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039 真相②(ダイヤード5歳)

誤字脱字報告、ブックマーク登録、ありがとうございます。

楽しんでいただけると幸いです。

「そう言えば、大司教様もつがいの魔物リトールからの魔石と言っていました」


「であるならば、確実に鑑定結果を細工していますね。となると、鑑定人は行方不明になっている…… でしょうね」


 ダイヤードはオリヴィアの言葉がどこか歯切れが悪いように感じた。


「では捕まえた魔法師はどうなったのですか?」


「……」


 オリヴィアはダイヤードの問いには答えず、憂いを帯びた目でダイヤードを見つめてくる。


「…… どうしても聞きたいですか? 私としてはダードにはこれ以上関わって欲しくありません」


 オリヴィアは意を決したように話をする。

 オリヴィアがこのように考えたのは、ダイヤードの昨日の姿を見たからだ。

 そして、誤魔化さないはダイヤードが優秀であるが故だ。


「それでも僕は知らなくちゃいけないと思います。僕はまだまだ子供ですが、王を目指すなら自分が関わったことの結末は知らないといけません」


 ダイヤードも真剣にオリヴィアを見つめ返す。


「それでもです。ダードが優秀なことは分かっているのですが、貴方はまだまだ子供です。全てを知るのは大人になってからで十分です」


「……」


 ダイヤードはこれ以上の言葉を持っていなかったので、意思を込めてオリヴィアを見つめる。


「…… フー。分かりました。何人かは毒で自死しています。加えてダードが捕らえた魔法師は帰りの馬車の中で肌着に隠していた毒で死んだようです」


 オリヴィアは眉をひそめて言った。


「そうですか。…… では真相は完全に闇の中ですか?」


 一瞬目を閉じたダイヤードは再び尋ねた。


「残念ですけど、そうなりますね」


「…… 自殺した魔法師の家族はどうなりました? あいつは自分の一族がタターニア様の派閥だと言ってましたから、そこから手掛かりはないでしょうか?」


 ダイヤードは魔法師との会話を思い出しながら言った。


「事件が起きた日から行方知れずだそうです。それと王都に待機しているはずの冒険者仲間も行方不明ですね」


「それは…… 後ろで手を引いてる者がいますね」


「手掛かりがなさ過ぎてどこから手を付けていいのか分からないのが現状です。魔法局を今後どうするかも決まっていませんし、頭の痛い事ばかりですよ」


 たまらずオリヴィアは額に手を当てる。


「それでしたら、魔法局を軍務局に組み込んでしまえばいいのではないですか? 今の魔法局にタターニア様の派閥の一員としての価値はないしょう?」


「…… 確かにそうですね。最初は軍務大臣の兼任ということにすれば、議会に通りやすいかもしれませんね」


 オリヴィアは派閥を形成する貴族の構成について考えた。


「それに軍務局の人数が増えれば、今回の事件に割く人数も増やせるのでは? …… あっ! 【スパイ】だ!」


 ダイヤードは突然テンションが上がった。


「その【スパイ】とは何ですか?」


「潜入して捜査する組織です! …… えーと、今回の事件で言えば、タターニア様周辺やその派閥、そしてドレスラン帝国が怪しいと思うのです」


 頷いたオリヴィアを見て、ダイヤードは続けて言った。


「そこへ軍務局の人間を送り込んで調査させるのです!」


 ダイヤードのテンションがだんだん高くなる。


「敵地に潜入して、現地の人間の信用を得る! しかし、その裏では機密文書を密かに調べて探り出す! くじけない強靭な精神が必要となる過酷な任務を遂行する組織です! しかも、味方ですら内情を知る者が少ない噂の集団! とってもカッコいいですよ!」


 ダイヤードは右手を握り締めて演説した。


「な、なるほど。検討しておきますね」


 オリヴィアはドン引きしたものの何とか答えた。


「はい。是非に! ただ、愛国心があるのはもちろんですが、過激派は駄目ですよ。暴走しがちですから!」


「わ、分かりましたから。後でゆっくり聞きますから、少し落ち着きなさい」


「は、はい。すみません。少し我を忘れていました」


 ダイヤードは恥ずかしくなったのか俯きながら謝罪した。


「ダードは、コーキの知識のこととなると暴走する癖があります。もっと自覚と自制をしないといけません」


「はい。ごめんなさい。…… あっ。光輝と言えば……」


「まだ、何かあるのですか?」


 オリヴィアは恐る恐る聞いた。


「だ、大丈夫です。落ち着いて話しますから。母上は僕が魔法師と冒険者三人を相手に戦ったと聞いたかと思います。」


「ええ、そうですね。魔法を使ったと聞いていますよ」


「戦ったのは、僕じゃなく光輝だと思います」


「そうなのですか?」


 オリヴィアの声が強まった。


「はい。その時僕は意識がなかったので、確実に光輝が僕の代わりに戦ってくれたんだと思います」


 嬉しそうに話すダイヤードに対して、オリヴィアはそれを不安に感じた。


レミ「質問がありますの」

ダイ「おっ、久々だね。何だい?」

レミ「私たちの世界にはスパイのような組織はありませんの?」

ダイ「専門的な組織は存在しないね」

レミ「では、どうやって敵対派閥や他国の情報を得るのですか?」

ダイ「派閥の場合は、使用人を送り込むって方法だけどこれも簡単じゃない」

レミ「高位貴族になれば、使用人もきちんと調査しますし、そもそも代々の使用人として雇っている家がありますものね」

ダイ「そう。なので商人や出入り業者に人を潜り込ませるのが一般的かな」

レミ「なるほどですの。では、他国の場合は?」

ダイ「自国に拠点を持つ商人であったり、自国から嫁や婿に行った貴族からのリークだね」

レミ「うわー。他国だとしても妻や旦那すら完全に信用できないなんて……」

ダイ「まぁータターニア様がそのタイプだよね」

レミ「凄く分かりやすいですわね」

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