

桃太郎「くっ…」

桃鬼「俺はあんたのお供3人殺してるんだ…難いだろ?殺したいだろ?退治、殺してきた鬼と同じだろ?簡単だろ?俺は鬼なんだよ」

桃太郎「そうだ…こいつは俺の仲間を…でもこいつは…僕の弟…で…鬼で…鬼…だから…退治……うわぁあああああ!!」


語り手「仲間を奪われたこと、桃鬼という弟の存在、自分がしてきた鬼退治…それらに対し色々な感情が桃太郎を襲い…混乱した桃太郎は桃鬼に斬りかかった…2人の会話はピタリと止み、剣の音だけが飛び交っていた…見守る桃鬼の仲間、斬り合う桃鬼と桃太郎…そして…」


桃太郎「はぁ…はぁ…僕は間違ってたのか?鬼を全て退治し人が安心してくらせる世の中にしようと…」

桃鬼「間違ってるよ…なんで鬼が全滅しなきゃいけない…いい奴も悪い奴も鬼なら殺すなんて…お前の方が極悪な鬼じゃねぇか!」

桃太郎「……ふっ」

桃鬼「あ?どうした?」

桃太郎「ふふふふふ…はははははは」

桃鬼「なんだよいきなり」

桃太郎「ふぅ…もういい…僕の正義は間違ってたんだ…桃鬼…僕を殺せ…鬼の子よ一番最悪な鬼のこの僕を退治しろ」

桃鬼「ああ…さよなら…兄ちゃん」

SE(斬撃音

桃太郎「……僕は正義の桃太郎になれなかった…鬼達を護ったお前の方が正義の桃太郎らしいや……弟がいるなんて思わなかった…もし一緒に居れたら………」


語り手「一閃…赤く飛沫を上げる…崩れ落ちる桃太郎…息を引き取るまでに…弟と一緒に居たら…もしもを語った…」


桃鬼「もしも…なんてねぇよ…そうゆう運命だったんだ…」

赤鬼「おい!やったな桃鬼!桃…鬼?」

青鬼「桃鬼…お前なんで…俺らはもう桃太郎なんか気にせず生きていけんだぜ…頭だってきっと今頃喜んでる」

桃鬼「わかってる…わかってるよ…殺された鬼達…親父の仇取った…桃太郎を倒した…俺は桃太郎より強くなって倒したんだ…俺は……殺したんだ兄貴を……唯一の兄弟を……家族を…親父も兄弟も居ない…独りだ俺…」

青鬼「ばか!俺もそこの赤いのも血は繋がってないけど頭と同じようにお前のこと家族だって思ってるよ!俺ら居るだろ!」

赤鬼「そうだぞ桃鬼!お前は俺らの弟みたいなもんさ」

青鬼「ついでに酒呑童子ももう家族みたいなもんかな?」

桃鬼「お前ら…うぁっぷ!」

酒呑童子「よしよし桃ちんあたしの胸使っていいから泣け泣け!」

桃鬼「く、くるじぃー」

赤鬼「羨ましい」

青鬼「おい」

桃鬼「は、離れ…」

酒呑童子「桃ちん…いや桃鬼…あんたは頑張ったよ…お父さんを殺した桃太郎は兄貴でなんとも思わない憎いだけ、敵って思ってたけど殺したら色々思うことあるよね…たった一人の兄弟なんだから…だから桃鬼…泣いていいよ…お疲れ様」

