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044 それぞれの後日談④(ダイヤード5歳)

次回で一章は終了となります。

楽しんでいただけると幸いです。

 王城の庭園でアースウィッドはタターニアと二人きりの茶会を開いていた。


「こうして、ニアとゆっくりとお茶を飲むのも久しぶりだな」


 アースウィッドは一口紅茶を飲む。


「ええ。恐らく一か月ぶりですわ。ここ最近は何かとお忙しいようで、アース様のお体が心配です」


「そうだな。ニアには国内のことも任せてしまい、負担を掛けた。私よりニアの体のほうが心配だ」


 ダイヤードの誘拐から一か月、ようやくオリヴィアも政務に復帰し、アースウィッドにも余裕が生まれた。


「いえ。(わたくし)に出来ることは限られていますので…… オリヴィア様が政務に参加されて良かったですわ」


 タターニアはそう言って、紅茶に口を付けた。


「そうか。…… そうだな。しかし、私としてはニアがいるのが本当に助かっている。国外に関してはニアに頼ってばかりだ。余りこういったことは口に出していなかったが、感謝しているのだよ」


「過分なお言葉ありがたく頂戴いたします。ただ、そこまで褒められてしまうと良くないことが起こりそうで、身構えてしまいますわ」


「そうだな。ニアには耳が痛いことも言わないといけないのは確かだな」


 アースウィッドはタターニアに一言で覚悟を決めた。


「先に申し上げますが、ダイヤード様が誘拐された件には、私は何も関与しておりませんわよ」


「ああ。私もそんなことは思っていないよ。ニアは賢い人だ。そんなことをしてもデメリットばかりでメリットなんてほとんどないことは分かりきったことだろう。実際に第一位継承権を持っているのはユークなのだから」


「それでしたら、何をおっしゃりたいのでしょうか?」


「うむ。ニアにお願いしたいのは、派閥の統制だ」


 アースウィッドは少し苦い顔をした。


「私が手綱を握れてないと?」


 タターニアの眉間にしわが寄った。


「そうだ。しかもニアの侍女や従者のな」


 アースウィッドの言葉に近くで従事していた侍女の体が跳ねる。


「…… なるほど。足元が疎かになっていたようですわね」


 タターニアは侍女を見ていった。


「そうだな。しかも、ユークやその側近たちにいらぬことを吹き込んでおるようだ。今のところヴィアの耳に入ってはいないようだが、この先は分からぬ」


「そうですわね。オリヴィア様と敵対するのは私の意図するところではございません。侍女や侍従はきつく処断いたしますわ」


 アースウィッドはタターニアが無表情になったことで、ことさら恐ろしく感じた。


「いや。そうではない。私が言いたいのは、今後このような事がないようにしたいのであって、処罰などは求めていない」


「そうは言いましても、私の指示なしで、私の意図しない行動をされ、オリヴィア様に迷惑を掛けるところだったのです。私に逆らったのと同じことなのではないでしょうか?」


 タターニアは、一言ずつはっきりと言い聞かせるように言った。


「そうだ。ニアの言うことはもっともだ。ただ、忘れてはいけないことがある。皆、ニアのためを思っての行動だということだ」


 アースウィッドは思ってもいないことを口にした。

 なぜなら、タターニアの八つ当たりに嫌気がさし、不満を発散させるために行っていることを知っているからだ。

 そもそも、魔法局副大臣の姪がタターニアの侍女として仕えているのが暴挙を企てた一因となっている。


「いえ。いくら私のためだとしても許していい事とそうでないことがあります」


「そうだな。自分の身内だからこそ許せないというニアの気持ちはよく分かる。しかし、ニアの身内だからこそ優しく言い聞かせて欲しいのだ。他国に嫁ぐことで心細いニアを支えてきた者たちではないか」


「そう…… ですわね。しかし、私事(わたくしごと)で法を曲げるわけにはいきませんわ」


 タターニアは若干言い淀む。


「そうだな。だが、そこまで考えられるニアだからこそ、正妃としての度量を示すことも重要ではないだろうか? 許すことで逆に罪の深さを感じてもらうのだ」


 アースウィッドは屁理屈と分かっていながら、タターニアを説得する。

 ここで侍女や侍従を処罰してしまうと、今後のタターニアの嫉妬のはけ口がなくなってしまうからだ。不満を溜めに貯めたタターニアが爆発するのが怖かった。

 それと、タターニアの近しい者だから許すのだということで、タターニアに自信を付けてもらいたかったのだ。嫉妬が必要ないくらい、タターニアは特別であると。


「分かりました。アース様がそこまでおっしゃるなら、注意に留めておきます。ただ、次はないことは明言させていただきます」


「ああ。ありがとう。そんな優しいニアを好ましく思うよ」


 アースウィッドは近くの侍女が長く息を吐くのを見た。


レミ「タターニア様って案外まともですわね」

ダイ「そうだね。恐らく適応障害か不安障害の一種だと思うんだよね」

レミ「何ですの? それは?」

ダイ「心の病の一種だよ」

レミ「前に言ってましたわね」

ダイ「だね。ストレスや不安で攻撃的な行動に出てしまう病だよ」

レミ「それで気の許した侍女や侍従に八つ当たりをしてしまうのですね」

ダイ「母上に嫌味を言うのもその病が原因だね」

レミ「治療法はありますの?」

ダイ「ストレスや不安の原因を取り除くのが一番だけど、難しいよね」

レミ「そうですわね。子供が十年間できなかったことや第二子が産まれないことですからね」

ダイ「うん。後は陛下に期待だね」

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