043 それぞれの後日談③(ダイヤード5歳)
今日中で一章終了です。
楽しんでいただけると幸いです。
ハーミットは取り調べが終わって二週間が経った。魔法局の大臣が軍務局と兼任することとなり引継ぎ作業で大忙しの中、ハーミットはようやく次の職場も見つかった。
「フゥー。本当に俺に付いて来てくれるのか? ハイルランド家の後継者からも外されてしまったから、今までのように裕福な生活はさせてやれんぞ」
ハーミットは連日妻に聞いていることを再度確認した。
「はい。旦那様は悪いことをしたわけではありません。それでどうして離縁を申し出できましょうか。私は最後までお傍におります」
ハーミットの妻は連日している返答を返す。
「そうか。私が不甲斐ないばかりに迷惑を掛けるな。給与は下がるが、家族三人で十分に暮らしていけるだろう」
「オリヴィア妃陛下に感謝しないといけませんわね」
「ああ。まさか、パリジット子爵領での代官補佐を任せてもらえるとは思わなかったよ。タターニア陛下の派閥からは見捨てられたのにな」
そう言うとハーミットは苦笑いを浮かべた。
「私もここまで見向きもされなくなるとは思いもよりませんでした」
ハーミットは失脚したことにより、派閥の中枢から遠ざかることになるとは思っていたが、まさか派閥そのものから除外されるとは思ってもいなかった。そのため、派閥に属する貴族での就職は叶わず、転職が難航することになった。
「それで、パールは落ち着いたか?」
パールとはハーミットの子供であるニコパール・ハイルランドのことだ。
「やはり、ユークリッド殿下の側近から外されたことと、王都から離れるのに抵抗があるみたいです。何とか旦那様からもパールと話をしていただけませんか?」
「そうか。もう十日間王城にも出向いてないのだったな。確かユークリッド殿下から手紙が届いていたのだろう?」
「はい。パールを心配する旨や大きくなったらいつか学園で会おうという旨の手紙が届いております。それが余計にパールの心に影を落としているようで、手紙を読んでは泣いているようです」
「侍女は…… そうか、解雇したのだったな。今からでもパールと話をしてみよう」
王都を離れることになり、今雇っている者を順次紹介状を書いて解雇している。
「はい。よろしくお願いいたします」
「パール。話がある。入るぞ」
ハーミットはノックをして扉を開けた。
ニコパールは、掛布団を頭からかぶりベッドの中で蹲っていた。
「パール。話があるから、ベッドから出てきなさい」
パールは少し動いたもののベッドからは顔を出さなかった。
「ハァー。パール。いい加減にしなさい。これ以上はベッドから叩き出すぞ」
ハーミットが強く言うと、ゆっくりとベッドから顔を出した。
「父上。何故ですか?」
泣きはらしたのか、目の周りが赤くなっている。
「何故とは?」
「何で僕がこんな目に合うんですか?」
「それはもう話しただろう。私の部下がダイヤード王子殿下を害そうとしたのだ。私はそれを止められなかったから、責任を取って大臣を辞任するのだ。責めるなら力不足の父を責めよ」
「でも、でも……」
再びニコパールの目に涙が溜まっていく。
「でも何だ? 言いたいことがあるなら、最後まで言いなさい」
「でも、たかが愛妾の息子でしょう。何でそんな奴のために父上が罰を受けるんですか!」
「愛…… パール何を言ってる! 誰が。誰がそんなことを言ったんだ?」
ハーミットは思わず声を荒げた。
「ヒッ。…… みんなが言ってます」
「みんな? みんなとは誰だ?」
「ユークリッド様の侍女とか…… です」
「ユークリッド殿下の侍女はタターニア陛下が連れて来られた者だったな。まさかそのようなことになっていたとは」
ハーミットは思わず頭を抱えてしまった。
息子の思い違いを正すとともに、このことを誰に報告するべきかを考えた。
レミ「何だか散々な言われようですわね」
ダイ「まー仕方がないよ。ユークリッド付きの侍女なんて、自慢以外何でもないからね」
レミ「それなのに、タターニア様から八つ当たりされるのは割に合わないということですか?」
ダイ「そうだね。そして、上司が八つ当たりしてるんだから、自分がしても問題ないといったところかな」
レミ「社風というやつですわね」
ダイ「似たようなもんだね。元々はプライドを持って仕事をしていたけど、徐々に変わったんだろうね」
レミ「腐った会社ですわね。ブッラクですわ!」