桃鬼「なんで…こうゆう時にシラフなんだよ…くそ…うっ…うわぁああああ」

酒呑童子「ん、よしよし」


語り手「戦いは終わった…そこには勝者の喜びの声は無く…広い鬼ヶ島に一人の少年…鬼の鳴き声がこだました…そして桃太郎との戦いから3日が経過した」


赤鬼「えーそれでは頭が居ないのは」

青鬼「おい馬鹿!えー桃太郎に打ち勝ち、我々鬼達は平穏な日々を取り戻しました…旅に出て…一年間色々あり…鬼ヶ島に戻り…」

酒呑童子「もー飲んでいいー?」

青鬼「いや話がまだ」

酒呑童子「かんぱ〜い!祝勝会だよいえー!」

青鬼「おい…ま、いっか」

酒呑童子「ぷはーお酒は美味いのーふへへー、桃ちんも飲め飲めー」

桃鬼「あ…」

赤鬼「酒呑童子、桃鬼は酒飲めないって」

桃鬼「んぐっ!」

青鬼「あ…」

桃鬼「ぷはー」

青鬼「桃鬼…大丈夫か?」

桃鬼「まっじぃ…酒呑童子も親父もよくこんなの飲めるなー」

酒呑童子「まだまだガキンチョってことよ桃ちん」

桃鬼「んだとー!」

酒呑童子「ぷっ」

桃鬼「ぷっ…ふはは」

酒呑童子「あっははははは」

青鬼「もう平気みたいだな」

桃鬼「ああ」

赤鬼「心配だったんだぞ〜…戦いが終わって爆睡して起きて元気ないの桃鬼だけで…」

青鬼「桃鬼…桃太郎…兄貴のことだろ?」

桃鬼「うん…親父は桃太郎に殺されて…それで俺はその桃太郎殺して…親父と殺された鬼達仇取って桃太郎から鬼達護ってそれで終わりなんだけど…なんかあの時そうじゃなかったんだよ…なんだろう…全て終わって独りになった気がしたんだ…でもお前らが居るんだよな」

青鬼「そうだよ」

桃鬼「そんでさ、あん時なんか泣いちまって、酒呑童子に言われてわかったよ…俺やっぱ嬉しかったんだよ兄ちゃんが居ることが…でも…敵だった…しょうがないことだったんだ」

青鬼「そうだな…しょうがない…ことだ」

桃鬼「うん、しょうがない…よし…もう大丈夫…赤!とりあえず口の中気持ちわりぃお茶!」

赤鬼「へい!」

青鬼「ははは…元気でなによりだ」

桃鬼「ありがとうな青、赤」

青鬼「ん?」

桃鬼「なんでもねぇよ…あのさちょっと考えてることあるんだけど…」

青鬼「なんだ?」

桃鬼「あーいいか…また今度で」

青鬼「…そうか」

桃鬼「あ、酒呑童子の奴気づいたら寝てやがる…」

青鬼「ホントだ」

桃鬼「ったく…ほら酒呑童子こんなとこで寝るな…あっち行って寝ろ!あっち布団あっから」

酒呑童子「あー行かないで王子様!」

桃鬼「どんな夢見てんだよ…えっと、運ぶ…うわっ!」

酒呑童子「離さないわよ!ここで既成事実を」

桃鬼「ちょ!離せ酒呑童子!ち、力強え…」

酒呑童子「王子様!チュー」

桃鬼「ちょ!待て!酒呑童子!起きろ!待て待て待て待て」

酒呑童子「ちゅぅううう」

桃鬼「イヤァアアアア」

酒呑童子「ちゅっ」

青鬼「あ…」

赤鬼「羨ましい」

青鬼「違うだろ」

桃鬼「あ、俺の初……あああ…」

青鬼「大丈夫か?」

桃鬼「大丈夫じゃねえよ!あーくそ!酒呑童子てめー、返せ!俺の大事な!てか起きろー!」

酒呑童子「うふふふふ…ぐがー」

赤鬼「幸せそうな寝顔でいらっしゃいます」

桃鬼「くそー!もうヤケだ!赤!酒だ!」

赤鬼「へい!」

青鬼「おい、やめとけって」

桃鬼「うるせー!」


語り手「戦いが終わり…桃鬼の気持ちの整理もつき、いざ祝勝会…だったが潰れた酒呑童子の寝相により桃鬼の初接吻が奪われる…祝勝会は一転、桃鬼のヤケ酒大会へとなったのでした…そして一夜が明け翌朝」


