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041 それぞれの後日談①(ダイヤード5歳)

楽しんでいただけると幸いです。

「ダイヤード様の怪我がなくて一安心ですね」


 マルガネットは安堵しながら言った。


「うん。…… いつも通り優しかったです」


 ダンバルトは気落ちした口調で答えた。


「なら、どうしてそんなに落ち込んでいるのです?」


 昼はダイヤードと一緒になって喜びの感情を露わにしていたダンバルトだったが、家に帰ってからの落ち込みように、マルガネットは困惑した。


「ダード様は僕を怒りませんでした。何でかお礼を言われました」


 ダードは俯いている。


「そうですね。ダンは褒められることを行ったのですよ」


 マルガネットはダンバルトの頭を撫でた。


「違います! 僕はダード様を…… 守れませんでした」


 ダンバルトはダイヤードが誘拐されてから、自分の力の足りなさを痛感していた。


「違いますよ。ダンバルトがいたからこそ、ダイヤード様の行方が分かり、素早い行動をとることが出来たのです」


 マルガネットの言葉は、ずっと言い続けてきた言葉である。


「それでも。それでも! 僕はダード様を守りたかった!」


 目に涙をためて顔を上げるダンバルトは、それでも涙をこぼすことは無かった。


「では、守れるようになりなさい。今度からは遊ぶ時だけでなく、ダイヤード様のお傍に侍りなさい。ダイヤード様が何を考え、何をしたいのかを近くで見なさい。そして、ダイヤード様に危険が迫っていることが分かれば、今度こそ貴方が守りなさい」


「はい!」


 ダンバルトは決意を込めた顔で頷いた。




 マクダーラン王国の軍務局には三つの牢屋が存在する。

 一つは貴族牢。その名の通り貴族籍にある犯罪者や容疑者を収監する施設だ。入り口と窓に鉄格子はあるものの簡易ベッドに浴室やトイレが付いており、行動の不自由に目を瞑れば、ある程度快適に過ごせるようになっている。


 一つは一般牢。ここは貴族籍を剝奪された犯罪者を収監する施設だ。貴族牢に比べ、部屋は狭く、浴室は付いていない。貴族籍を剥奪された容疑者は存在しないため、犯罪者しかいない。しかし、自分の資産もしくは家族から規定の金銭を払えるものが収監されている。そのため、金のない者は王都や領都にある監獄施設に収監される。


 最後に地下牢。ここは王族に対する犯罪や高位貴族に対する重犯罪をおかした者を元貴族や平民関係なく収監する施設だ。地下のため湿気が多く、みすぼらしいベッドが付いているだけである。


 その地下牢に一人の男が収監されていた。ダイヤードと共に森から連行されて三日が経っていた。取り調べに対し素直に受け答えをしたことに加え、ダイヤードからの口添えがあったことで、劣悪な環境の中でも入り口に近い比較的に快適な牢に収監されていた。


「おい! 顔を上げろ!」


 近づいてきた軍服の男に声を掛けられる。


「いったい何でしょう? もう話せることは話しやしたぜ」


 髭面の男はゆっくりと顔を上げて答えた。


「分かっている。貴様に聞くべきことは無い。ただ、貴様には選択肢が与えられた」


「選択肢?」


「そうだ。一つは斬首刑だ。王族を誘拐し殺害未遂の刑は拷問の上、絞首刑が相当であろうが、王子殿下の口添えもあり一瞬の死で許してくださるそうだ」


「ハァー。…… で、もう一つは?」


 溜息を吐いたものの男は当然だとも思う。王族に対し重犯罪をおかしたのだから、死刑は当然だろう。となると、もう一つの選択肢も期待できるものではなさそうだと思った。


「下級兵として国に仕えるかだ」


「俺が…… 軍に?」


 男は勢いよく顔を上げた。

 いくら冒険者が国の一機関といっても立場は相当に低い。軍に入れない者が冒険者になるのが常識であった。


「期待しないほうがいい。俺としてはお勧めしない。我々は貴様に対し良い印象を抱いていない。王子殿下に行ったことを考えれば、憎んですらいる。我らが軍に表立って非難をする者はいないと信じているが、他の者と同じ扱いは期待してくれるな。貴様には死より辛い目にあう可能性もあるし、貴様を庇う者は私を含めていないだろう」


 軍人は憎しみを感じさせない無表情で言った。


「そりゃ…… そうだよな」


「さほど与えられんが、時間が欲しいなら待つがどうする?」


「…… いえ、軍に入ります」


 そう言うと、男は右手を後ろに回し最敬礼をした。


「いいのか?」


「はい。やっぱり命は惜しいですから。それにここで死刑を望んでしまったら、俺の助命を嘆願してくれたであろう王子殿下に申し訳が立ちません」


「よし。いいだろう。では、ここを出る準備をしろ」


「はい」


 そう言うと男はダイヤードがいるであろう場所に向かって最敬礼をした。


レミ「これがテンプレですのね」

ダイ「そうだね。今後どう関わっていくかは分からないけどね」

レミ「ダード様がピンチの時に助けに現れるなんて、胸アツ展開ですわね」

ダイ「えー。そんなピンチは勘弁願いたいよ」

レミ「それだと物語になりませんわよ」

ダイ「えー。この話の打ち切りを希望したくなってきた」

レミ「諦めなさいませ」

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