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008 お願い(ダイヤード4歳)

楽しんでいただけると幸いです。

 ダイヤードは、昨夜の話の続きがしたいからと庭園でオリヴィアとお茶をすることになった。侍女も遠巻きに離され、会話が漏れることがないように配置してあった。


「母上。お仕事は良いのですか?」


「仕事といってもタターニア妃の補助くらいですから心配はありませんよ。それにタターニア妃の仕事だって陛下の補助ですからね」


 オリヴィアの発言にダイヤードは驚いた。


「そうなのですか? でも母上はいつもお忙しそうですよ?」


「国内のことであればタターニア妃より私のほうが融通利きますからね。陛下に煩わせるほどのない仕事を優先してこなす為、国内情勢を把握するための打ち合わせがあります。後はパリジット子爵地を持っているので、代官とのやり取りがあるぐらいですよ」


 オリヴィアはダイヤードが思っていたより優秀であった。


「母上は実は凄かったのですね」


「実はも何も凄いのです」


 オリヴィアは心外だと言わんばかりにダイヤードをねめつける。


「そ、それはそうと名前を決めました」


 ダイヤードは話題を逸らした。


「まぁ! どんな可愛い名前を付けたのですか?」


「日本の言葉で【光輝(こうき)】としました。意味は僕の道を照らしてくれたからです」


「コーキですか。素敵な名前だと思いますよ」


 オリヴィアは『可愛い』から『素敵』に言い変えたが、ダイヤードが気付く様子はなかった。


「はい! ありがとうございます」


「ということは、ダードは歩んで行く道を決めたのですか?」


 オリヴィアは居住まいを正して問いかけた。


「はい。僕は王を目指し、王として在り続けることに決めました。光輝の知識に王を目指すゲームや王として内政に費やす小説をよく読んでいたのです。光輝の影響がないと言えば嘘になりますが、僕の意志で決めました」


 ダイヤードは自分の想いを目に込めて見つめた。


「そう。コーキはダードの半身なのでしょう? なら、コーキの考えや知識を基にするのは、自然なことでしょう」


 オリヴィアは静かに微笑むと、ゆっくりとお茶を口に含んだ。


「そうですね。光輝は僕ですから」


 オリヴィアに半身と言ってもらえたことが、ダイヤードは誇らしかった。


「僕自身で色々と考えていたのですが、出来ることが少なすぎて母上に協力をお願いしたいのです」


 ダイヤードは自身が抱えている悩みを話した。


「ダンバルトから勉強を教わる以外のことですね。話してごらんなさい」


「秘密裏に僕に勉強を教えてくれる方をあてがって欲しいです」


「なるほど。五歳から勉強を上手くサボることで評価も下がるし、他のことに時間を使うのですね。いいでしょう。勉強は私が教えます」


 オリヴィアの頭の回転の良さにダイヤードは驚いた。


「母上が、ですか?」


「ええ。私も貴族教育を受けていますし、学園でも主席の成績を修めているのですよ」


「そうなんですか! 凄い! よろしくお願いします」


 ダイヤードは願ってもみない申し出に喜んだ。秘密という観点からオリヴィアは最適だったからだ。


「あと、ユークリッドの周辺に母上の手の者を送り込めないでしょうか?」


「仕返しをするわけではないのですよね?」


 オリヴィアは平然と言う。恐らく、考えたことがあったのだろう。


「はい。僕は弟のユークリッドのことを何も知らないのです。どういった育てられ方をして、何を考えているのか知りません」


「なるほど。既に侍女を一名ほど送り込んでいますが、まだ信頼を得るための準備段階です。大まかには報告が来ていますので、後で報告書として渡しましょう。それと、報告が届き次第まとめたものを今後もダードに渡しますね」


 一体いつから送り込んでいるのか気にはなったが、ダイヤードは踏み込まないほうが良いと思い質問はしなかった。


「ありがとうございます。いずれユークリッドと会うこともあるでしょうから参考にします。」


レミ「前回は不穏な笑いで終わりましたので、続きが聞きたいですわ」

ダイ「完全に安心できるわけじゃないが、そこまで酷い事にならないと思ってるんだ」

レミ「そうなんですの?」

ダイ「ああ。地球との違いは魔物がいること。そして、それを率先して退治するのが貴族であり、それを率いるのが国だからだよ」

レミ「魔物という一点において民は貴族に依存しているってことですの?」

ダイ「ああ。これが民からも魔物に対峙できるようになったら、危険だろうね」

レミ「でも小説の多くは魔物とギルドはセットではありませんの?」

ダイ「それに関しては、次回の後書きで!」

レミ「イライラしますわ!」

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