桃鬼「あれ…なんだ…ん?むにゅ?むにゅむにゅ…柔らけえ…」

酒呑童子「ん…」

桃鬼「ん…って…ん?え?酒呑童子!?な、なんで?あ、あったまいってぇー」

酒呑童子「んーあー…んっ…ふわぁー」

桃鬼「お、おはよう…」

酒呑童子「お、おはよう…ってなんで桃ちんいんの?」

桃鬼「さ、さぁ?」

酒呑童子「あれ?なんでこんなはだけてんのわたし…ひょっとして…」

桃鬼「してねぇよ!何もしてねぇよ!俺を見るな!てか、はだけてんのはお前の寝相だろ!」

酒呑童子「ふーん」

桃鬼「なんだよ」

赤鬼「おはようございまー…お邪魔しまし」

桃鬼「待て!なんもねぇから!」

青鬼「朝っぱらから小ボケかますな赤…桃鬼おはよう…具合はどうだ?」

桃鬼「えっと頭いてぇ…あと昨日のこと途中から覚えてない」

赤鬼「えーと…酒呑童子の夢に巻き込まれ初めての接吻奪われヤケ酒しそのご泣いたり笑ったりですぐに潰れて一番近くの寝室に運びました…酒呑童子がなんでここに居るかは謎です…寝ぼけて来たんじゃないですかねー」

