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036 魔法局大臣の苦難②(ダイヤード5歳)

皆様の「いいね」や「評価」、「ブックマーク」が大変励みになっております。

もちろん、読んでいただけているだけで凄く嬉しいです。

この場にて、お礼を言わせてください。


本当にありがとうございます。


引き続き皆様が楽しんでいただけると幸いです。

 貴族牢は4m四方の小さな部屋に簡易ベッドとテーブル、イスがあり、扉はなく代わりに鉄格子がはめられている。普通の牢屋とは違い、別室にはトイレと浴槽がついているのが特徴だ。

 ハーミットはこの三日間誰とも接触する機会はなく、未だ何が起こっているのか分かっていなかった。


「何故取り調べもないんだ。私はこれからどうなるんだ」


 頬はやせこけ、睡眠不足からか目の下にははっきりとした隈ができていた。

 この日何度目になるか分からない溜息をつくと、遠くから足音が聞こえてきたが、部屋の正面で止まった。


「随分やつれたな。ハイルランド伯爵」


「ハハッ。おかげさまで。ロクウォール軍務大臣閣下」


 ロクウォールが軍服姿であったため、ハーミットはロクウォールを役職で名を呼び、ロクウォールはハーミットが職を解かれたことから爵位で呼んだ。また、ロクウォールは領地付きの侯爵位も持っているため、全てにおいてハーミットより上位の存在ということになる。

感情のこもらないロクウォールの言葉に対して、ハーミットは数日の疲れが言葉に現れているようだった。

 その後、ロクウォールは連れてきた軍人を見張りに立たせ、部屋の中に入ってきた。


「さて、閣下直々に来られたということは、全てを聞かせてもらえるのでしょうか?」


「ああ。ただ、貴殿に話せる内容は多くないがな」


「牢に入れられている状況ですからね。多くは求めません」


 ハーミットの言葉を聞くと、ロクウォールは付属式で起こったことを話して聞かせた。


「なるほど。確かにそのような不自然な行動をしたのであれば、魔法局が疑われても仕方がないですね」


 ここでようやく反逆罪の意味を理解した。しかし、ハーミットは冤罪だと心の底から信じていた。


「……」


 ロクウォールはハーミットを可哀そうな者を見る目で見つめた。


「それにダイヤード王子殿下の行方も気になるところではあります。私はタターニア正妃陛下の派閥ではありますが、王族に対する敬愛は変わらず持ち合わせております。疑いを晴らすためにも魔法局もお力をお貸しすることを約束します」


 ハーミットは職務上ドレスラン帝国との力関係をよく理解していた。そのため、タターニアを懐柔しようとするアースウィッドと同じ考えを持っていた。そのため、タターニア派に入っていただけで、国や王族のために働くことを誇りとしていた。


「ハイルランド伯爵。それは叶わぬよ」


 ロクウォール優しく諭すように語りかけた。


「叶わぬとは?」


「既にダイヤード王子殿下の行方は付属式に参加していた魔法師がすべて吐いた。もうすでに王国軍に後を追わせている」


「魔法師が…… 吐いた、ですか? そんなまさか! 私は何も指示してない!」


 ハーミットは思わず立ち上がった。


「証拠と自白からも貴殿が指示した形跡はなかったよ。首謀者は副大臣だ」


「や、奴が…… な、何故ですか?」


 ゆっくりと腰が抜けたようにハーミットは椅子に腰かけた。


「貴殿は昨日付で大臣職を解任された。そのため、内情について話す許可は出ておらん。私からは事件のあらまししか話せん。すまないな」


「解任…… ですか。そんな馬鹿な」


「貴殿が国のため、王族のために尽くしてきたのは分かっている。そのため、降爵はしないとの仰せだ」


 領地を持たない男爵位や子爵位であれば、宮廷貴族かどこかの小さい村や町の代官となる。しかし伯爵位となれば、大きい街や領都の代官になることも可能である。それに魔法局に勤めていたとなれば、領軍の位の高い魔法師になることも可能だ。


「そうですか。それは…… 温情ある処分、ありがたい次第でございます」


「しばらく監視付きとなるが、屋敷に帰る許可も出ている。一先ずはゆっくりとするがいい」


 ロクウォールは優しく言った。


「そう…… ですね。妻にも話をしないといけませんし」


 情報を処理しきれない上に妻に何と言ったらいいか分からず、思わず頭を抱えた。




 ハーミットはノックの音でゆっくりと目を開けると、愛すべき妻を部屋に迎え入れた。


レミ「ハーミット伯爵閣下も災難でしたわね」

ダイ「慢心が招いた結果だからしょうがないね」

レミ「慢心ですの?」

ダイ「最大派閥に属し、かつ息子は時期王と目されるユークリッドの側近になったこと」

レミ「もう自分には敵はいないってことですの?」

ダイ「そう。そのため、自分の足元が疎かになっていたってことかな」

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