酒呑童子「桃ちん私とチューしたの?」

桃鬼「わぁーわーわー」

酒呑童子「初めてだったんだーふふふ…まぁ接吻の一回二回減るもんじゃないしー気にすんなよー」

桃鬼「減るわ!気にするわ!」

青鬼「まぁまぁ…ところで桃鬼…お前昨日考えてる事あるって言ってたけどなんだよ…今度じゃなく話してみろよ…気になるから」

桃鬼「ん…あー…えっと…人間の村に行こうと思う」

赤鬼「は?」

酒呑童子「はぁ?」

青鬼「はぁあ??お前それマジか?」

桃鬼「マジ」

青鬼「人間の村って言っても一体何処に行く気だよ…前に行ったキビト村か?」

桃鬼「いいや…桃太郎の育った村」

青鬼「は?一体どーして?どうしてお前の親父殺した奴の育った村に行くってなるんだよ」

桃鬼「俺って鬼か?」

青鬼「鬼…だな」

桃鬼「人か?」

青鬼「人っちゃ人だな」

桃鬼「だろ?俺はどっちでもあるんだよ…だからちょっと気になったんだよ人の暮らしっての…俺と桃太郎って兄弟だけあって結構似てるだろ?」

青鬼「そりゃまあ…」

桃鬼「だからさちょっとの間、桃太郎になりすまして人と生活して人ってどんなか知りたいんだよ、大丈夫、すぐ帰ってくるさ」

青鬼「でも…」

酒呑童子「いいんじゃないー行っといで桃ちん」

青鬼「そんな適当な」

酒呑童子「いいんだよ適当でー」

赤鬼「いいんだよ適当でー」

青鬼「乗っかってんじゃねぇよ」

酒呑童子「好きにしたらいいよ、桃ちん…私らはここで待ってるからさ…行っといで」

桃鬼「うん…」

酒呑童子「どしたの?」

桃鬼「なんかシラフの酒呑童子まともすぎて…違和感」

酒呑童子「なんだーまともでいけないかー」

桃鬼「いや別にそういうわけじゃ」

酒呑童子「酒持ってこーい!」

赤鬼「へい姐御!」

青鬼「あーあー変なスイッチ入れちゃってー」

桃鬼「まぁこれが普通なんだよ」

青鬼「で、いつ出るんだ…」

桃鬼「ああ、明日の朝出ようと思う」

青鬼「そっか…じゃあ今日は楽しむか!ほら!桃鬼ボサッとすんな!行くぞ!」

桃鬼「お、おう」

青鬼「おーい!俺たちも混ぜろー!」

酒呑童子「おいでおいでー!宴じゃー!」

赤鬼「おー!」

桃鬼「ふっ…はははは」


語り手「桃太郎として暫く桃太郎のいた村に行き過ごすことを決めた桃鬼…仲間と少しの間離れ離れになる為、今宵は昨日以上に多いに飲み、食い、笑った…そして翌日」


赤鬼「これ桃太郎の村までの地図」

青鬼「これ持ってけ」

桃鬼「んだこれ?でかいな」

青鬼「桃太郎の親に渡してやれ」

桃鬼「う、うん…ありがとう青、赤、酒呑童子も…それじゃあ行ってくる」

酒呑童子、赤鬼&B「行ってらっしゃい」


語り手「こうして桃鬼は旅立った…数日経ち桃鬼はようやく…桃太郎の育った村に着いた」


桃鬼「結構遠かったな…おお…人がいっぱいだ…」

男「なぁ!あれって、もしかして」

女「うん、そうよ、桃太郎よ!帰って来たんだ!鬼を倒して!」

男「これでもう鬼に怯えないで済むんだ!」

女「ええ!ありがとう桃太郎!」

男「ありがとうー!」

桃鬼「なんか無茶苦茶感謝されてる…そんなに鬼が怖いのか…あの…俺…じゃなかった…あいつ…僕か…僕の」

女「はい?」

桃鬼「僕の家はどっちだ?」

女「え?」

男「馬鹿、桃太郎は疲れてんだよ!えっとあっちです!あそこにある家です」

桃鬼「ありがとう…よし、あそこか…結構遠いな…はぁはぁ……ふぅー着いた…えっとここは俺ん家だから…ふぅ…ただいまー」

爺「桃…桃太郎なのかい?婆さん!婆さん!」

婆「なんだよ爺さん…うるさい人だね〜」

爺「桃太郎が帰って来たんだよぉ!」

婆「…桃…ホントに桃なのかい?

桃鬼「ああ…お…僕だよ…」

婆「そうかい…ほれ…いつまでもそんなとこいないでお入り」

桃鬼「うん」

婆「おかえり」

桃鬼「…ただいま」

爺「立派になって…ぅっううーぐす」

婆「爺さん泣くんじゃないよみっともない…桃やありがとう…鬼を退治してくれて…どれどんな旅だったんじゃ?土産話をいっぱい聞かせておくれ」

桃鬼「えっと…まず…これ」

婆「なんじゃ重いね〜どれどれ…おお!こんなに財宝が!」

桃鬼「青めこんなの持たせやがって…」

婆「どうしたんじゃ?」

桃鬼「な、なんでもないよ!鬼達がたくさん財宝持ってたから持てるだけ持ってきたんだ」

婆「そうかい…ありがとうねぇ…ほれ、きびだんごでも食いな…好きだろう?」

桃鬼「うん…あぐっ…なんだこれ旨え…」

婆「なんだいその反応…初めて食べたんじゃあるまいし」

桃鬼「ひ、久々だったから…」

婆「そう…もっと話を聞かせておくれ桃や…」

桃鬼「うん…」


語り手「桃鬼は話した。自身のしてきた旅の事を…仲間の3人は犬、猿、キジに置き換え…まるで桃太郎かのように…」


婆「大変だったねぇ…でもなぜだろうねぇ…違うかのぅ…あんた…桃太郎じゃ……」

桃鬼「……ごめんなさい!俺……」

婆「やっぱりそうかい…似てるけどなんか違うと思ったよ」

桃鬼「…俺!…あいつの弟なんです…桃鬼って言います」

婆「あらまぁ…」

桃鬼「でも…俺は鬼の子です…鬼に拾われて育てられました…親父は桃太郎に殺されました……そして…俺は桃太郎を…兄貴を…あんたらの息子を…殺し…ました…」

婆「……そんな…」

桃鬼「ごめんなさい…言っても許してなんてもらえないって思ってる…許せなかったんだ…鬼でもいい奴は居るのに無差別に殺す…あいつが…だから…殺し…た…」

婆「…そうかい……そういう…運命だったのかもしれないねぇ…桃鬼や…ありがとうねぇ…」

桃鬼「は?な、なんで?俺はあんたらの」

婆「もう…いいんじゃよ…色々あったんじゃろ?それに思うことが色々と…でなければ此処に来ておらん…そうじゃろ?」

桃鬼「……う、うん…でも、なんでありがとうって…?」

婆「桃太郎が帰ってこんのは残念じゃ…桃太郎が生きてるのか死んでるのかわからなくて不安じゃった…死んでしまったが何も知れないよりかは最期を知れてよかったよ…儂はお前を恨まんよ…運命だったと受け止める…お前は人の子じゃが鬼なんじゃろ…鬼を倒すのが桃太郎じゃ…その敵の鬼じゃったんじゃ…恨むなら神様を恨むとするよ」

桃鬼「婆さん…」

婆「鬼にもいい鬼がいるとはのう…鬼は皆悪いと思うとったよ…すまぬなぁ」

桃鬼「い、いや」

婆「お前はいい鬼じゃよ桃鬼…もし1つ願いを聞いてくれるならお前に鬼退治を頼みたい…桃太郎が成しえなかったこと…勿論無差別ではない…悪い鬼だけじゃ…」

桃鬼「そんなの…」

婆「人が鬼を怖れず良い鬼と仲良く暮らせるなら…よい世の中になる…頼む…悪い鬼を倒す桃太郎になっておくれ」

桃鬼「……わかった」

婆「ありがとう…」

桃鬼「じゃあ…もう行くから…」

婆「桃鬼!」

桃鬼「なに?」

婆「吉備団子を持って行き…これがあれば仲間もすぐできるじゃろう」

桃鬼「ありがとう…でも大丈夫…仲間ならもういるさ」

婆「そうかい…」

桃鬼「じゃあ…お邪魔……い、行ってきます!」

婆「いってらっしゃい」


桃鬼「おーい!」

赤鬼「桃鬼だー!」

青鬼「早くねーか?はは」

酒呑童子「おかえりー」

桃鬼「ただいま!!はぁー疲れた…」

青鬼「おつかれ、ずいぶん早かったな…」

桃鬼「すぐ帰ってくるって言ったろ?」

青鬼「まぁ早すぎるくらいすぐだったな」

酒呑童子「で、どうだったー?」

桃鬼「んーやっぱり此処が一番…人には人の、鬼には鬼の…それぞれ居るべき場所あるんだよ…俺にはそれが此処だったってこと…だから俺は此処にいる…俺の居場所は此処とお前らが居るところだ」

酒呑童子「ふふ〜」

赤鬼「いえーい」

青鬼「ふっ」

桃鬼「さて、お前らまた旅に出るぞ!」

青鬼「は?」

酒呑童子「おー!」

赤鬼「おー!」

青鬼「お前ら…桃鬼…どこいく気だよ?」

桃鬼「ん?鬼退治!」

青鬼「はぁー??」

桃鬼「鬼にもいい奴は悪い奴居るだろ?人もそうだと思う…俺ら鬼は人よりちょっと怖いし強いだけだ…そんな中で悪い奴居るからみんな怖がるんだ…だから悪い鬼倒し行く」

青鬼「急にどうしたんだよ」

桃鬼「桃太郎の婆さんに会った…良い人だった…頼まれたんだ悪い鬼を倒してくれって」

青鬼「鬼を退治するって…倒すだけじゃないんだぞ!やり返されないように殺すんだぞ!?同族をだ!」

桃鬼「鬼として倒さないさ…俺は人の子として悪い鬼を退治する…その名は…桃太郎…」

青鬼「……兄貴の名前…意思を継ぐのか?」

桃鬼「そんなんじゃない、第一あいつは全滅させようとしただろ?俺は悪い鬼とだけだ…意思を継ぐわけじゃない、ただ名前借りるだけだ」

青鬼「…そうか…」

桃鬼「んで…赤が猿、酒呑童子がキジで…青、お前犬な」

青鬼「はっ?」

赤鬼「ウキー」

酒呑童子「ケーン」

青鬼「ノリノリかお前ら!」

桃鬼「よし!行くか!」

赤鬼「ウキーキキー」

酒呑童子「ケンケーン」

青鬼「おい待てって…」

桃鬼「おーい置いてくぞー」

赤鬼「早く来いよー」

酒呑童子「ほれーこいこいー青ワンコー」

青鬼「…ちっ…ったく……ワン!」


語り手「こうして桃の子にして鬼の子は仲間を連れ旅立ちました…悪い鬼を倒すために…桃鬼は桃太郎として…犬、猿、キジという名の鬼を連れ…桃太郎さん桃太郎さんお腰につけた吉備団子…無くても仲間は居るさ…桃太郎さん桃太郎さん…鬼の子だとしても…悪を倒すさ…桃太郎さん…桃から産まれた鬼の子と仲間は旅路を進んでいく…しっかりとその脚で…」


桃鬼「我は桃から産まれた桃太郎!悪の鬼を倒す者!」

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